Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

播種性転移

2006-12-19 | 医療・病気・いのち
胃癌が転移を起こす場合、大きく3方向の転移が考えられる。
血液を介して肝臓や肺などに転移を起こす血行性転移。
リンパ液を介して起こすリンパ節転移。
直接お腹の中に広がる播種性転移。

このうち播種性転移が最も手術前に診断がつきにくい。
お腹を開けて初めて確認できることも少なくない。
典型的な場合は播種性といわれるように、まさに種を播いた様に、数㎜の白い粒状の転移巣が、お腹中に散らばっていることがある。

こうなっていると、手術をしても予後の改善が期待できないので、手術は中断となる。抗癌剤をお腹の中にまいて、お腹を閉じる。後は、癌化学療法に期待することとなる。

命の連鎖

2006-12-17 | 想い・雑感
今朝車を運転していると 前方に多くのカラスが舞い降りている
そこを避けるように車線変更をして通り過ぎると
事故で死んでしまったと思われる小動物にカラスがたかっているのだった
この光景をかわいそうと見るかどうか
その小動物の側に立つかカラス側に立つかによる

昔はこのような食物連鎖の一端をみる機会が身近に存在していたと思う
その場面を見てどう感じるかはいろいろかもしれないが
一つの生命は他の生命の上に成り立っているという厳然たる事実を
私たちに示してくれていた

日本人は 動物のみ成らず植物も 根っこのところでは
人間と同じ命であることを考え方の基本としていたとおもわれる
だからこそ 他の命を頂いて我が身を保っていることに感謝し
いただきます
という言葉を作り上げたのだろう

自然との距離が遠くなった現代
食べ物は小売店で売られている食品でしかなくなってきている
食べ物が命と繋がっていると云うことを忘れてしまう文化は
危ういのではないだろうか

いただきます
の心を
ぜひ受け継ぎ
受け渡していきたいものだ

ノロウィルス

2006-12-17 | 想い・雑感
人体は精密な化学工場
体の中で 様々な物質が代謝され 合成される
その化学反応を支えているもののひとつは 水である
水があるからこそ 化学反応を進行させることができる

人体の60%は水といわれているが
無駄に水があるわけでなく
必要だからあるのだ

しかし高齢になるに従い
水分の割合が少なくなり
その意味で 人体の予備能力が減ることとなる

ノロウィルスによる感染性胃腸炎が流行している
このウィルス自体が致死的となることはまずないであろうが
高度の下痢が持続すれば 脱水状態となる
脱水は高度となれば死につながる
下痢が続く上に食事も取れないとなると
容易に脱水となる
そうなる前に 医療機関を受診し
点滴等で水分の補給を行う必要がある

議論

2006-12-16 | 想い・雑感
著名人を集めて議論をする
という形式の番組がいくつかある
しかし聞いているととても不快になる
単なる言い合いにしか見えないのである

一つずつ議論を積み重ねていく
というより
相手の発言を遮り 
強い調子で言いたいことを言い放つ
という印象が勝っているのである

言論の自由というが
自由には責任が伴う
自身の意見を発言する自由には
その内容に対する責任 説明責任がともなうのである

「くだらねぇこと言うな。」
などという発言は議論以前とおもわれるが
議論だというなら
どういう点がどのように 何故意味がない(くだらない)のか
説明する責任が伴うのである

拒否

2006-12-16 | 想い・雑感
ブログ一覧を見て改めて驚いておりますが
著しい数のブログが世の中には存在しているようです

同時刻に発信された文章の多さには
ただただ 圧倒されるばかりです

そんな中 私のブログにたどり着いてくださるということが
極めて 有り難きことだと実感致します

ところがここに来て
不快なトラックバックが紛れ込むようになってきました
確認するまでは非公開として 妙なものは削除するようにしているのですが
すこし面倒くさい
かといって受け付けないと
素敵なブログに出会うチャンスが減るかもしれない
特定のブログからのトラックバックを自動的に拒否することはできないものかなあ

