Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

ピロリ菌

2012-07-11 | 胃の診療

胃液の中には塩酸が分泌される。その強い酸がある環境下で生きていける細菌は存在しないと思われていた。ところが1983年、慢性胃炎の患者胃粘膜からヘリコバクター・ピロリが分離された。1991年にはピロリと胃癌との関連が発表され、1994年にWHOがピロリ菌を発がん性リスク因子と認定した。★ピロリ菌の感染は5歳くらいまでに起こり、成人への感染はまれとされている。そして上下水道の普及とともに日本における感染者も減少してきている。でもすでに感染している人は胃癌発症のリスクがある。★癌年齢と言われる前に、ぜひ一度胃の内視鏡検査を受けて欲しい。そして検査の際にはピロリ菌感染の有無も同時にチェックしてもらってください。そしてピロリ菌がいたら、除菌治療をしてもらいなるべく発癌の可能性を低くしましょう。◇ただし、除菌をしたからと言って100%発癌がないわけではないので、どの程度の頻度で検査が必要か、専門医に尋ねてください。◇今後はピロリ菌感染者の減少に伴い、この菌が誘引と思われる胃癌は減ってくると予想されている。ただピロリ菌と関係のない胃癌の割合が増えてくると推測される。実際、その兆候は報告されてきている。

ハンカチーフ サイン

2012-07-11 | 想い・雑感

歳をとってくると
肌の弾力がなくなるので
皮膚をつまみ上げるとなんだか戻りが悪い
なんかがっかり

ただ摘み上げた高齢者皮膚が
つまんだ指を離してもなかなか戻らず
摘み上げた後そのままになっているハンカチのようになっていると
脱水の可能性がある

これをハンカチーフ サイン と呼ぶらしい

高齢者の脱水は気付かれないまま進行することもあるので
時折軽く手の甲の皮膚をつまみあげて
もどり具合を確認してあげると
よいかもしれない

ただきつくつまんで皮下出血でも起こしたら
DVと思われるから
くれぐれもそっとつままないとね

ふらふらダンス

2012-07-10 | 想い・雑感
術後の定期検診で来られた患者さんを診るとき
ほぼ全員のふくろはぎを軽くつかむ
すると筋肉がしっかりついているかどうかがわかり
栄養が摂れているか 
体をうごかしているか
ということを推測できる

胃全摘後2年経った方
検査で特に再発兆候なし
前回受診時に「フラダンスを習い始めた」と言っていたので
まだ踊っているかお尋ねすると
「踊っていますよ。ふらふらダンスだけどね。」
との返事
うまいことを言うものです

でもふくろはぎにはしっかり筋肉がついている
おそらくふらふらせずに楽しく踊っているのでしょう

一方かなり病勢の進行した高齢男性
2週間前にお会いした時より
一気に弱ってきている
足を触ると筋肉が落ちてしまっている
さあここから少しでも回復できるといいのですが
無理のかからない程度に
栄養補給を試みてみましょう

カーブ

2012-07-10 | 想い・雑感

見通しの悪いカーブを
バイクで走り抜けるときには気を使う
注意が必要なのは
対向車と路面の状況

センターラインを平気で超えて走る
ドライバーを時々見かける
最近では街中で暴走する薬物乱用者もいるから要注意
センターラインにつかず離れず走らせる

濡れた路面
落ちている石
落下物
泥や砂
マンホール
などに乗っかるとスリップしてしまい
転倒の危険大である

運転の際には少し遠方を見据えているほうが
走りが安定するのだが
見通しの悪いカーブのときは
カーブの先を意識しつつも路面から注意をそらせない

モルヒネと寿命

2012-07-10 | 胃の診療

末期がんの痛みを取るためにモルヒネを使うと、命を縮めると信じられていた時代がありました。今でも時に、そう信じている医師がいることには信じられない思いです。除痛を目的とした医療用麻薬の使用が、寿命を縮めたりしないことはデータが示しているのです。✿癌による痛みは、癌がよくならない限り自然とよくなることはありません。治癒困難な癌の場合は、痛みが強くなるばかりです。それを我慢させようとしたり、我慢しようとしたりすることは悲惨さを求めているようなものです。✿痛みは、心を傷つけます。意欲も活力も奪ってしまいます。ただ痛みを我慢するだけの毎日ならば、「もう止めてくれ!」と誰もが叫びたくなるはずです。✿癌性疼痛にたいする鎮痛剤の使用目安がWHOから発表されてすでに数十年。いまだに不十分な鎮痛剤使用で、痛みに苦しむ患者さんを放置するなんて許せないことでしょう。✿私たちは、死ぬまで生きています。その生きている時間を、避けられる、あるいは除ける可能性のある痛みとともに過ごす必要なんてありません。もし癌性疼痛に苦しんでいたり、苦しんでいる人が身近にいたりするのなら、ぜひ医師に対し痛みを取り除く努力をするよう訴えてください。我慢する必要はありません。

