YNWC的な日常

街の中でも季節を感じて暮らしたい。生き物や自然のの話を中心に美味しい食べ物、散歩のことなど綴っていきます

ガマ合戦〜ヒキガエルの産卵〜

2022-02-20 06:00:00 | 哺乳類・両生類・爬虫類・魚類



2月中旬、アズマヒキガエルの産卵が始まります。池の中に横たわる卵塊は、そのほとんどが他の生き物に捕食される運命。天敵を避けるようにまだ寒い季節に産卵し、本格的な春が来るまで再び冬眠につきます。


通常ヒキガエルは薄暗い森林の腐葉土の中で暮らしています。民家の縁の下なんかにすんでいることも多い陸生のカエルです。冬の間は落ち葉や土の中で冬眠しています。



そして、産卵の季節になると一斉に繁殖場所はである生まれた池へ集まってきます。自然の豊かなところではその数は数100にもなるそうです。メスの上にオスが乗って産卵するのですが、圧倒的にオスの数が多く、メスをめぐって熾烈な争いが繰り広げられるわけです。

その様子を「ガマ合戦」とか「カエル合戦」なんて呼ぶんだとか。わたしは、そんな壮絶な場面にはまだ遭遇したことがありません。いつか見てみたいものの一つです。



さて、そうして産卵された紐状の卵塊の長さは2mにも達し、中には1500~8000の卵が入っているそうです。本種であるニホンヒキガエルに至っては、卵の数は最大14000になることもあるんだとか…。

そんな長いものがどうやってメスのお腹に入っているのかと不思議に思ったのですが、ゼリー状の部分(卵嚢)は、産卵後に水を含んで2倍以上に膨らむんだそうです。

卵を乾燥から守ったり、外敵から保護したり、受精を誘導したりと様々な働きがあるそうです。卵管からの分泌物でできているようですが、すごいものですよね。



水の中では土と同化して目立たない卵嚢ですが、引き上げて見ると意外にも透き通っていて、卵の様子が良く見えます。以下は2015年に卵の様子を継続観察したものです。

2月27日

3月2日

3月7日

まん丸だった卵がだんだん細長くなっていくのが分かりますか?

そして上の写真から3時間後…。




尾の部分が扁平なものから細長く変化した個体が動き始めました!!

たった3時間の劇的な変化∑(゜Д゜)

実は、その3時間ていうのは、飼育槽を寒い廊下から暖かい室内に移していたという条件の変化もあるわけなんですが…。

それにしても、たった3時間で形が変わり、動き方も変わりました。
動き方は説明が難しいのですが、最初は極たまーに「ピクン」と動くだけだったのが、3時間後には尾を「ピロロロ~」とふって動くようになりました。

すごいっ!!!!!




すっかりオタマジャクシらしくなったヒキガエルの卵たち。元気よく尾を動かし動き回ります。

それにしても、こんな無防備な姿で水の中に漂っていたなんて…

水の中で暮らす他の生き物たちにとっては、ご馳走というしかありませんよね。なので、自然度が高い場所では、ヒキガエルの卵を狙って、イモリやサンショウウオなど、たくさんの水棲生物が集まってきます。


ヤマアカガエルの卵@東京都あきるの市

想像してください。寒い冬をじっと耐えしのんできた生き物たちの前に差し出された豪華なご馳走たち。そりゃ、みんな喰いついて、喰いついて、喰いついて…。

気温の上昇にともなって、生き物たちが爆発的に増えるわけなんですね。それを支えているのが、実はこのオタマジャクシ(もしくは卵)たちだったんです。



しかし、産卵するための水辺と山とが道路で分断されたため、交通事故で命を落とすカエルが後を立ちません。最近は水辺そのものがなくなったり、さらには年々増加するアライグマによる捕食も確認されたりと、横浜だけでなく全国的に危機的状況にあるようです。

カエルの危機は他の野生生物にとっても食料喪失の危機。問題は根が深く、考えさせられます。







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