まだ8月になりませんが畑の北の土手は、草がグングン伸びています。電気柵に触れる草もあります。で、きのう「8月の草刈り」をはじめました。写真は北の土手で、手前に一叢見えるのはクララです。小さい苗を一本だけ5年前に植えたクララは、毎年株が増え、根が太くなり、今年もサヤがいっぱいついてます。種(豆)がたくさんとれるでしょう。
いま読んでいる『どん底の共和国』= 北朝鮮不作の構造 = より
この本は1989年つまり25年前に出ました。著者は北朝鮮の元山農業大学で16か月客員講師をつとめた在日朝鮮の人です。彼は愛する祖国の人々のために、農業を教え、収穫を増やしてもらおうと、機材を寄付し、精いっぱい活動しました。何度も北朝鮮に入国し、大学で教え、ボルボ(車)と運転手・案内人をつけてもらい、長期に滞在して農業の実情を知りました。どうしようもなくなってこの告発本を書いたのです。
そんな古い本を、ぼくが取り上げるのは、「あの国の人たちの生活は現在も変わっていない。生存ギリギリのところで苦労しておられる」からです。国際政治と無縁のところで地を這う生活を長年強いられてきた人々と、それを強制してきたあの国の独裁政治体制をできるだけ多くの人に知ってほしいからです。
問題点をいくつか紹介します。
○ 全国土段々畑化政策 …… 主食にするトウモロコシを増産するために「山という山を段々畑にせよ」という恐るべき政策が1970年代から行われ、国土が荒れて、いまどうしようもなくなっている。土砂は流れ、耕地は石があふれ、河川は浅くなり、洪水は頻発し、国土が破壊された。
○ 稲の密植 …… 「稲を密植するとたくさん米がとれる」と国民に強いた。その結果減産になり、餓死者が出た。実は毛沢東も中国でそんなやり方をさせた。素人考えを押しつける。
実は口吉川町では、ある村が稲の『疎植』にとりくんでいます。苗と苗の間をたっぷりとる植え方です。苗が少なくてすみ、手間も省けます。しかも太陽が下まであたり、分けつがすすみ、有効な穂が多くなり、収量が上がります。
○ 主食をトウモロコシにして段々畑で増産しようとした。そのトウモロコシだが、ポップコーン系でなくデントコーン系の品種を植えさせている。デントコーンは昔は飼料用としてつくったが、現在は澱粉、アルコール、コーン油の原料として栽培される。それを国民の主食にさせている。粒は固く、糖分が少ないが収量はポップコーン系の2倍になる。(北朝鮮ではそんなにとれないが)
○ 田植え機やコンバイン(稲刈り・稲こき)がなくて人海戦術でいまも田植えや稲刈りを行っている。しかし物資不足と無責任体制で収穫は乏しい。ウンカを網でとろうとしている。満足な鎌や鍬もない。それが全国の問題なのだ。(宣伝用ショウウインドウは別扱いである)
○ 「刺激の強いキムチは健康によくない」とか首領様が理屈をつけて白菜やトウガラシ・にんにくなどが国民に配られない。自家のわずかな庭は自留地になっており作物をつくることができる。国民は必死に作っているが、自留地でビール用ホップを栽培しろと命令して、実質的に自留地とりあげてしまう。
1年や2年の辛抱でなく何十年もそのままの体制がつづく。考えただけでやり切れません。