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私は下町にはちょっと疎くて
確かに美味しいものが沢山あるのだとわかってはいても
なかなか機会がないと足をのばせない。
この日も入谷から少しあるいた
竜泉寺町、というところにあるお店を探すのに
ちょっと苦労した。
入谷といえば、昔
母と朝顔市に出かけた、あの場所だ。
下町の、住宅街に埋もれるように
ひっそりと建つ
純和風の家屋が、そのお店だった。
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普茶料理~梵。
普茶料理(ふちゃりょうり)とは、
約300年前、中国、明の隠元禅師が
京都宇治に黄檗山萬福寺を建立した折より伝わる精進料理。
日本では京都の萬福寺と
ここ入谷の梵でしかいただけないという、貴重なお料理だ。
畳の個室に通され
さながら京都の小料亭に招かれたような気分。
まずはらくがんと桜香煎茶を頂き、
そこからお料理が供される。
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精進料理なのでお魚やお肉は出てこない。
湯葉やお野菜に細かい手をくわえて
見事なお料理に仕上げる。
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生麩でつくった桜餅や
椎茸のお寿司、こごみやふきのとうなどの
春の味覚がいっぱい。
お口の中は春爛漫となる。
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おつくりは、柔らかい<筍>。
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温菜は桜蒸し。わらびも添えられて。
このほか、手づくりの胡麻豆腐も絶品。
私は胡麻豆腐、大好物。
一品一品、ご主人が丁寧にお料理を運んでは
説明をしてくださる。
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揚げ物。 見ると海老?と思えるものが中央に。
いえいえ、これは人参を束ねて
まるで海老の揚げ物のように見せている。
色々な知恵が凝縮されているお料理。
なかなか普段、こうしたお料理を頂くことは
出来ないので本当に貴重な経験をさせて頂いた。
心のこもった
とても贅沢なお料理だった。
また、季節をかえて訪れてみたい、
日本人に生まれてよかった、と
思える、
そんな
竜泉寺町にある、普茶料理~梵。