クマザサ(隈笹)の花
クマザサに花が咲いた、この花はずっとずっと以前に見た記憶がある。
言い伝えによると60年に一回咲くという。
それが正しいとすれば十四、五歳当時の記憶になる。
吉兆より凶兆の花といわれるのは、開花した笹が枯れることに起因するのだろう。
その頃「昔々 箱根山中のクマザサが一斉に開花し、実がたわわに実った。本来笹はイネ科と同類だから栄養価は高い、それを食べて箱根山中に野ネズミが異常発生した。」 と誰かから聞いた。
その頃、良いことというのは、地球上のすべての人に同じように喜ばれることと単純に考えていた。
ある人の吉は、ある人の凶に連なる表裏一体であることなど考えもしなかった。