那須高原の風景/裸木、枯れ草のなかに緑が生えてきた、春よ来い
痛みと傷痛み
痛みは目に見えず
痛みは当の本人しかわからないだけに
看護師は尋ねる
「最高の痛みを《10》としたらいくつですか」
妻は曰く
当の本人は痛い、と訴えているのだから
聞くまでもなく「10」ですよ
麻酔をかけずにメスで皮膚を切ったときの痛みが
「10」なのか
いま自分の右膝の痛みはジンジンし
立ち膝ができない
階段の上がり降りも苦痛
話しは変わるけれど
心の傷も目に見えない
ナイフのような言葉で
相手の心を傷つけた人は
痛みは感じていない
冬 3月まで
インフルエンザ感染対策から
面会ができない
介護施設が多い
入所している110歳の老母の様子を聞こうと
看護師に尋ねたところ
「なにかあったら連絡しますから」、と
戸をピシャリと勢いよく閉めるような音で
家族の気持ちを閉ざした
「なにかあったら連絡します」
そのときは
大概急変や危篤のときかもしれない
自宅で介護できない家族の負い目
その負い目に塩をなすりつけるような言葉
心の傷は
痛みとなり疼く
相手の痛み
自分の痛みとして
感じ取れるか
痛みに不感症になってはいけない、と自戒せねば・・・