自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ルリタテハ,再会

2013-04-19 | 昆虫

ルリタテハはからだが瑠璃色を帯びた,いかにも貴婦人といったタテハの一種です。このチョウについては,過去何度取り上げました。

わたしがしばしば訪れる公園でよく見かけます。幼虫の食草は野生植物の場合,サルトリイバラなので,これが生えていることとつながりがあるでしょう。サルトリイバラはごくありふれた植物です。それを思うとルリタテハも頻繁に見かけてもよさそうなのに,そうでもないのです。

ルリタテハの飛翔ぶり,また着地風景を見ていると,おもしろいなあと感じます。飛翔エリアが限られている上に,コンクリートやら杭の先に平気でとまるのです。その代わりかなり敏感なようで,ものが近づくのを危険と察知すると,瞬間に舞い上がります。近づくのは相当に慎重さが要るようです。

先日もそうでした。今春初めての出合いだとうれしくなって,近づいていくと,舞い上がりました。しかし,辺りをぐるっと回ってきて,結局近くに舞い降りました。そうして,同じような行動を繰り返したのです。けっして,わたしの視野から消えて見えなくなるということはありませんでした。

上写真の出来はよくありませんが,状況証拠にはなるでしょう。石段に沿って立てられた手摺り用の杭にとまっています。ここから舞い上がって,また杭の先に舞い戻ること3回。同じ場所にさえ戻ってきたのです。

こんなわけで,とても観察しやすいチョウであることは間違いありません。 いつか,バッチリとピントの合った写真を撮りたいものです。

 


タンポポを訪れた昆虫(その4)

2013-04-18 | 昆虫と花

タンポポにとまって蜜を吸う小さなチョウに出合いました。よほど注意していなくては気づかないほどの大きさ。それはヤマトシジミです。このチョウがタンポポにいるのを見た記憶はありません。

 

「しめたっ!」。わくわくしてそっとそっと近づきました。レンズは『虫の目』。背景も考えて,近くの建物が写し込める角度からです。「よしよし」と思った瞬間,小さなからだをパッと浮かせて舞い上がったのです。「あーあ,残念!」とこころが呟いていました。

ところが,そのシジミはすぐ近くの枯れ葉に降りました。ともかくこれだけは撮っておこうと思い,近寄りました。角度はよくありませんが,かろうじて撮影に成功。ただ,この写真は状況証拠にすぎません。やはり,肝心なポイントにいる場面を映像にしたいですね。チャンスはいずれ巡ってくるでしょう。 

 


タンポポを訪れた昆虫(その3)

2013-04-17 | 昆虫と花

今日,三つ目の記事になります。

ほんのときどきなのですが,タンポポの花でベニシジミが吸蜜しているのを見かけることがあります。個体数の絶対数が少ないので,見かける機会がすくないのかもしれません。

じっと観察していると,吸蜜にすこし時間を掛けているようにも,またほとんど掛けていないようにもみえます。何だかとても淡白なのです。そこが妙におもしろいところです。蜜が気にいっているのか,いないのか,よくわかりません。もし気にいっているのなら,そこら中に咲いている花を次から次へと巡るでしょうし,一つの花で動きながら蜜を探してもいいと思うのです。ほんとうによくわかりません。 

動物行動学を築かれた故日高敏隆先生なら,もしかするとこうお答えになるかもです。「ベニシジミの動きはファージーなんだね。要するに気まぐれ。いつでも,どこでも適当に蜜が口にできるものだから,律儀に巡っていく必要なんてまるでない。別にタンポポに限るわけでもないしね。食べ物にかけては,ほんとうに幸せ者さ。でも,真相はベニシジミさまだけがご存知なんだな」。

このベニシジミ,そのうちに花を離れました。それを虫の目レンズで撮ったのが上写真です。「うまかった-!」とでも呟いているでしょうか。

翌日,ウォーキングの最中に,ベニシジミがタンポポの蜜を吸っているのを目撃しました。よく見ると,確かに口吻が花の中に伸びています。 

さらにその翌日も別の場所で見かけました。

関心を向けていさえすれば,チャンスは意外と巡ってくるものだと感じました。その瞬間のうれしいこと! 自然からの贈り物ですね。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その194)

