Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

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ダンジーブログ

奈良県大和郡山市「山本病院」肝切除事件を聞いて⑤  --麻酔医--

2010-02-23 | 想い・雑感
 日本に麻酔の専門家が誕生したのは、第二次世界大戦後のことです。そしてアメリカの進んだ麻酔技術を学ぶことにより、どんどん進化してきました。そうはいっても30年くらい前は、まだまだ麻酔科医がいなくて、外科医が麻酔をかけて手術を行うというようなことは珍しくありませんでした。私も麻酔の研修を受けた組です。また個人病院などでは、経験豊かな看護師が、手術中の麻酔管理をしていたりということも見かけたことがあります。
 しかし、手術中というのはいろいろなことがあるので、麻酔の状態をコントロールするというのは、専門的知識が必要となるし、常に監視の目を光らせておく必要があります。現代の手術は、手術中に麻酔科医がきちっと麻酔管理(全身管理)をしてくれていることが前提となっているのです。
 先日なくなった、マイケルジャクソンが注射したというプロポフォールも麻酔に使用する薬剤で、使用中は血圧が下がったり、呼吸が止まったりということがある薬剤です。だから麻酔科医が投与速度をきちっと管理して使用する必要があるのです。そのような薬剤を何種類も使用することにより、患者さんは痛みや恐怖を感じることなく、大手術を乗り切るわけですが、その匙加減は専門家でなくてはできないのです。
 山本医師は、自分で麻酔をかけ、自分が手術をしていたという。メディアの報道を見る限り、手術中の麻酔管理は、医師以外のものがしていた可能性が高い。肝切除というのは手術自体も専門的知識が必要で出血のリスクが高いものであるのに、麻酔と手術両方を確実に行うなどということは極めて困難である。仮にできたとしても、してなならないことである。山本医師本人は、かなりの自信家なのだろうが、現実の能力が伴なっていない医師の自信ほど、患者にとって恐ろしいものはないとおもう。

基本的技術

2010-02-23 | 想い・雑感
胃癌に対する手術では
D2 といって
2群といわれるリンパ節までを
きちっととってくることが基本となる

胃全摘が必要となるような胃癌に対し
2群までのリンパ節を確実に取ってくるには
膵臓の尾部を十分遊離して
血管周囲の脂肪組織をきちっととってくることが必要となる

先日その操作をしていると
若い外科医が
そのような操作は初めて見たという

癌の手術は
確実なリンパ節郭清が重要なのに
その外科医が見たことがないということは
それを端折っている場合が多いのだろうかと
やや不安になった