小さなこと

2006-12-15 | 想い・雑感
小さなことで くよくよするな

なんて言われたり
ついつい 言ってしまったりする

くよくよしている人の心のなかでは
小さくないから おろおろしてるんだよね

心配しなくても 大した問題じゃないんだよ
ということを そっと気づかせてくれる
そんな言葉や態度を示してあげられると いいね

視点を変えることができず
時間が経っても そこから抜け出せないと
心は どんどん落ちていく

あまり落ち込んでしまわぬうちに
そっと救い上げてくれると
有り難いね

アイスマン

2006-12-14 | 
アイスマンとはじめて出会ったのは
留学中に読んだ Science だったと思う
強く印象に残った
10数年たった今でも 時折思い出す

普段私たちは
今 という時を中心としてものを考えるし
立っている場所からものを見ている

しかし 悠久のときの流れを感じたとき
その流れの不思議さに驚く

5千数百年前にアルプスの山中で力尽き
氷河に守られるように 遺体が閉じ込められたのち
近くをトレッキングしていた夫婦により見つけ出された ミイラ

アイスマンという名前も魅惑的だが
5000年前にも
人は 生き 生活していたという事実が持つ不思議さ
それは 心を奥のほうから揺さぶる感動がある

多発性骨転移

2006-12-13 | 医療・病気・いのち
乳癌からの転移は 骨に起こることが少なくない

骨転移が一カ所だけなら 放射線治療という選択肢もあるが
多発していると難しい

抗癌剤などを組み合わせて治療しても
根治することは稀である

肋骨への多発転移を抱えている方がいる
痛みに対し 疼痛コントロールがされていたが
痛みが楽になり 体を動かすと 骨折してしまう

転移のある場所は骨が弱くなり
本来なら折れることのない ちょっとした力で
折れてしまうのだ

胸にコルセットを巻いて
現在はベッド上の生活になっている
電動式ベッドで 起きあがるのも
恐怖が先に立って できないようだ 

進行癌や再発癌に対して
手の出しようのないことは
山のようにある

ものは言いよで 角が立つ

2006-12-12 | 医療・病気・いのち
 悪性疾患であることをきちっと本人に伝えた上で治療をしている医師の割合はどれくらいなのであろうか。手術という危険を伴う治療手段を用いることの多い外科医としては、悪性であることを語らずして治療を開始することは難しいと思う。特に進行癌の範疇に入る場合には、再発した場合の抗癌剤治療をスムーズに行うためにも、最初の段階で告知することが必要だと思っている。

 ところが、手術が必要とのことで内科医から患者さんを紹介された場合、悪性疾患であることを伝えていないことが意外と多い。次第に伝えようとして時間切れになったのか、告知は外科医に任しちゃえと思っているのかはわからないが、まあそれはどうでも良い。

 しかしせめて、告知をしているか否かは、紹介状に書いておいて欲しいものだ。何も書いてないと、まず悪性であることを聞いているかどうか探らなければならないし、ときには患者さんが上手で、聞いているかのように振る舞うこともあるから要注意だ。

 私は基本的に、きちっとお伝えした上でないと治療を開始しないので、最終的には告知をする場合がほとんどではあるが、伝える手順や段階というものがある。ものは言い様と言うが、告知するにも伝え様というものがあるのだ。

限り

2006-12-11 | 
 親のありがたさというものは 親が生きているときにもたびたび感じますが
 死んだ後に時が経ってなおさら
 何かにつけ しみいるようにありがたさを感じます

 人間は想像力故に他の動物と区別できるとの見方もできますが
 その想像力は大したものでなく
 大切なものを失う間際になり
 あるいは 失ってしまってから やっとそのありがたさに気が付くという情けなさです

 それでも気が付かないよりはまし

 自己のいのちが残り少ない事実を突きつけられるのは
 だれにとっても 楽しいものではありません
 ただ その時に悲嘆にくれるだけではもったいないような気がします
 今から 死とは自分にとってどんなものなのか
 時に 想像してみるのも 意義在ることだと思います

 限りがある故に 輝いている この有り難い生命への感謝を胸に抱く
 そんな時を持つことにより 人として一段高いステージに昇れるように思います

 最後の時が必ずやってくることは確かだとしても
 それが いつなのか 誰にもわかりません
 しかし その瞬間まで生きているのです
 大切に 感謝して 味わって 生きていたいものです

笑顔

2006-12-11 | 想い・雑感
変動はあるものの
気温の低い日が増えてきた

気温が下がり 体が冷えると
筋肉が緊張する
顔の筋肉もこわばり
表情が硬くなる

年末が押し迫り
気分も慌ただしくなる

こんなときこそ笑顔を

時折鏡を見て
いろいろな表情をしてみよう
こすって暖めた 両方の手のひらで
顔をマッサージしてみよう

笑顔は 周囲を明るくする
笑顔は 自分自身を救う

救急車

2006-12-10 | 医療・病気・いのち
 昔のワゴン車(今で言うone box car)は、作業用の車という認識であった。それもそのはず、土台はトラックであった。トラックの上に屋根と囲いをつけたという状態だ。

