マリインスキー劇場バレエ団およびマリインスキー歌劇場管弦楽団による
ストラヴィンスキー『春の祭典』です。
『火の鳥』に比べて、ニジンスキー振付の復刻版『春の祭典』は何度観ても面白い。
例えば第1部<大地礼賛>の後半・・・
「賢者の行進」は、2台のテューバが重々しい旋律を奏でますが、
舞台上では、両脇を若者に抱えられて長老と思しき人がゆっくりと姿を現します。
そのあと「大地礼賛」という極めて短いパートがあります。
時間にして20秒ほど、数小節のシーンです。
音楽だけを聴いていたときは「何だろう?」と思いましたが、
舞台では先ほどの長老が跪き、大地に口づけをしています。
大地の恵みへの感謝でしょうか?短いけれど非常に厳かな場面で音楽の意味がわかります。
また第2部<生け贄の儀式>の冒頭・・・
第1部終わりの激しさから一転、非常に静かでゆっくりとした音楽が続きます。
「乙女たちの神秘的な集い」という場面です。
ここも音楽だけですとあまり情景が思い浮かばず、ちょっと退屈なのですが・・・。
乙女たちが輪になって踊っていますが、途中で突然一人の乙女が輪から弾かれます。
その乙女はすぐに踊りの輪に戻りますが、またも輪から外れ、中央に押し出されます。
"生け贄"となる者(The Chosen One)が選ばれた瞬間です。
この振付は、失われたニジンスキーの振付を、
残された資料や当時の関係者からの聞き取り調査をもとに復刻させたものですから、
100%当時のまま(ニジンスキーのオリジナル)ではありません。
しかしこの、生け贄となる乙女が選ばれるシーン(の振付)は、
例えオリジナルと違っていたとしても素晴らしい描写だと思います。
『春の祭典』という作品は、ニジンスキーの振付もストラヴィンスキーの音楽も、
当時の常識を遥かに超えた"前衛的"なものだった、というものです。
確かに当時の常識にはない作品であることは間違いありません。
しかしこの舞台を観ていると、同時に、踊りも音楽も極めて"写実的"という印象を受けます。
簡単な粗筋と各場面のタイトルを教えれば、子供でも楽しめるのではと感じます。
生け贄に選ばれた乙女は、そのあと輪の中央に佇んだまま踊りません。
そしてクライマックス「生け贄の踊り」で何かに"とり憑かれた"ように踊りだします。
この踊り、身体の軸(体幹)を横にしたまま垂直に飛び上がる、という感じで
ダンサーの身体に非常に負担をかけるらしいです。
(だから"選ばれし乙女"はこの場面まで休んでいるのでしょう。それでもきつそうですが)
初演当時の振付のスケッチも残っているみたいなので、
紛れもなくニジンスキーの振付なんだと思いますが、まさしく"天才の閃き"でしょうか。
「生け贄」にされる乙女の苦痛と恍惚をダンサー自らが体現する・・・。
当舞台では、アレクサンドラ・イオシフィディという方が"選ばれし乙女"を踊りましたが、
正直最後はちょっと息切れ気味です。
私が兵庫県立芸術文化センターで観た「復刻版・日本初演」の舞台では、
名古屋出身のコンテンポラリー・ダンサー、平山素子さんが"選ばれし乙女"を演じました。
生で観た(その上かなり前)のとTVで観たのとでは、比較するのに無理がありますが、
私は平山素子さんの方がよかったと思います。
ところで、このニジンスキー復刻版振付による『春の祭典』、
小学生くらいの子供たちが踊ったら面白いのでは・・・ふと、そんなことを思いました。
もともと音楽を理解して、音に合わせて踊るのが不可能な作品です。
反復練習で身体で覚えるのは、子供の方が得意ですから。
飛んだり跳ねたり走り回ったりする振付が中心ですし、
体重が軽くて柔軟性がある子供の方が、"生け贄の踊り"にもあってそうです。
どこかの小学校で挑戦してくれないですかね。絶対面白いと思うのですが・・・。
