自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

シオヤアブの産卵風景(前)

2018-07-25 | 昆虫

これまで昆虫の観察・撮影で決定的瞬間を見逃すことが何度もありましたが,ラッキーだと感謝したい場面もたくさんありました。今回記事にするシオヤアブの産卵撮影もラッキー場面の一つです。

アゲハの庭園で,敷石の敷き詰め作業をしているときでした。午前7時。シオヤアブの羽音が聞こえて来ました。音がする方に目をやると,アブが軒下にぶら下がった鎖に取り付いて,しきりに腹端をピクピクさせながら鎖に接触させているのです。「ははーん,産卵だな」。これはわたしの直感です。これまでシオヤアブの産卵風景を目撃したことはないので,急いでカメラを取りに家の中へ。

カメラを準備したとき,まだ鎖にいました。

 

しかし,程なく隣りにある錆びた針金に移動しました。同じように軒下にぶら下がった,太めの針金です。アブは,鎖をなんらかの理由で諦め,場所を変えたのです。しかし,早く産卵したいという動きは変わりません。

撮影を続けます。

 

まもなく,真っ白な泡状のものが排泄されました。卵鞘づくりが始まったのです。位置は2mほどの高さ。見上げながら手を伸ばして撮影しました。わたしの動きが産卵に影響したら,ビッグチャンスが泡となって消えますから,じゅうぶんに注意を払いました。

 

すぐに卵が認められました。

 

産卵作業は休むことなく続きました。見上げて撮影するので,卵の様子と卵鞘が仕上がっていく過程が手に取るようにわかりました。

卵を産み付けると,外壁で覆い,また卵を産んでは壁で覆っていく,そんな風景がしばらく続いたのでした。