老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

974 人の道に外れる

2019-02-27 20:32:26 | 老いの光影 第4章

南湖公園と桜

人の道に外れる

92歳を越えた堀川清子は
病院のベッドで
「これからどうしていいか」悩んでいる

中学校の敷地拡張で
長年住み慣れた隠居宅の移転を余儀なくされ
道路をはさんで向かい側の土地に
長男夫婦と同居する新築の家が完成した

長男嫁の料理は本当に下手で
味がしないし飾り気がない
満足に挨拶もできず近所づきあいもできない
家に閉じこもり

思うように体が動かない(行動ができない)老母に対し
長男は大きな声で怒鳴り続ける
何故怒るのか
よくわからない

いまになって
というよりは
体が動かなくなり
これから手がかかり
世話(介護)が増えて来る老母


老母は長男夫婦と同居できるのか
、と不安だけが膨らみ続ける
膨らみ過ぎた風船は弾け割れてしまう

40数年前 同じ屋根の下に
長男夫婦と同居してもうまくいかない、と
亡き夫は判断し なけなしのお金をはたき
隠居宅を建て清子夫婦は移り住んだ
移り住んで1年も経たない内に夫は星になった

昨年、暑い日が続いた夏 清子婆さんは
食欲がとれず脱水になり
寝たきりになり要介護5の認定を受けた

長男夫婦は
お粥ひとつ作れず
濡れた紙おむつを取り換えてくれるわけでもなかった
息子は「こんなこともできないのか」と怒るだけ

いままで世話(介護)をしていないから
同居したときはじめて
介護の大変さというよおりは
自分たちの生活が「侵害」される
新築の家が漏らした「糞尿」で汚れてしまう

そのときは特別養護老人ホームにでも入れればよい

病室のベッドで寝ている清子婆さんに問うた
(心臓肥大、不整脈があり治療目的に手入院)
「新しい家に長男夫婦と生活するの、それとも高齢者住宅に移り住む?」
「私も住めるよう(私の)部屋を作ってくれた新築の家、
折角長男が作ってくれた新築の家に住まなければ
人の道に外れる・・・・

”女性にやさしい家”と女社長・設計士は自慢されるが
高齢者が住む住宅なのに
玄関ドアは重い開き戸
なんで引き戸にしなかったのか、と思う
おまけに玄関戸の先は手すりのない階段

新しい家に住宅改修を提案したとしても
それは容易に受け入れられることは難しい
床面に置くタイプの手すりを考え転倒防止を図るしかない

退院後、新築の家で
ストレスだけが溜まり
うっ血性心不全が悪化しなければ、と
心配している

長男夫婦と次男・長女との関係は
さらに縺れ絡み
その狭間のなかで老母は
最後は何処で暮らすのか

92年生きてきた、生きている彼女
最後は
気持ち穏やかに 心安らかに逝きさせたい

自分(筆者)も「頭が痛くなる」
なにが幸せなのか





973 明日の生命はわからないけど・・・・

2019-02-27 03:29:15 | 老いの光影 第4章
明日の生命はわからないけど・・・・

誰も
明日の生命はわからない
二度と巡り来ない
今日という日を生きる

1ヶ月の生命を告知され
自宅に戻り
その生命は1ヶ月を越えた
清水太郎さん(80歳)
肺癌を患い
癌は腸骨、仙骨そして頭部にも転移
最後の桜の花になるかもしれない
春を待ちわびている老夫婦

一昨日退院し
自宅に戻ってきた
竹花咲子さん(85歳)も
生命はあと1,2ヶ月・・・・
左上顎洞悪性リンパ腫
抗がん剤の副作用と闘いながら生きている
認知症があるため
自分が癌であることを忘れ
他人事のように生きている

急変があったときは
夜中でもいつでも
「気兼ねすることなく電話をかけてください」と家族(老妻や長男夫婦)に話す

自分自身
癌ではないけれど
明日の生命は「ある」とは限らない




愛車キャンバスが帰ってきた


愛車キャンバスが帰ってきた
一月余り前
バックした際確認を怠り
小さな立木に衝突
運転席側の後から右側面にかけ大破

一瞬の不注意が
450,004円の大修理費となり
真っ青
車両保険で賄えたが保険料はup
自爆があったことは妻には話したが
修理費が嵩んだことは「ヒ・ミ・ツ」にしている
(余計な心配かけるから・・・)

でも人を轢かなくて良かった
チョッとした衝撃でも
車が破損しやすいのは
人とぶつかったとき
車が壊れやすくすることで
人への衝撃を緩和し、人を守る

事故起こさぬよう自戒し
今日から再び
キャンバスのハンドルを握り
在宅訪問に駆けて行く