2013-04-17 | ジャコウアゲハ

4月17日(水)。今日,二つ目の記事になります。

正午過ぎのこと。植木鉢の蛹を見ると,1個体の様子に変化が現れていました(下写真の矢印)。

透明感が増し,腹部特有の色彩である赤色・黒色がはっきり確認できます。「これは羽化が近いな」と期待感が膨らんできます。

間違いなく,明日あたりには殻から成虫が出てくると思われました。これからの変化に目が離せません。

午後2時。集落内の知人宅を訪れて玄関先で話しているとき,目の前をなんとジャコウアゲハが飛び去りました。思わず「わあーっ!」と声が出ました。どこで羽化したものなのでしょうか。

午後5時。自宅に帰って蛹の状態を確認。びっくり! もう殻だけになっていたのです。つまり,既に羽化し終わっていたということです。辺りを見回しても成虫はいませんでした。飛び去っていたのです。もしかすると,知人宅で見かけた個体がそれだったのかもしれません。

夕刻を迎えていたので,大急ぎで写真に撮りました。

今日はジャコウアゲハに大変化が起こった一日となりました。変化を観察できるというのは誠にうれしいことです。長い冬を越して,自然の推移を感知して無事羽化したのです。スゴイ事実です。こういう場面を見届けると,わくわく感がまた湧いてきます。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その193)

2013-04-17 | ジャコウアゲハ

4月17日(水)午前10時。曇り。風がほとんどない穏やかな天気です。

記念すべき,記憶に刻んでおくべき日が訪れました。

我が家の植木鉢に付いた蛹が,どうやら羽化近しという感じです。色合いに変化が見え始めました。それで,棲息地の蛹も変わってきているのではないかと思い,確かめに出かけました。

棲息地では今年は蛹の個体数がたいへん少ないので,先行きを心配です。蛹を探しましたが,あったはずの数個の蛹が見当たりません。トタン板に付いていたものがまったくみつからないのです。「困った!」といよいよ心配になってきました。

と,そのとき,10m程向こうの方で黒いチョウが飛ぶ姿が目に入ってきました。「アゲハだ!」と,こころが叫んでいました。ジャコウアゲハが羽化したのです。立ったまま行方を追っていると,畑のエンドウの葉にとまりました。 

そっと寄って行って,一枚だけ写真を撮りました。その瞬間,パッと舞い上がって消えて行きました。 

今春の羽化第一号です。肉眼で見る限り,生まれて間もないようで,翅は鮮やかで初々しい黒色をしていました。

これに続いて, どこかにあると思われる蛹から別の個体が羽化するでしょう。しかし,昨春程は期待できないのが,心配の種です。

 


ジャコウアゲハ観察記(その192)

2013-04-16 | ジャコウアゲハ

今日,二つ目の記事になります。先週のこと。勤務を終え帰宅するとすぐ,妻が妙なことを言うのです。「たのしい葉書が来ているよ」と。

見ると,確かにたのしくって,愉快な葉書でした。書き手の主は,苗字しか書かれていませんが,誰かパッとわかりました。ヨッさんです。ヨッさんは,ジャコウアゲハの棲息地保護,拡大に関心を寄せていらっしゃる方。同じ集落の住民で,わたしの家から200m程離れたところに家があります。その家に,食草ウマノスズクサを植えてアゲハを殖やそうと協力をしてくださっています。

そのヨッさんからわざわざ葉書が届いたのです。裏面は,自宅に植えられたプラムの木で羽化を待つ蛹の写真です。空白箇所に簡潔に「愛しいお菊がガンバッテいます。見に来てやって下さい」と記されています。しばらくヨッさんには出会っていないなあと思いながら,写真と文字を見つめました。いかにも純情な感覚とユーモアとが感じとれるしぐさです。わたしには感謝,感謝。

「さっそくわたしも返事をしなくちゃ」と思いました。翌々日は集落の集会でヨッさんと久し振りにお出会いしなくてはなりません。そのときに,葉書のお礼を言うだけでは何とも無酔狂です。マアおしゃれな感覚だと思われなくっても,きちんと礼儀を尽くしておくのが筋なので,ある資料を準備して,翌日の夕刻,ヨッさん宅に出かけました。

ヨッさんは在宅されていて,蛹にも,食草にも出合えました。管理は十分行き届いていました。蛹の傍には雨よけの段ボール紙が付けられてもいました。ひとしきりジャコウアゲハ談義をさせていただきました。話しながら,純粋に小さないのちに関心を向ける人って,こころが輝いておけるのだなあと改めて思いました。