太陽

2012-07-09 | 想い・雑感
久しぶりに晴れ間が広がった

暑い雲に覆われ気づかなかったが
夕方 と感じる時間が
随分遅くなっている

雲が発生し雨が降るのも
太陽さんのお蔭
とわかちゃいるが

青空を見上げると
太陽に生かされている
と実感できる

さあ
夏本番も近いが
暑いからと言って
太陽を恨むようなことは
しない … つもり

極端

2012-07-07 | 想い・雑感
認知された治療方法と
怪しげな治療方法との違いの一つは
極端な例に対する態度だと思っている

データのない治療方法を宣伝しようとすると
極端な例に注目を集め
さも効く治療方法であるかのように装う

一方きちっと検討しようとするときは
極端の例の影響を少なくしようとする

その端的な例が中央値である

例えばある治療を行った時の
生存期間(何か月間生きられたか)を検討する場合
11人の被験者の生存期間が
Aさん46か月 Bさん47か月 Cさん48か月 Dさん49か月
Eさん50か月 Fさん50ヶ月 
Gさん51ヶ月 Hさん52ヶ月 Iさん53ヶ月 Jさん54ヶ月
Kさん1500ヶ月だったとすると
平均値は 200ヶ月
中央値は 50か月
である

つまり平均値を取れば極端な例の影響を受けてしまうのに対し
中央値はその影響をすくなくすることができるのである
だから治療成績を生存期間などで検討する場合
中央値がよく用いられる

一方怪しい治療方法を推し進める場合は
上記11例のうちKさんの1500ヶ月のみに注目するのである
極端な例に対する態度が全く違うのである

遠雷

2012-07-06 | 想い・雑感
天気予報を見ると
なかなかきわどい予報だが
何とかなるさと
自転車通勤

職場に着く少し前にに
ぱらぱらと降られたが
問題なく到着

午後には少し降っていたが
帰るときには
上がっていた

自転車にうち跨り帰途に

自宅まで1.5km位のところで
遠雷が聞こえる
空を見上げると
明るさがあるので
もう少し大丈夫だろうと思いつつ
ペダルを回す足に力が入る

あと1km
うん?
しずくが頬に

いかん!!
キコキコ キコキコ
あと300mくらいで
強く降り出したが
何とか到着
きわどい 生還でした

遠雷が 帰路につく背を 後押ししてくれました

最後まで

2012-07-06 | 想い・雑感
末期がんの患者さんに対し
代替医療と銘打って
治療方法をアピールする人が
世の中にはたくさんいる

患者さんの体調を整えるといういみでは
ぜひ取り入れてみたいと思う
代替医療もあるが
癌治療という意味で効果があると思われるものは
いまのところほとんどない

それでも
真摯に治療を進め
そして最後まで目の前の患者さんに
付き合い寄り添う気持ちでやってくれているのならまだよいが
「効果ありまっせ!!」と宣伝している治療方法で
うまくいかないとわかると(うまくいかなくて当然のものが多いのだが…)
こちらの治療では無理なので
医療機関で対応してもらってくれと放り出す

そんなところが少なくない

私は外科医だから
手術技術を高めるために努力してきたつもりだが
手術はあくまで治療の一手段であり
手術ができない状態の患者さんだからと言って
放り出さないと決めてやってきた
抗癌剤治療 緩和ケア 栄養サポート…
患者さんが望めば 最後まで付き合う
それがわたしのやり方

だから
効かないとわかれば放り出す姿勢に
強い憤りを感じる

でも仕方がない
宣伝しているやり方以外の術を
知らないのだから

ただ
治療しなければ家庭で過ごせる時間が
2か月程度と思われる進行胃癌患者でも
きちっと抗がん剤治療を行えば
10か月くらい家庭で過ごせた可能性があったと考えた場合(これは統計的事実)
結局2か月しか家庭で過ごせなかった
代替医療を選択した人を思うと
あやふやな治療方法で患者を集める人間の罪は重いと思う

尿管狭窄

2012-07-06 | 胃の診療

腹腔内は腹膜という薄い膜に覆われています。背中側の腹膜よりさらに背側にある臓器を後腹膜臓器といい、大動脈、下大静脈、膵臓、腎臓、尿管その他があります。胃癌がこの後腹膜方向へ進展していくことがあります(後腹膜浸潤)。❥その浸潤に伴ない胃癌の治療上特に問題となるのが、尿管狭窄です。癌の後腹膜への進展に伴ない尿管が締め付けられていくわけです。尿管は腎臓でつくられたおしっこを膀胱へ運ぶ管。それが詰まってくればおしっこを体の外へ出せなくなり急性腎不全となります。❥検査上腎機能低下が明らかになるのは、尿管がいよいよ狭くなってからですから、一旦悪化し始めると短期間のうちに一気に急性腎不全へとなってしまいます。そうなった場合、尿管の中に細い管(ステント)を入れてもらいます。それにより尿の通り道を確保するわけです。ステントを入れるのは膀胱鏡というカメラを膀胱に入れ、尿管の出口を確認して入れるので手術は必要ありません。ただ、見つかるのが遅れて、尿管が完全に締め付けられてしまいステントが入らない場合は、背中から直接腎臓に管を入れる(腎瘻)必要があり、これは手術が必要です。❥腎不全になれば命にもかかわりますし、抗がん剤の使用もできなくなります。進行癌で後腹膜浸潤が疑われる場合には、常に尿管狭窄の可能性を考えておく必要があります。

