goo blog サービス終了のお知らせ 

自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その192)

2013-04-16 | ジャコウアゲハ

今日,二つ目の記事になります。先週のこと。勤務を終え帰宅するとすぐ,妻が妙なことを言うのです。「たのしい葉書が来ているよ」と。

見ると,確かにたのしくって,愉快な葉書でした。書き手の主は,苗字しか書かれていませんが,誰かパッとわかりました。ヨッさんです。ヨッさんは,ジャコウアゲハの棲息地保護,拡大に関心を寄せていらっしゃる方。同じ集落の住民で,わたしの家から200m程離れたところに家があります。その家に,食草ウマノスズクサを植えてアゲハを殖やそうと協力をしてくださっています。

そのヨッさんからわざわざ葉書が届いたのです。裏面は,自宅に植えられたプラムの木で羽化を待つ蛹の写真です。空白箇所に簡潔に「愛しいお菊がガンバッテいます。見に来てやって下さい」と記されています。しばらくヨッさんには出会っていないなあと思いながら,写真と文字を見つめました。いかにも純情な感覚とユーモアとが感じとれるしぐさです。わたしには感謝,感謝。

「さっそくわたしも返事をしなくちゃ」と思いました。翌々日は集落の集会でヨッさんと久し振りにお出会いしなくてはなりません。そのときに,葉書のお礼を言うだけでは何とも無酔狂です。マアおしゃれな感覚だと思われなくっても,きちんと礼儀を尽くしておくのが筋なので,ある資料を準備して,翌日の夕刻,ヨッさん宅に出かけました。

ヨッさんは在宅されていて,蛹にも,食草にも出合えました。管理は十分行き届いていました。蛹の傍には雨よけの段ボール紙が付けられてもいました。ひとしきりジャコウアゲハ談義をさせていただきました。話しながら,純粋に小さないのちに関心を向ける人って,こころが輝いておけるのだなあと改めて思いました。

「今月中には羽化しますから」と話すと,「その瞬間を見て,写真に撮りたいなあ」とおっしゃいました。ヨッさんは相当な腕前のアマチュアカメラマン。その場面をぜひ写してほしいと伝えておきました。さて,どうなるでしょうか。

 


金沢,ふれあいの旅(続)

2013-04-16 | 随想

ホテルにある,九谷焼を中心とした焼き物ショップでの話です。この売店で,一昔前に買い物をした記憶が脳裏に薄っすら残っています。その品を今も愛用しています。それで,懐かしさが手伝い,わたしたち夫婦はついつい入ってみたのです。

販売担当の女性Yさんと話をしていて,「ほほう!」と思うことがたくさんありました。そのうちに,妻がとても品のいい花柄が描かれた磁器を見て,「これを記念にいただきます」と伝えました。楕円で,植物の絵柄がそれぞれに描かれた6枚の皿でした。女性の手で描かれたもので,やさしさと味わいのある作品です。

三人で6つの植物名を順に確認していき,そのうちの一つで思わぬ発見があったのです。

 

その植物はどう見ても,わたしにはサルトリイバラ(猿捕茨)としか思えませんでした。しかしYさんはその名をご存知でなく,作者から聞いているという名“サンキライ” を出されました。そうして,「漢字で書くと“山帰来”です」とも教えてくださいました。

わたしは初めて聞く名前です。「絵から見ると,サルトリイバラに間違いありませんね。葉脈もそっくりですし」と応えると,「もしかすると,同じ植物名を指しているのかもしれませんね」とおっしゃいます。わたしが「そうかもしれません。でも山帰来はニックネームなのかも。帰って調べたいです」と言うと,Yさんも「わたしも気になってきました。調べます」と言われました。そうして,一片の紙に「サルトリイバラ」とメモを書かれたのでした。

こんな成り行きで,一昔前と同じように,今度は妻がすてきな買い物ができたようで,出会いに感謝して店を出た次第です。

さて,帰宅してすぐにサルトリイバラと山帰来との関係を調べるているうちに驚くべきことがわかってきました。ひとことで言えば,山帰来はサルトリイバラの別称・俗称としている書物が多いらしいのですが,学名で言うサンキライは日本には自生していない,サルトリイバラには棘があるがサンキライにはない,ということらしいのです。

一般的には両者の混同が著しく,どうやら80%程の人が誤解しているということもわかってきました。となると,皿の作者も誤解にもとづいた名を覚えてしまっていることになります。

サルトリイバラは蔓性の小低木で,山に行くと至る所で見かけます。なぜこれが山帰来と呼ばれるようになったか,気になります。その辺りをもう少し考えていこうと思います。

                                          (つづく)