おもと

勤め先で関わりを持った友人3人が、近郷の浅間温泉に集まった。
一年振りである、まったく年齢を感じさせない仲間と温泉に浸り酒を酌み交わした。
老舗の宿の細やかな心遣いがうれしく、今年の夏もここに集まろうと決めた。
浅間温泉は松本市街地の北東の山懐に抱かれた閑静な温泉である。
しかし どんな理由からか近年、県外からの客足が遠のいているという、週の初めということも重なった温泉街は閑散としていた。
かって 大型観光バスが駐車場を埋めて、湯客が街にあふれた時代とは大きく変わり、規模を拡大した温泉ホテルの経営の実情が切実に思われる。
高台の傾斜地に建つ宿の西方に、白銀に輝く雄大な北アルプスが展望できる。
正面に位置する、乗鞍岳のなだらかに起伏する稜線が、毛皮を着た貴婦人ように雪をまとって美しい。
常念は額縁のずっと左手に移動して悠然と睨みを利かせている。
冬の浅間温泉は絶対に売りである、近い将来、浅間温泉は往時の賑わいとは別の、静かな賑わいが戻るように思った。

勤め先で関わりを持った友人3人が、近郷の浅間温泉に集まった。
一年振りである、まったく年齢を感じさせない仲間と温泉に浸り酒を酌み交わした。
老舗の宿の細やかな心遣いがうれしく、今年の夏もここに集まろうと決めた。
浅間温泉は松本市街地の北東の山懐に抱かれた閑静な温泉である。
しかし どんな理由からか近年、県外からの客足が遠のいているという、週の初めということも重なった温泉街は閑散としていた。
かって 大型観光バスが駐車場を埋めて、湯客が街にあふれた時代とは大きく変わり、規模を拡大した温泉ホテルの経営の実情が切実に思われる。
高台の傾斜地に建つ宿の西方に、白銀に輝く雄大な北アルプスが展望できる。
正面に位置する、乗鞍岳のなだらかに起伏する稜線が、毛皮を着た貴婦人ように雪をまとって美しい。
常念は額縁のずっと左手に移動して悠然と睨みを利かせている。
冬の浅間温泉は絶対に売りである、近い将来、浅間温泉は往時の賑わいとは別の、静かな賑わいが戻るように思った。
カクレミノ

カクレミノは身を縮めて寒さに耐えていた。
南側に樹木が茂る小高い山が居座っているので、太陽の高度が下がる冬は極端に日照時間が短くなる。
家全体が冷凍庫の中に閉じ込められているようだし、冷蔵庫は食品の凍結防止に使用している。
昼夜燃し続ける暖房器から排出されるCO2の量は半端ではないかもしれない。
困ったことに山の樹木は待ったなしに年々成長を続けている。
三角関数を使って樹木が1メートル伸びたとき、日陰の範囲がどのくらい広がるか計算を試みたけれど、学力不足でかなわなかった。
皮肉なことに、つい最近まで大切な資産であった森林が今は厄介者である。
先日、日照をさえぎる樹木をすべて伐採するという壮大な計画が俎上にのった。
実現すればCO2削減にも大きな効果があるだろう。
ただし これは酒席での放言である。

カクレミノは身を縮めて寒さに耐えていた。
南側に樹木が茂る小高い山が居座っているので、太陽の高度が下がる冬は極端に日照時間が短くなる。
家全体が冷凍庫の中に閉じ込められているようだし、冷蔵庫は食品の凍結防止に使用している。
昼夜燃し続ける暖房器から排出されるCO2の量は半端ではないかもしれない。
困ったことに山の樹木は待ったなしに年々成長を続けている。
三角関数を使って樹木が1メートル伸びたとき、日陰の範囲がどのくらい広がるか計算を試みたけれど、学力不足でかなわなかった。
皮肉なことに、つい最近まで大切な資産であった森林が今は厄介者である。
先日、日照をさえぎる樹木をすべて伐採するという壮大な計画が俎上にのった。
実現すればCO2削減にも大きな効果があるだろう。
ただし これは酒席での放言である。
ツンドラのイメージ

昨日信州大学医学部を訪問した。
高い建物の間の路地は冷たい風の通り道になっている。
ふいごから噴出すように寒風が吹きすさび建物の角が音を立てる、身をすくめて足早に駆け抜けなければ遭難するほどだ。
病院外来棟の改築が終わり、以前とは様子が一変していたが、風の通り道は昔と変わらない。
現役時代、この臨床棟から医学部基礎棟に抜ける路地は南極昭和基地をもじって「昭和通り」と呼んでいた。
松本の東方に位置する、標高2千米の美ヶ原高原も、冬季は終日強風が吹き荒れる。
草原の雪は風に飛ばされ、思いがけない場所に、うず高い吹き溜りが出来て、夏とは地形が様変わりしている。
目も開けられないほどの強風が、地面に張り付くほど残った枯草が引き千切っていた。
そのとき、これがツンドラかと思った。

昨日信州大学医学部を訪問した。
高い建物の間の路地は冷たい風の通り道になっている。
ふいごから噴出すように寒風が吹きすさび建物の角が音を立てる、身をすくめて足早に駆け抜けなければ遭難するほどだ。
病院外来棟の改築が終わり、以前とは様子が一変していたが、風の通り道は昔と変わらない。
現役時代、この臨床棟から医学部基礎棟に抜ける路地は南極昭和基地をもじって「昭和通り」と呼んでいた。
松本の東方に位置する、標高2千米の美ヶ原高原も、冬季は終日強風が吹き荒れる。
草原の雪は風に飛ばされ、思いがけない場所に、うず高い吹き溜りが出来て、夏とは地形が様変わりしている。
目も開けられないほどの強風が、地面に張り付くほど残った枯草が引き千切っていた。
そのとき、これがツンドラかと思った。