陽炎や 寝惚けにあらず 加齢なり
(かげろうや ねぼけにあらず かれいなり)
16618 【季語】 陽炎 【季節】 三春
陽炎ひて 己の過去も 薄れ行く
(かぎろひて おのれのかこも うすれゆく)
16619 【季語】 陽炎 【季節】 三春
小指立て マイク持つ歌手 陽炎へる
(こゆびたて まいくもつかて かぎろへる)
16620 【季語】 陽炎 【季節】 三春
春昼や 時を忘るる 堰の音
(しゅんちゅうや ときをわするる せきのおと)
16621 【季語】 春昼 【季節】 三春
春昼や 靴の乱れに 孫の影
(しゅんちゅうや くつのみだれに まごのかげ)
16622 【季語】 春昼 【季節】 三春
世の中の 不条理嘆く 春の昼
(よのなかの ふじょうりなげく はるのひる)
16623 【季語】 春の昼 【季節】 三春
名も知らぬ 故の親しみ 花の影
(なもしらぬ ゆえのしたしみ はなのかげ)
16624 【季語】 花の影 【季節】 晩春
花の影 未来の見えぬ 現あり
(はなのかげ みらいのみえぬ うつつあり)
16625 【季語】 花の影 【季節】 晩春
上座床 奥行き深き 花の影
(じょうざどこ おくゆきふかき はなのかげ)
16626 【季語】 花の影 【季節】 晩春
尾を立てし 猫の子の影 撮りし人
(おをたてし ねこのこのかげ とりしひと)
16627 【季語】 猫の子 【季節】 晩春
春日傘 贈ってあげたし 雨の人
(はるひがさ おくってあげたし あめのひと)
16628 【季語】 春日傘 【季節】 晩春
春日傘 回して試す 運開き
(はるひがさ まわしてためす うんびらき)
16629 【季語】 春日傘 【季節】 晩春
春日傘 片戀ゆえに 後行く
(はるひがさ かたこいゆえに うしろゆく)
16630 【季語】 春日傘 【季節】 晩春
余花の雨 上がれば花の 戻り来る
(よかのあめ あがればはなの もどりくる)
16631 【季語】 余花 【季節】 晩春
生け垣に 咲きし豌豆 濃紫
(いけがきに さきしえんどう こむらさき)
16632 【季語】 豌豆の花 【季節】 晩春
永き日の 影忍び寄り 睡魔来る
(ながきひの かげしのびより すいまくる)
16633 【季語】 日永 【季節】 三春