 当時の救急車もそのワゴン車を改造したものであり、サスペンションが良くないため、患者さんに付き添って救急車に乗ったりすると、その振動とカーブでのローリングで気分が悪くなりそうであった。患者さんもかえってひどくなるのではないかと心配する必要があった。

 しかし、ワゴン車が進化し、乗用車としての地位を築くにつれ居住性が向上。現在の救急車も随分と乗り心地が改善した。

 改善したからといって、決して運ばれる側になりたいとは思わないが、危急の時に必要な車。よりスムーズに運んでもらえるのは有り難い。

 今は亡き私の両親も、救急車のお世話になった。

 母は、最後旅立つ前に1回。
 父は、生きている間に2回。

 車を運転していて、救急車が近づいてくると、大急ぎで車を路肩に寄せる。1分1秒を争っている方が搬送されているのかもしれない。

 救急車のサイレンが聞こえる。その車の中では、あるいは緊迫した状況が繰り広げられているのかもしれない。無事を願う。

一寸先は

2006-12-09 | 医療・病気・いのち
 手術という治療の危険性を考えるとき、手術によって引き起こされる合併症に注意がいきがちだ。しかし、必ずしも直接手術との関連がはっきりしないようなことも起こりうる。

 なかでも、心筋梗塞、脳梗塞、脳内出血などは、日常生活の中でも起こりうるもので、当然手術後にも起こりうる。実際に脳梗塞や脳出血を起こした方を、見たことが何回かある。

 胃癌手術を受けた70代の方。手術や麻酔は非常に順調で、問題なく終了。ICUに戻ったあとも、全身状態は安定していた。血圧、呼吸数、尿量、体温などに問題はなく、鎮痛は十分で、意識もしっかりしていた。

 たまたま当直をしていた私に、術後5時間くらいして急に意識レベルがおかしくなったとの連絡が入った。直ちに訪室。呼びかけに対する返事がない。手足に力が入っていない。呼吸状態が不安定。血圧は上昇傾向。

 すぐに頭部CTを撮ったところ、くも膜下出血。

 一旦意識が戻ってきたが、再度意識がなくなるとともに呼吸状態が悪化。気管内挿管を行った上で、脳外科専門医の元へ搬送した。その間約30分。しかし翌日のお昼頃亡くなったとのことであった。せっかく手術は無事すんだのに、誠に残念な結果だ。手術をしなければ…という思いも出てくるが、手術前にそれを予想することは不可能だ。もし脳動脈瘤の診断が付いていたとしても動脈瘤があれば必ず出血するというわけでもないし、動脈瘤の治療自体にも危険を伴うし、選択は難しい。

 くも膜下出血は致死率が高い。脳動脈瘤が破れて発症することが8~9割と言われており、ほとんど即死という亡くなり方をする場合もある。

 手術を受ける際に、なかなかこんなことまで考えるわけにはいかないが、手術後というのは本当に何が起こるかわからない。

速過ぎる

2006-12-07 | 想い・雑感
新幹線でトイレに行くと(失礼!)
車輪の音が直に伝わり
ものすごい勢いで突き進んでいることを実感する 
人間の感覚 少なくとも私の感覚では
恐ろしさすら感じるスピードである

でも 毎日私たちは
24時間で 
地球の北緯35度あたりを
ぐるっと一周している
この動きは実感できないけれど
それこそ 恐ろしい速度で位置を変えていることになる

時も 驚くべき素早さで 過ぎ去っていっている
今 という瞬間のありがたさを感じながら
生きることが肝要だ

陸上や水泳などを見ていると
極わずかな時間の差で
順位が入れ替わる
こんなわずかな差でねえー
などと私たちは言うが
そんなわずかな時間の積み重ねが
人生を作り上げていく

…らしさ

2006-12-07 | 想い・雑感
紅葉の中に身を置く

色合いの多様さに驚く

木 毎に
 枝 毎に
  一葉 毎に
 色合いが違う

でも比べて初めて
違いがわかるんだよね

相対的なんだよね

人も同じ
自分らしさ なんて言う人がいるが
その らしさって
人との比較で初めてわかるんだよね
そんなもの 追い求めたってね