老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

    あぢさゐ  ・  瓊花  ・  刺繍花  

2018-06-30 08:14:44 | 俳句

      

       ☆     紫陽花やきのふの誠けふの嘘     正岡子規

 ラジオから流れてくるこの句を聞いて目が覚めた。
紫陽花は花の中でも最も好きな花だ。

       ☆     紫陽花やはなだにかはるきのふけふ     正岡子規

子規の句ではこの句も。

先日訪れた志度寺は今紫陽花の色々な種類が境内狭しと咲いている。

   

       ☆     あぢさゐやきのふの手紙はや古ぶ    橋本多佳子

 同時にこの句が頭の中に浮かんだ。
紫陽花は七変化との名もある。
七変化をするように、人の心の移り代わりを詠んだ句が多いし又名句も多いってことか。

   

       ☆     紫陽花や白よりいでし浅みどり     渡辺水巴

 写真の紫陽花は水巴の句と反対に浅みどりが開ききると純白の紫陽花に変化をする。

       ☆     あぢさゐの藍をつくして了りけり     安住 敦

 紫陽花の色を詠んで歳時記に載っている句は枚挙がない。

 紫陽花の別の名に 刺繍花が。私のカメラでは撮れないが、繊細な額がけぶって刺繍のような感じがする。

    
   
又、瓊花(たまばな)とも。

       

古来からある花も、品種改良をされた花も真ん丸の玉のようであるから 瓊花と美しい文字で表現をされているのか。 


     ☆     兄亡くて夕刊が来る濃紫陽花    正木ゆう子

     ☆     あぢさゐの地獄を花とおもひけり    高橋 龍

       
          

     🍒     あぢさゐや偽りでありて欲し病名 

     🍒     瓊花にしずかに一と日暮れにけり

     🍒     七変化勝って兜を締めよ侍

     🍒     しばらくを蝶とあそびぬ刺繍花

  
         
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     涙のような 半夏雨

2018-06-28 16:39:03 | 俳句
 

       🍒     斑猫や哀しみを背に遍路行
       
 仏さまにおすがりしたい時もあります。
自分勝手はわかっています。
いつも無神論者だと公言をしているにもかかわらず。

 志度寺にお詣りに行った。
ご住職さんが腰に虫よけの器を吊って水遣りに精を出しておられた。

境内はお寺の庭というより植物園のようで、現在は紫陽花が咲いている。
その種類の豊富さ、写真に撮るのも楽しさが倍増する境内だ。

今日は紫陽花も美しかったが、一番に心を奪われたのは「半夏生の花」だ。


       ☆     藍玉の沸(た)つが如きか人恋ふは     折笠美秋

 > 美秋は第一線の新聞記者として活躍中に筋萎縮側索硬化症を発病、歩行不能、さらに呼吸不能なため気管を切開、人工呼吸器をつけて病床に横たわる身となる。
目と口は動かせるが声は出せない。
そういう状態で何年も闘病していた俳人。
作品は妻が書き溜めた。
、、、、、、
句において泣き言はいわない。
奥さんにの限りない愛が、ふつふつと泡立っている。
   <大岡信    折々のうた>から

 
 今朝、偶然この句を読んだ。
藍甕の表面でふつふつと音を立てているようかに泡粒が沸く。
あの無数の泡は生まれては消えるが、無数に無限大に沸き続ける。
奥様の愛情は無償の愛、それに応えている美秋の心を感じる。

 私の中での悩みは未だ受け止めかねて、事の重大さが理解できないでいる。
困った時の神頼み、志度寺へお詣りしたとて、消える悩みではない。

 こうやってブログを書けば少しでも気がまぎれるか?
青天の霹靂とはこの悩みだが、少しでも長いほうが、耐えるには大変だが、結果としてはよいのだ。
 しかし明日の事は誰もわからぬ。
精一杯生きてもらい共に生きなくては。


        


        🍒     半夏生紅させば生れる空元気

        🍒     半夏雨人来ては去る海女の墓

        🍒     足ぶみをして蚊を追つ払ふ遍路

        🍒     半夏生箒目清し海女の墓

        🍒     御住職蚊遣器腰に吊るしをり

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      再び三度 「あっぱっぱ」  

2018-06-25 10:29:11 | 俳句

        

