自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

カタバミの芽生え

2014-08-28 | 植物

カタバミはヤマトシジミの幼虫が食する食草。それで,ヤマトシジミの生態を観察していると,否応なくカタバミと付き合うことになります。

カタバミはいうまでもなく,種子の飛散方法がよく知られた植物です。実が熟し始めると,指をそっと触れるだけでパチーンと種子が弾け飛びます。その種がまた,エライオソームと名付けられた甘味成分を持っていて,アリに運んでもらって生息域を拡大するというみごとな戦略を有しています。

この葉を食するヤマトシジミは,これまでに触れてきましたように,自ら甘味成分を分泌してアリに分け与えています。それは,アリに身近にいてもらい,身を守るための作戦だとか。この風景を繰り返し観察していると,自然の妙を感じとることができます。

カタバミの根元から芽生えるたくさんの双葉(子葉)。この子葉はカタバミのそれなのです。 

 

 
これだけたくさんの芽がすべて順調に育つわけではありません。大部分が枯れる運命にありますが,それでもかなりの数が生き残っていきます。

 

 
カタバミは双子葉植物です。本葉はハート型の葉3枚で一組になって,葉柄の先に付いています。芽生えてから日が経つと,子葉の間からその本葉が姿を見え始めます。

 


葉柄が伸びてくると,いかにもカタバミの芽生えらしさを増します。 

 


これは別の場所で写した一こま。独り立ちする雰囲気が伝わってきて,見事!


庭づくりにとってカタバミは嫌な“雑草”です。しかし,カタバミはカタバミとしてたくましく生きているだけであり,人との関係は人が自分の都合に合わせて一方的に決めてかかっているだけなのです。そんなわけで,“雑草”という響きには人の勝手が入っているようで,使うのは好きになれません。

ヤマトシジミとの出会いを重ねたくて,わたしは除草の際は程ほどにカタバミを残すことにしています。