「今月中には羽化しますから」と話すと,「その瞬間を見て,写真に撮りたいなあ」とおっしゃいました。ヨッさんは相当な腕前のアマチュアカメラマン。その場面をぜひ写してほしいと伝えておきました。さて,どうなるでしょうか。

 


金沢,ふれあいの旅(続)

2013-04-16 | 随想

ホテルにある,九谷焼を中心とした焼き物ショップでの話です。この売店で,一昔前に買い物をした記憶が脳裏に薄っすら残っています。その品を今も愛用しています。それで,懐かしさが手伝い,わたしたち夫婦はついつい入ってみたのです。

販売担当の女性Yさんと話をしていて,「ほほう!」と思うことがたくさんありました。そのうちに,妻がとても品のいい花柄が描かれた磁器を見て,「これを記念にいただきます」と伝えました。楕円で,植物の絵柄がそれぞれに描かれた6枚の皿でした。女性の手で描かれたもので,やさしさと味わいのある作品です。

三人で6つの植物名を順に確認していき,そのうちの一つで思わぬ発見があったのです。

 

その植物はどう見ても,わたしにはサルトリイバラ(猿捕茨)としか思えませんでした。しかしYさんはその名をご存知でなく,作者から聞いているという名“サンキライ” を出されました。そうして,「漢字で書くと“山帰来”です」とも教えてくださいました。

わたしは初めて聞く名前です。「絵から見ると,サルトリイバラに間違いありませんね。葉脈もそっくりですし」と応えると,「もしかすると,同じ植物名を指しているのかもしれませんね」とおっしゃいます。わたしが「そうかもしれません。でも山帰来はニックネームなのかも。帰って調べたいです」と言うと,Yさんも「わたしも気になってきました。調べます」と言われました。そうして,一片の紙に「サルトリイバラ」とメモを書かれたのでした。

こんな成り行きで,一昔前と同じように,今度は妻がすてきな買い物ができたようで,出会いに感謝して店を出た次第です。

さて,帰宅してすぐにサルトリイバラと山帰来との関係を調べるているうちに驚くべきことがわかってきました。ひとことで言えば,山帰来はサルトリイバラの別称・俗称としている書物が多いらしいのですが,学名で言うサンキライは日本には自生していない,サルトリイバラには棘があるがサンキライにはない,ということらしいのです。

一般的には両者の混同が著しく,どうやら80%程の人が誤解しているということもわかってきました。となると,皿の作者も誤解にもとづいた名を覚えてしまっていることになります。

サルトリイバラは蔓性の小低木で,山に行くと至る所で見かけます。なぜこれが山帰来と呼ばれるようになったか,気になります。その辺りをもう少し考えていこうと思います。

                                          (つづく)

 


タンポポを訪れた昆虫(その2)

2013-04-15 | 昆虫と花

『その1』の続き話をしましょう。

バッタの幼虫が排泄する写真を撮った翌日のこと。もう一度そこに出かけて昆虫を探し回りました。もちろん,いのちの躍動と巡り合いたいからです。

この日も前日に続いて快晴。絶好の撮影日和になりました。いくつかの昆虫と出合いました。なかでも,バッタの排泄行動を生々しく記録できたのが最大の収穫でした。こんな場面には願ってもなかなか巡り合えないのに,なんと二日続きになりました。それも,じっと待っていてそのチャンスに恵まれたというのでなく,まさに偶然その瞬間が飛び込んできたといった感じなのです。

今日はフラッシュを準備しました。というのは,食餌行動をして口を盛んに動かしているので,ボケた映像にならないように写したかったからです。ところが,撮影中あいにく電池を交換しなくてはならない羽目になりました。それで交換し終わった直後の出来事でした。

ファインダーを覗いていると,肛門が開いて糞が見え始めたのです。色はくっきりした褐色です。明らかに食材の色が反映しているはず。ラッキー! わくわくしながら,大急ぎでシャターを切りました。糞はゆっくり出てきました。 

それまで盛んに口を動かしていた幼虫は,食べるのをしばし止めたように見えました。糞は出終わってから,ほんの一瞬肛門にくっ付いた状態になり(下写真),そうしてからだから離れていきました。 