 昭和58年版の、講談社「日本歳時記」には(あっぱっぱ)の例は一句も載っていない。
その、あっぱっぱを昨日はせっせと縫った。

 風のように軽い青い花柄の木綿の生地は、徳島へ用事があって行った時に昔馴染の生地屋に立ち寄り、買ったもの。

 ためらいもなく買ってしまった。
青い花が私に手を伸ばして、野の花なら「ねえー摘んでと」とささやいたような感じがした。

         
 
 根っから紺や青色が好きな私だが、似合う、似合わないは二の次だったかも。



パソコンを開き、あっぱっぱの例句を検索すると、私のブログの記事がでてきた。
去年も私は「あっぱっぱ」の事を書いていた。

      ☆    簡単な体・簡単な服の中    櫂未知子

 この句のことを書いていた。

 櫂未知子さんは、今年『カムイ』で 第57回俳人協会賞を受賞をした。
自選20句抄のなかに、この簡単な服・、、、の句も載せている。
我田引水になるが、私も俳句の選眼はあるのかな?
櫂さんおめでとうございます、、、と話は逸れるが、あっぱっぱの例句は他に見つからなかった。


 そして自分では詠んだこともきれいさっぱり忘れている句がブログには載っていた。

      🍏    あっぱっぱ酸いも甘いも噛みわけて

      🍏    デパ地下をわがもの顔であっぱっぱ

      🍏    あっぱっぱ切手の裏を舌でなめ

      🍏    暖簾から首だけ出してあっぱっぱ

 説明句の域はでていないが、自分としては記録に残しておいてもいいかなぞと思った。


      🍒     梅酒漬けあっぱぱ縫ひ一と日過ぎ

      🍒     母の肌羽のやう軽きあっぱっぱ

      🍒     ノラ猫にちょっかいの傷大西日

      🍒     木を登る蛇見し夜や睡魔来ぬ

      🍒     あっぱっぱ一枚晩年こと足れり

      🍒     あっぱっぱ野良の犬・猫に会い行く

      🍒     腕の染み皺あらはなるあっぱっぱ

      🍒     夏の星ロシアに心とばせけり


 沢山作り、沢山捨てる俳句の常道の勉強。
一人で吟行、一人で作句、寂しい俳句人生だ。
昔の歳時記の方が愛着度が高く、評論家の育っていない現在は山本健吉を繙くことが多い。

   

     


      





     
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   「殿が俳句のヒント」に    (天才 志村どうぶつ園)

2018-06-24 10:29:29 | 俳句
           

 昨夜のテレビ番組。
志村けんの番組で可愛い動物が出てくるので、時々見ている。
出演者は皆、動物好きらしく、好きでなくては生の動物を愛している表情はできぬだろう。

昨夜は、動物救護センターで保護をされているワイヤーホックスをタレント某君が洗ってやっていた。
毛むくじゃらのホックステリアが綺麗に洗われ散髪をしてゆく過程がテレビの画面を流れてゆく。
ホックステリアとすぐ気ずき、夫を呼んでテレビの画面に釘づけになる。

私が 殿 を世話していた場面が目の前で再現をされている。
細部にわたり仕草、顔の表情が全くそっくりだ。
温めのお湯で身体は気持ちよさそうに洗わすが、顔は厭がって苦労をしたものだ。
その、頭から顔、耳まで、シャーワヘッドをタオルで巻いて洗うと、嫌がらずにいるなんてこと知らなかった。
いつも自分が世話をしていたが、本も読まず自然体で接していた。動物を扱うプロにアドバイスを乞うた事もなく、何んと殿に嫌な思いをさせていたか、今知るなんていい加減な馬鹿な飼い主だったのかを思い知らされた。

