昨日は腰が痛くて家の中で歩くのも不自由だった。
土曜、日曜と続く。病院で診てもらっていなくては、もしこれ以上に痛みが激しくなったら困る。それを心配して近所の整形外科に初めて行く。
レントゲン写真を見た医師は、骨は悪くないようだと。
「原因は?何かしましたか?」
「思いあたるのは一昨日、かわら街へ行き、用事が終わり、買物をし、大きい荷物を待ったのが、、、駅を降りて5分くらい重たい荷物を持って帰りました」
「ふふん、、打ち出の小槌かなんか?」
「果物が美味しそうだったから沢山」
「それにしても珍しいお名前ですね。讃岐の方ですか?」
「いいえ、阿波です。」
「少し立って下さい。ベッドに横になって。」
足を上に上げたり降ろしたり、膝を叩いたりした検査が終わる。
「大丈夫ですよ。それにしても身長が高いですね。」
「昔は大きかったと思いますが、今は普通ですね」
「讃岐男に阿波女、どういう意味でしょう?」
「さあ~。阿波女は情が深いのかしら?」
「僕は子供の頃、(カリコウシ)の世話をしていました」
「そうですか。いい制度だったみたいですね」
どうして (カリコウシ) の会話に、、、
医師は年寄りに見えた。私の年齢はカルテを見ると一目瞭然だ。年齢が同じくらいかも知れぬ。私もまぎれもない年寄りだ。わたし、先生のお母さんに見えたのかな~?
次から次と質問をされる。
「可愛い猫のブローチですね。」
「はい、猫や犬が好きで飼っていました。志度で!二匹とも亡くなって、病院が沢山ある、こちらへ越してきました。それで今回も先生のお世話になることに」
「ほお、、犬や猫は可愛いいですか?」
「はい、癒されます」
「先生。それにしても讃岐男も阿波女も、交通マナーは悪いですね~」
「事故の後遺症でリハビリ患者も多いですよ」
よほど医師は話好きらしい。看護婦に促されて次の患者さんが呼ばれる。
「来週の月曜日、もう一度来て下さい。様子を確かめましょう」
「ハイ 有り難うございました」
カリコウシとは!
< (借耕牛)と書く。徳島の山間部は草資源が多く牛を飼いやすく、反対に香川県は平野部は水田が多く稲わら、麦わらは副業に使用するため、草資源に乏しく、牛を飼うのが容易でなかった。などなどの事情から行われるようになったと、、、。普通、取次業者が中に入って契約を交わし農繁期の、夏秋を通じ約80日ほどであった。借耕牛の頭数は、多い時期には夏秋作を通じ約八二〇〇頭。徳島からの経路は、五名口、清水口、岩部口、美合口、塩入口、猪ノ鼻口、野呂内口、曼蛇口などであった。 賃貸の時期には各峠の集合場は牛を追い上げ、追い上げる両県の農家でにぎわい、飲食店などが繁盛したらしい。>
一度、このカリコウシが通った峠道を歩きたいと思いつつ、身体が利かなっくなっている。懐かしい言葉だ。実家からの帰り、遠廻りし、今は温泉施設がある峠を、カリコウシが通ったなどと、想いを馳せながら休憩をすることも。
🌸 山桜そのかみ借耕牛通る
✾ 待合室せはしなげなる秋扇子
今日はまだ、食卓の上の鉄瓶に手を伸ばすとじんと痛みが、、、。ああ歳は取りたくない!