Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

奈良県大和郡山市「山本病院」肝切除事件を聞いて⑥  --周術期(術後)--

2010-02-26 | 想い・雑感
 周産期という言葉をご存知だろうか。出産のときだけでなく、出産前から出産後にかけての時期全体を指す言葉である。病院によっては、周産期医療センターを擁しているところもある。その言葉と同様な意味合いで、周術期という言葉がある。これは、手術のときだけでなく、手術前から手術後にかけたある程度短い期間をさし、全体を管理することによりよりよい手術結果を得ようという発想を表している。術後管理の主目標の一つは、合併症があればそれを早期に見つけ治療するということである。
 術後合併症の一つに、術後出血というのがある。手術が終了するときには、出血がないことを確認するわけだが、手術が終わってしばらくしてから出血が起きることをいう。普段我々が怪我をしたときなどでも、一旦止まっていた出血が、また起きてくることがあるように、手術終了時に止まっていたものが、また出血することがあるわけである。この術後出血は、術後6時間以内に起こることが多いとされている。だから私は、基本的に開腹手術終了後には、6時間くらいは病院に残るようにしているし、手術当夜は、アルコールを控えるようにしている。
 止血もそこそこに、手術室を離れた上に、飲みに行っていったという山本医師の行動には、ただただあきれるしかない。もともと臭い物に蓋を地で行くような行動パターンの人間だったのかもしれないが、臓器から出血しているのに、閉腹(お腹を閉じる)という蓋をしたところで、出血は止まらない。お腹の中にどんどん血が溜まり、血管内の血液がぐんと減ってくれば、出血死を免れることはできない。
 山本氏本人は、無罪を主張してくるだろうが、メディアにはぜひその論拠を伝えてほしい。恐らく論拠と呼べるような弁論はできないと予想するが・・・。