それにしても、あんな可愛い犬を捨てる人がいるなんて。
まことに、瓜二つというが、「殿」とそっくりのホックステリアだった。

 テレビを観た人から、飼いたい、引き取りたいと沢山に申し出だあるに違いない。

昨夜は殿が生き返ったようで、泣いたり笑ったり夫婦して殿を偲んだ番組だった。

 殿は洗い終わり、身体を乾かして美男子になった途端、大きく息をして「ふっー 」と声を出す。そのため息とも、終わった感のやすらぎとも、我慢をしていた仕草が本当に可愛かった。

     

殿は病気ばかりして、お医者さんと縁が切れなかった。
最後は癌で10才くらいで私達夫婦の前から去っていった。

 息子から預かったまま、愛情がわいてしまい、息子から取り上げたものの、マンションで飼えなくて今住んでいる家は「殿」と「姫」に求めた家だった。
二匹とも、消えた。
マンションへの帰り時がきた。
癒された。
殿との散歩で(有酸素運動)私の健康管理ができた。殿にはその意味でも深く感謝をしている。


       🍒     傍らに犬とひねもす夏館

       🍒     襁褓せし犬とデッキに水脈涼し

       🍒     おほばこの花岬へと犬連れて

       🍒     エンゼルドーロ潮浴ぶ犬の果てもなく

       🍒     潮満ちく夕日に染まる砂日傘

       🍒     砂日傘犬の離さぬ膝枕

       🍒     犬ひたすら黄泉平坂涼求め

       🍒     島札所瀧口の水甘かりき

       🍒     潮見台朽ちる島裏枇杷たわわ

       🍒     夏うぐひす霧ごめの島ホテルかな

       🍒     流れ星は天からの手紙祀りけり

       🍒     盥のやう大きガラス器鱧三昧


              

       

 生きていた頃、丁度今頃、殿を連れてペットの泊まれる島のホテルで過ごした事が。
記憶を詠んでみた。
何故、今まで句にしなかったのか、惰性の日々が悔やまれる。
投句をしても、師にかかると全没。
類想と、省略のなく一点に絞りきれていない。
が先ずは作っておくと、推敲もできる。

「殿」ありがとよ!
     
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真夜中に俳句が降ってきた

2018-06-23 09:40:03 | 俳句
         

 ニャロメに吾ら夫婦は弄ばれている。
窓の向うに椅子が置いていて、その椅子に座れば我々夫婦の視線の中に入ることを知ってか知らずにか、ニャロメは色々の姿態を見せつける。

 こちらを、窓ごしに覗き込んで大欠伸をしたり、「ニャーニャー」と声をかけたり、香箱座りでさも幸せそうな表情を見せる。

   

 時には全身をナメナメして、あられもない恥ずかしいポーズをする。
夫婦の会話は 姫ちゃんのことに及ぶが、なにせ亡くなってしまった姫ちゃんの部が悪い。
偲びつつも、ニャロメに心を奪われてしまう。


 夜中に目が覚めた。
今日はその時に裁つたブラウスを縫う。Tシャツ代わりに何枚あっても重宝をするから、最近縫ったパッチワークの服と同じ型紙で涼しい麻木綿をしつけまで真夜中にこぎつけてやった。

 梅雨の闇?
近くを走る高速道路の音も全くせず、静かな闇に起きているのは自分だけだと却って心が勇む。天邪鬼だ。




      🍒     山の気の身にしみにけり河鹿笛

      🍒     河鹿笛瀬音にのりて来たりけり

      🍒     産土の気よ山の気よ河鹿鳴く

     v🍒     瀬の音の涼し母御と湯の宿に

     v🍒     青楓に塩を載せるたる夏料理

      🍒     夏料理下戸の母干す食前酒

      🍒     塩加減三本の指鮎を焼く

      🍒     ありありと老鶯楽しむ母のゐし

      🍒     盛り上がる蹲に映ゆ緑かな

      🍒     寝静ずまる湯の宿火蛾の羽音とも

      🍒     露天湯や昏れ残りある山法師


 俳句は夜中に限る。
母と行った記憶の河鹿宿が甦りすらすらと句が生まれた。
母さんのおかげだ。
良し悪しは別として母さん夢でいいから出てきてよ。


         
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