和傘を型どったランプセエード。
姉の家から無理やりぶんどった。
私は傘屋の娘。
姉は近所の人から傘屋のお嬢様と言って、この傘の置物をプレゼントをされたと言う。
姉妹だから当然のこと傘屋の娘だ。
それを、妹の私が横から、ぶんどっり,もらって帰った。
子供の頃が懐かしい。
父祖が作っていた傘の制作場所が私の遊び場だった。
傘を貼っている母の傍らで、母の昔話を聞いた。
女の子の生理の話も失敗をしないように聞かされたのも、母の仕事場だった。
年齢の離れていた姉は、傘づくりの仕事場で見かけたことは無い。
おしゃれの好きな姉はお年ごろ。
母の言うには、姉にはラブレターで風呂が沸いたと言うくらい、もてもてだったらしい。
女学校から、私が読めそうな本を借りてきてくれる。
お人形を作り衣装を縫ってくれたりする姉らしい姉だった。
傘屋のお嬢さまは、まことにイケメンのお金持ちの、おぼっちゃの男性と結婚をした。
このイケメンの義兄もやさしく、おこずかいを良くもらったことだ。
いつまでたっても姉は姉。
私が和傘を型どったランプシェードを、あれ!欲しいな~とおねだりすると、快くくれた。
私ほど傘に執着がなかったのか?
それとも、いつもむちゃくちゃな妹の願いを聞き入れたらしい。
傘を作っていた子供の頃は住み込みの和傘職人もいて、我が家は一番、輝いていた時代かも知れない。
姉は蝶。私はあだ花。
私は末っ子だ。
家族から我が儘をゆれされて、悔いのない子供時代をすごした。
鬼籍に入った父祖、父親代わりだった兄夫婦。最もやさしかった長姉。
肉親は姉と私に。
逢うたび、私より元気でいてよ。。。と手をにぎる姉。
いつまでも
優しい姉の健康と、私も一日でも元気でいられるように、お月さまに願っている。
秋だ。そんな家族の事がしきりに想いだす、ランプシェードのほのかな明かり。
@ ランプシェードもるるほのかな秋灯