ストラヴィンスキー『春の祭典』です。
『火の鳥』に比べて、ニジンスキー振付の復刻版『春の祭典』は何度観ても面白い。
例えば第1部<大地礼賛>の後半・・・
「賢者の行進」は、2台のテューバが重々しい旋律を奏でますが、
舞台上では、両脇を若者に抱えられて長老と思しき人がゆっくりと姿を現します。
そのあと「大地礼賛」という極めて短いパートがあります。
時間にして20秒ほど、数小節のシーンです。
音楽だけを聴いていたときは「何だろう?」と思いましたが、
舞台では先ほどの長老が跪き、大地に口づけをしています。
大地の恵みへの感謝でしょうか?短いけれど非常に厳かな場面で音楽の意味がわかります。
また第2部<生け贄の儀式>の冒頭・・・
第1部終わりの激しさから一転、非常に静かでゆっくりとした音楽が続きます。
「乙女たちの神秘的な集い」という場面です。
ここも音楽だけですとあまり情景が思い浮かばず、ちょっと退屈なのですが・・・。
乙女たちが輪になって踊っていますが、途中で突然一人の乙女が輪から弾かれます。
その乙女はすぐに踊りの輪に戻りますが、またも輪から外れ、中央に押し出されます。
"生け贄"となる者(The Chosen One)が選ばれた瞬間です。
この振付は、失われたニジンスキーの振付を、
残された資料や当時の関係者からの聞き取り調査をもとに復刻させたものですから、
100%当時のまま(ニジンスキーのオリジナル)ではありません。
しかしこの、生け贄となる乙女が選ばれるシーン(の振付)は、
例えオリジナルと違っていたとしても素晴らしい描写だと思います。
『春の祭典』という作品は、ニジンスキーの振付もストラヴィンスキーの音楽も、
当時の常識を遥かに超えた"前衛的"なものだった、というものです。
確かに当時の常識にはない作品であることは間違いありません。
しかしこの舞台を観ていると、同時に、踊りも音楽も極めて"写実的"という印象を受けます。
簡単な粗筋と各場面のタイトルを教えれば、子供でも楽しめるのではと感じます。
生け贄に選ばれた乙女は、そのあと輪の中央に佇んだまま踊りません。
そしてクライマックス「生け贄の踊り」で何かに"とり憑かれた"ように踊りだします。
この踊り、身体の軸(体幹)を横にしたまま垂直に飛び上がる、という感じで
ダンサーの身体に非常に負担をかけるらしいです。
(だから"選ばれし乙女"はこの場面まで休んでいるのでしょう。それでもきつそうですが)
初演当時の振付のスケッチも残っているみたいなので、
紛れもなくニジンスキーの振付なんだと思いますが、まさしく"天才の閃き"でしょうか。
「生け贄」にされる乙女の苦痛と恍惚をダンサー自らが体現する・・・。
当舞台では、アレクサンドラ・イオシフィディという方が"選ばれし乙女"を踊りましたが、
正直最後はちょっと息切れ気味です。
私が兵庫県立芸術文化センターで観た「復刻版・日本初演」の舞台では、
名古屋出身のコンテンポラリー・ダンサー、平山素子さんが"選ばれし乙女"を演じました。
生で観た(その上かなり前)のとTVで観たのとでは、比較するのに無理がありますが、
私は平山素子さんの方がよかったと思います。
ところで、このニジンスキー復刻版振付による『春の祭典』、
小学生くらいの子供たちが踊ったら面白いのでは・・・ふと、そんなことを思いました。
もともと音楽を理解して、音に合わせて踊るのが不可能な作品です。
反復練習で身体で覚えるのは、子供の方が得意ですから。
飛んだり跳ねたり走り回ったりする振付が中心ですし、
体重が軽くて柔軟性がある子供の方が、"生け贄の踊り"にもあってそうです。
どこかの小学校で挑戦してくれないですかね。絶対面白いと思うのですが・・・。