屋島寺へ登る道には、いたる所に石仏がある。
中腹には仏さまではないけれど、梵字を彫った標石がある。古くて読めない。
この参道の甃はいつも美しくボランティアによって整備をされている。
昔の火山の名残りの柱状節理のこのような場所にある石仏は、他の仏さまは皆、野ざらしだが、小さな祠に納められている。
ここだけ殺伐と茶色の景色だ。一番の印象は以前恐山で見た光景が浮かんだ。見上げた冬青空に救われた気がした。
生い茂った木や笹の葉の向うに並んでいる仏さまたち。
近づくのも怖く、合掌をして前を通る。
行く先々で出会う石佛さま。みなさんお顔の表情が違う。
その中で一番すきなお顔の小さい石佛。この仏さまのお顔を見るとほっと心が和む。この赤いよだれかけをしている方としていない方。この参道を歩く信心の人も、私と同じように、この仏さまが一番好きとか、決めてお世話をしているのかも知れぬ。
決して信心家の私ではないけれど、石佛を彫った人、これを建立した人々の思いに心を馳せると、屋島の参道を歩くのも楽しい。
柱状節理春の水落つ一処