常念が見える部屋から

ここから北アルプス常念岳が眺望できます。
季節の移ろいに写真を添えて発信します。

栗を食べる

2009年08月21日 | 季節の便り
青い栗

三日前 明け方の空に、明るい星を従えて一筆書きしたような細い細い月があった。
この月は新月の闇を経て、やがて日が落ちた後の西空に三日月として復活する。
長い紐のような花を落とし、青葉に覆われていた青い金平糖のような栗が、もうこんなに逞しく大きくなっていた。
月の満ち欠けがめぐり、季節は絶えまなく動く。
青栗を叩き落としてイガを剥く、羽化したばかりのような白い栗は、それでもわずかに栗の味がした。
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クリアランス(ゆとり)

2009年08月20日 | 季節の便り
月下美人

「5ミリの穴を5ミリの棒は通過できるか」
という疑問に対して答えは「ノー」である。
最近ほとんど使われなくなったけれどガラス製の注射器は、内径5ミリの外筒に対し、外径4.96ミリの内筒を使って液体を押し出していると聞いた。
この内外差0.04ミリをクリアランスという。
クリアランスという横文字には様々な意味が含まれているらしいけれど、ここではヒューマンな「ゆとり」という意味に固定したい。
近頃あらゆる面で、クリアランスを、より小さくすることを指向しているように思えて味気ない。
そして「ゆとり」を無駄と定義されることが公然となってきた。
工業製品ならともかく、日常の行動のすべてを、小さなクリアランスで縛ることが合理化であるならば、それは将来大きな不合理に変化することもありうるだろう。








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雑草の恵み

2009年08月19日 | 季節の便り
太陽の沈む位置が、日一日と変わってゆく



 この種は、いったいどこから来たのだろうかと思いながら、盆の休日に背丈ほども伸びた、放置畑の雑草を、動力鎌で刈った。
 昔 勤勉な百姓は畑地に雑草を茂らすことを恥とした
ご先祖達は盆の風になって、畑の上を吹きながらきっと嘆いていたことだろう
幸いほとんどの雑草は冬の寒さで枯れる、もし南の国のように、この雑草が年間を通して成長を続けたら、もうここはジャングルの底に沈んでいたかもしれない。
いつだったか、草も生えない赤茶けた土地がどこまでも続くのを見て、ここは地の果てかと思った。
雑草が生い茂るのも大きな恵みである。
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電気の不思議

2009年08月18日 | 季節の便り
家の近くを通るローカルな送電線

すすき川には小さな4ツの水力発電所が作られている。
各発電施設から集められた合計2,640KWの電力は、この送電線を使って変電所に送られている。
中でも薄川第一発電所は、明治32年の竣工で、松本の町で風が吹いても消えないと評判を呼んだ白熱灯のエネルギー供給の源となった、由緒ある発電施設である。
電力専門家によると、電力は基本的に貯えができないから、発電された電気は、通常使うか捨てるかのどちらかになるという。
 理由は、電力需要が減った時、瞬時に連動して発電量を減らすこと、およびその逆を行う仕組みが、さまざまな要因から電力安定供給上極めて困難なことに起因する。
 というわけで折角発電しても、使われない電力は膨大な量になるらしい。
捨てられる運命にある深夜電力の有効利用は、地球環境保全に大きな力を発揮するに違いない。
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送電線に沿って歩け

2009年08月17日 | 季節の便り
送電線 信濃幹線


幕末のころ、母方の祖母は善光寺街道の宿場町刈谷原から、島立村字荒井へ
嫁いだ。
 時代は移り大正末か昭和の初期、母の姉(伯母)が、荒井から刈谷原に嫁入りしている、その夫婦は従兄妹だったのかもしれない。
 そのころ、荒井と刈谷原を隔てる刈谷原峠に、大きな鉄塔が立ち並び送電線工事が始まった。
鉄塔工事は山を越え、谷を渡り島立村のある松本平を縦断し、文明の息吹を伝えながらさらに南に延びていった。
 嫁ぐ娘に対して母が言った「辛かったら帰っておいで、あの鉄塔に沿って山を越えればいいんだよ」
私は伯母から何度もそういう話を聞いた。
きっと伯母にも暗い峠を送電線に沿って走って帰りたいと思うことは何度もあったに違いない、だけれどその話は聞かなかった。
山を越え谷を渡る送電線をみると思いだすことである。
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藪入り 献血奉仕  送り盆

2009年08月16日 | 季節の便り
月下美人
終戦の日に似つかわしい一夜花である。

昔昔 住み込みの小僧さんは年間2日だけの公休日が与えられた。
正月1日と8月16日(藪入り)である。
待つのが楽しく、終わってさびしい1日だったに違いない。
夏場は輸血用血液が不足がちで、今年も困っているようだ。
ショッピングモールで午前中献血奉仕をすることになっている。
献血車をモールの横につけて、来客にそれとなく遠慮がちに献血を呼び掛ける。

川遊び

お腹が膨らんで一休みと思いきや、暑いから川に行きたいと言い出した。
夏はこの川が唯一の遊び場で、ここで泳ぎのまねごとを覚えた。
清らかで冷たい水は別天地である。


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終戦

2009年08月15日 | 季節の便り
純白と紅 芙蓉

日照時間が短くなった北の国では、夏がとうに過ぎて、冬に向かってこことは比べものにならない早さで、気候が移っているという。
その冷気の悪戯なのであろう、夜明け前、開け放した窓から吹き込む風の冷たさに、はかない夢を見て眠りから覚めた。
終戦の日 雑音に埋もれた玉音 戦争に負けたと父がひとこと。
最後まで神風を信じ切っていた8歳の夏
その日 小型飛行機が一機 茅葺きの屋根をかすめるように飛んだ 兵隊さんの白いマフラーが風にはためいていた。
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迎え盆の日

2009年08月14日 | 季節の便り
天使の梯子

いつも見慣れた景色だけれどそこに何かの自然現象が付加されると趣が一変する。
空を覆う不安定な雲の所々に、吹き抜けのように青空に届くホールが発生するのだろう。
神々に選ばれた地域がスポットライトに輝いている。


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盂蘭盆

2009年08月13日 | 季節の便り
稲穂

稲は今が花盛りである。
不順な天候といわれながら作柄は順当だと、元百姓見習いはみている。
後1ヶ月もすれば稲穂は重く首を垂れることだろう。
仏壇にいつもより花を豪華に供えて、脇に盆灯篭を飾った。
盆が終わると夏休みも終わる、子供のころはそういう思いで盆灯籠を見た、過ぎた時を惜しむ漠然とした寂寥感は歳を重ねた今も変わらない。
風が涼を運ぶ夕暮近く、先祖の霊を迎える人達で墓場はひととき賑わう。
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数値化

2009年08月12日 | 季節の便り
ギボシ

朝からミンミンゼミが鳴いて夏の日差しが戻ってきた。
昨夜の納涼会で、教育成果の数値化が求められているという話を聞いた。
説明や説得に数字を振り回していると、数値がすべてであるかのような錯覚に陥ることがある。
長さや重さ表す絶対数値と、作られた仮想数値を混同してしまい、わけが判らなくなってしまうのだ。
確かに物事は数値で示されると単純でわかりやすいのだけれど、その弊害も大きいように思った。
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