Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

青空

2008-10-06 | 想い・雑感
抜けたような・・・
と表現されるとき
天球のそこが抜け
どこまでの落ちていくようなイメージを持つのだろうか
たしかに
限りなく宇宙のかなたにまで
青空は続いている

吸い込まれるような・・・
と表現するとき
身も魂もいずれそこに吸い込まれ
宇宙と一体化する 同一化する
というイメージを持つのだろうか

晴れ渡る空を見上げると
足元には土があり 草の匂いが立ち上ってくる
青空にはそんなイメージがある

青空を見上げていると
大きな何かに
包まれているような感覚が沸き起こる

そして
なぜか
今 という瞬間が
いとおしくなる

幸せを感じるこころ

2008-10-04 | 想い・雑感
様々な希望を持って人は生きている
大きな夢を抱くこともあれば
ささやかな望みを希求することもある
そのすべての希望を奪い取られても
人は生きていくことができるのだろうか

何の希望もなく生きていることなど
私にはできそうにない
ならば
人からすべての希望を奪い取るような話は
当然できない

ただ
人は多くのことが望めない状況になるほど
本当にささやかなことを希望するようになる
闘病が長くなり
人生の終末を感じるようになった時なども
そうかもしれない
そしてそのささやかな希望がかなうことで
大きな幸せを感じることができる

特に病を患っているわけではない人々が
些細なことに 本当に普通のことに
幸せを感じる心を持つことができれば
ずっと豊かな人生を
歩んでいくことができるのかもしれない

どんなことでも幸せを感じることができるというのは
偉大な才能なのだろう
その才能を持つことができれば
毎日が豊かで 感謝の日々になるような気がする

穏やかに

2008-10-03 | 想い・雑感
人のこころを
いつでも
穏やかにできる

そんな言葉を語りたい

でもそんな魔法の言葉があるわけではない

言葉ではなく
語る人自身が
しんから穏やかでなければならない

嵐に会い
翻弄され
乱れ
怒る
己が魂
我がこころ

自分のそれすら穏やかにできない男に
人を穏やかな気持ちに
できるわけがない

ケアの質

2008-10-03 | 医療・病気・いのち
ホスピスケアの質を評価する指標の一つとして
最後の抗がん剤治療施行日と死亡日との期間があげられることがある
この期間が短いほど質が高い
つまり死ぬ間際まで癌化学療法をするのはよろしくない
という判断である

多くの場合その通りだと私も納得できるのだが
すべてに当てはまるかといえば
これもまたそうとも言えないのが医療の難しさ

例えば末期胃癌の方に化学療法を行う場合
代表的4剤系統を使用することになる
ある方法でダメなら別の方法にと変更して行き
この4剤を使い切ることが寿命の延長に繋がるとされている
ところが普通これらの薬を使い切ったあと
手段がなくなってしまうと
全身状態が悪化し化学療法どころではなくなる
多くの場合緩和ケアに移行することとなる

4剤を使ってしまい
そのすべてが効かなくなり
食事が全く通らなくなったNさん
もう積極的治療が難しくなってきており
年は越せない可能性が高いことをご主人に伝えた
そして最後に10年以上前から行われていた治療で
現在も治療として生き残っている
メソトレキセートと5-Fuを用いた治療を行うことを提案した

できることは何でもと免疫療法のことも考えているご主人はすぐに同意され
ご本人も同意された

体力が落ちてきている状況で
この治療が効かなければ
薬は単なる毒となり体を蝕む
ケアとすれば最悪のことをすることになる

ところが
1回の治療を行ったところで
翌週から全く食べ物が通らず食べなくても唾液や胃液をはいていたNさんが
吐かなくなり
数口だが食事を取ることができたのだ
間違いなく効いたのだ
そして苦しんでいた嘔気 嘔吐から開放されるという緩和治療ともなったのだ

この治療が全く効かなかったら
癌化学療法を行った最終日と死亡までとの期間は
一月もなかったかもしれない
それならやはり最悪の緩和ケアをしたことになる

さあ自分がその立場になったとき
私たちはケアとキュアのどちらに軸足を置くのだろうか

切除すべきか否か それが問題だ

2008-10-02 | 想い・雑感
長い生物進化の中で
多くの種が地上に現れ
その大多数が消えていったそうである

いま地球に存在している生物は
淘汰を免れ生き残ってきたもの
無駄な臓器を持っている可能性はきわめて低い

癌に対する手術は
必然的に臓器を取ってしまう
生きるうえに役立っているものを取り去ることになる
それゆえの機能低下は
程度の差はあっても避けがたい

機能低下を極力少なくするために
癌の進行に応じて切除範囲を決めることになる
非常に進行した場合には
切除しないという選択も重要になる
患者さんにとっては手術ができないという選択になる
治癒の可能性が低いという宣告になる
だから何とか手術の可能性を探ることになる


検査を組み合わせ
総合的に判断しても
切除可能か否か 切除の意味があるかどうか
どうしても決められず
開腹して判断することがある

そして開腹しても手術を続行するべきがどうか
判断のつきかねることがある

判断の結果がより良いものだったかどうかは
時が経過しなければわからないが
そのとき その瞬間に判断するしかない
同じような状態に見える場合も
見えないところで差があるのだろうが
その差は見えない
見えないところまで見通すのは
神の領域である


判断の結果が思わしくなかった場合

ああしとけばよかったかな・・・
あれはしないほうが良かったのか・・・
必ずしも答えのない 自問自答を繰り返す

学会や論文発表という他の医師の検討からも学び
明日の診療に結び付けていく

ただそれでも別の判断をしたほうが良かったかどうかも
わからない場合が多いのだが・・・