☆ 柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規
子規の句の中でも最も有名な句。
私もとうとう、認知症か?
心臓の方の診察で医大へ行く。
受付で、予約票をを渡すと、「これは昨日になっています」と云われた。
「えッ、きょうは29日ではないのですか?」
「予約は28日になっていますよ」と予約票を見せられる。
どこで勘違いをしたのか、29日、ようするに今日だと思い込んでいた。
「内科に行って診てもらえないか聞いて見て下さい」と云われる。
内科の受付に行くと、私の主治医は、週に一回の水曜日のみの診察になっていると云われた。
「じゃあ、すみません、予約をしたいのですが」と言うと
「予約は、先生のみがやっていますからここでは予約を受け付けられないんですよ」と言いながら
「先生と連絡を取ってみます。予約の受付をやってくれるかもしれませんからね」
と、医務室に電話をかけて下さる。
「五分待って下さい。先生が今から診察をやって下さるそうです」
まあ、なんと優しい。
受付嬢もまして先生も。
大病院は二時間待って、三分の診察と巷では云われている。
思う間も無く、三階の医務室から降りてきて
「午后からは、外に出かけるけれど、ちょうどいましたから、診察をしましょう」と云って診察をして下さる。
何度も思い込みが激しく日をまちがっていたお詫びをし、診察を受ける。
優しい、赤ひげみたいな先生と思う。
手術の後は入浴をしても胸が苦しくならないことや、起伏の多い散歩道を歩いてもなんとも無い事を告げる。
本当に有難く、感謝をしている。
帰りに立寄った果物屋で初物の柿を買った。柿は大好物。消化が余り良くないけれど、好きなものは好き。
柿といえばこの句が出てくる。
子規さんも、現代の医学だと落とさなくてもよい命。
夫と紅葉狩りの話に。
亰都がよいか、奈良にしようか、姫路それとも、近くの岡山辺りにしようかと、考えているうちが楽しい。
これも、元気なればこそ。
元気な病気知らずの人には想像ができぬ幸福感である。
でも、私もあきれたことだ。
予約日を間違うなんて、胆に銘じてこのようなことがないように氣をつけなくては。
失敗の巻でした。
☆ 柿食ふや命あまさず生きよの語 石田波郷
☆ 丸くして四角なるもの富有柿 長谷川櫂