跳ね上がる

2012-07-05 | 想い・雑感

抗がん剤治療の中止を希望され4ヶ月
腫瘍マーカーの値が
勢いよく跳ね上がる

食事はおいしく食べることができるが
体のだるさが急に出てきたという

お腹を触ると
胃癌の転移した肝臓がはれ上がり
みぞおちに大きくふれる
初診時に触れたときよりはるかに大きい
抗がん剤治療で
一旦はまったく触れなくなっていたのだが

この後
症状は急速に進行していく可能性が高い
全身状態が悪くなれば
抗がん剤治療はもうできなくなる

もう一度癌化学療法を行うか否か
2週間ほど考えたいという
さて2週間後に抗がん剤を使用できる体調を維持できているかどうか
難しいところである

仕事はほぼ片付いたと言われていたが

転移

2012-07-04 | 胃の診療
音楽グループにしろ会社にしろ、組織が大きくなれば勢いが出てくると同時に、まとまりを維持するのが難しくなる。胃癌も、大きくなるにつれ勢いが増すと同時に、一所に収まらずよそに分派を作るようになる。転移を起こすわけである。●転移を起こす際には、大元の組織(原発巣)を離れるわけだが、(イ)離れた後血液の流れに乗ってよその臓器へと陣地を広げていくのが血行性転移、(ロ)リンパ液の流れに乗ってリンパ節という関所を占拠していくのがリンパ節転移、(ハ)胃の壁の外に癌が顔を出し、そこから直接腹膜へと散っていくのが播種性転移である。●転移を起こすと、がん細胞を体から完全に排除し、根治に持ち込むのが困難になってくる。だからこそ癌が小さいうち、転移を起こしていないうち、早期のうちに見つけるのが得策。そのためにはやはり検診が必要。全く胃の内視鏡を受けたことが無い人は是非一度受けて欲しい。●「癌になったらなったときのこと」とのん気に言えるのは、まだ癌と診断されていないからですよ。なんの症状もない人に、すでに癌があるなんてことはちっとも珍しいことではありません。なんせ日本人の約半分は癌になるのですから。そして胃癌は日本人が患う癌の代表選手ですから。

表情

2012-07-04 | 想い・雑感

大腸癌が再発し
数年に亘り抗がん剤治療をうけていたCさんは
半年ほど前から
もう化学療法は受けないという決断をした

選択できる薬剤がなくなってきたことも一因だが
治療に費やされる時間と費用を
他のことに向けたいとの想いもあったようだ

ここにきて
ぐっと体調が落ちてきている
今回の入院が最後になりそうだ

疲れを滲ませた無表情なその顔に
山の話などをにこやかに語っていたときの表情を
少しだけでも届けてあげられないものだろうか

4300Km

2012-07-03 | 想い・雑感
胃癌術後7年ほど経過した
80歳くらいの男性
5年経過後も半年に一回の診療を希望され
顔を出してくれる

「もうそろそろお迎えが近いような気がする。
今年免許切り替えだが、
もう更新はするまいと家内と話している。」
とおっしゃるのだが
この春には北海道から東北と
4300kmのドライブをしてきたという
それもご本人が運転して

おもわず
「お迎えの近い方が4300kmは運転できないでしょう。」
と返したが
ご本人が何か感じる
体の奥底の衰えがあるのかもしれない
実際見た感じもすこし老けたようである

実感から出た言葉というのは
なかなか侮れないが
もしお迎えが近いとしても
その日まで元気で過ごしていただきたい

一応半年後の再診予約は
入れておきました

胃癌と言われたら

2012-07-02 | 胃の診療
胃癌の治療方針は、病気の進行度によって大きく異なります。ですから、胃癌と言われたら、組織検査で実際にがん細胞を認めたことを確認した上で、どの程度の進行度で、どのような治療方法が選択できるのかを尋ねる必要があります。▼ 必ず聞く必要があるのは、以下の5項目です。1:胃の壁のどの深さまで胃癌が存在するのか(早期癌か進行癌か)。2:リンパ節転移はあるのか。3:血行性転移(肝臓、肺、その他への転移)は認められないのか。4:腹腔内へ散らばっていないのか。5:総合的に進行度はどれくらいで、どのような治療方法が選択できるのか。▼早期であるほどに体にかかる負担が少ない治療方法を選択できるでしょう。ごく早期であれば、内視鏡による治療が可能です。早期でもすこし胃の壁の深くまで癌が浸潤していれば、手術になりますが、少し控えめな手術が可能です。逆に転移があるような場合は手術を選択できずに、抗がん剤治療などが必要となってきます。▼手術となった場合、10年位前から腹腔鏡を用いて、小さな傷で行う手術を行うことがあります。どの程度の進行度まで腹腔鏡を利用するかは施設により多少方針が異なるので、その点も聞いておく必要があります。▼いずれにしろ、胃癌と言われたら、進行度(病期)がどれくらいなのかを、必ずお聞きになってください。