スダチの木を見ながらアゲハの幼虫を確認していると,3齢幼虫の脇に黒っぽくて長いものがあるのが目にとまりました。
「ははーん,これは脱皮したばかりなんだな」と直感。詳しくはメガネをかけないとわからないので,枝を手折って家の中に持ち込みました。ルーペで見ると,やはり脱皮したばかりです。体長5mm。黒っぽいものは皮です。からだの横に,頭部を覆っていた殻がありました。黒くて,丸くて,はっきりそれとわかりました。このとき,幼虫の頭はまだ褐色を帯びていました。
急いで写真に収めました。
飼育時は別にして,自然のなかで幼虫の脱皮を見る機会はそう訪れるものではありません。しかも,ごく小さな幼虫の脱皮となると,一層見かけないでしょう。小さいだけでも目に入りにくいし,ふつう幼虫に目を向けるなんてことはありません。
それだけに,今回の脱皮風景は貴重な画像になりました。このあと幼虫が皮を平らげたのはいうまでもありません。
こうしてわたしたちの気づかない世界で,いのちが生まれて,かたちが変化し続けます。