出始めの記述の際「ゆっくり」と書きましたが,ここまでの経過はほんの10秒程度。その瞬間は脳裏にしっかり焼きつきました。

排泄し終わった後,幼虫はまた口を動かし始めました。食欲もりもりです。糞をした瞬間のことなど,まるで頭にないよう。 

体長はせいぜい1cm。この世界にも,動物にとって最も基本的な生物的事実“食べる”“排泄する”という営みが展開しているのです。 

 


タンポポを訪れた昆虫(その1)

2013-04-14 | 昆虫と花

タンポポの咲く風景は春だナアって感じで,見ているとこころが陽気になります。わざわざ観察するような人はめったになく,公園であっても人は目もくれずに通り過ぎてゆきます。たとえ足元に咲いていても。

わたしは,好んでそんな場所に生えるタンポポを撮りに出かけます。人が歩いたり遊んだりする姿をタンポポのある風景に写し込めば,とてもたのしいコマになると思っているからです。人が暮らすのと同じ場所で昆虫たちも暮らしていることを記録したいのです。そんなわけで,人が視野に入るチャンスをずっとこころ待ちにしています。

公園の一角に咲くタンポポで,バッタ類の幼虫を見かけました。 

おもしろいことに,目が慣れてくると何匹も見つかり始めます。ようく観察していると,そこにいる理由がわかってきます。オシベやらメシベ,それに花弁を食べているのです。蜜を吸うなんてことはなく,ムシャムシャと噛み切る口器で貪り食うように食べることに熱中しています。

しかし,たいへん敏感で臆病のようで,人の気配がすると途端にからだの位置を変えたり,姿をくらましたりします。天敵と感じるのでしょう。撮影しようと思えば余程慎重に近づかなくてはなりません。近づいて目を凝らすと,からだが花粉だらけ。 

熱心に食べている様子をじっと見ながら写していると,お尻から糞を排泄しました。なんとかわいいウンコでしょう。変な話ですが,糞をする瞬間も食べているのでしょうか。それとも,一瞬だけ排泄に神経を集中させるのでしょうか。口元が見えないので,不明です。

こういうシャッターチャンスはそうそうやって来るものではありません。今回,貴重な映像を手にできました。

地面に這うような格好で写していると,老夫婦が「何を写していらっしゃるの?」と問いかけて来られました。事情を話すと,ご主人は相当なアマチュア写真家だったらしく,賞を数々受賞されたとか。それでどんどん話題が広がりました。ただ,杖が欠かせず,透析治療に週三度通院されており,写真の世界からは卒業しているとのこと。昔をとても懐かしんで,わたしのたのしみ方を高く評価してくださいました。

「こんな所に虫が生きているなんて,わたしたちだって思いもしませんよ。目の付け所がいいですね。今日はここに散歩に来て,ほんとうによかった」。お二人のこのことばを素直に受けとめさせていただきました。

タンポポからはいくらでも物語が広がっていきそうです。

 


金沢,ふれあいの旅

2013-04-13 | 随想

金沢のまちはわたしの好きなところです。地方都市でありながら,清潔感と落ち着いた趣きが漂っているように見えます。それで,何度も何度も訪れるというわけにはいきませんが,機会を見つけては行ってみたいと密かに思っているところなのです。 

史跡もお気に入りなのですが,新しいものとしては金沢21世紀美術館も大いに気に入っています。建物のデザインに込められた理念が,ふつうの美術館とはまったく異なっています。そこがスゴイのです。

もちろん,今回の旅でもリピーターとして訪れました。特別展はやっていませんでしたが,ミュージアム・ショップで思いがけない出会いがありました。

ちょうど期間限定で,鈴木康広さんのしごとを紹介するコーナーがありました。 それまでわたしは,鈴木さんについてはまったく知りませんでした。展示作品を見ていると,鈴木さんって何と頭の軟らかい方なのだろうと心底感心してしまいました。発想がふつうとは悉く違っています。その発想なり着眼なりを,思いついたときに真っ白いノートに書き込んでいかれるのだそうです。それも,1ページから順序よく埋めるのではなく,パッと開いたページに自由に記していくという手法で。

そのノートが山のように展示されていました。

作品の一つである方位磁針も意外な発想から生まれたものです。磁化したステンレス製の小さな日本列島を水に浮かべ,ほんものの列島と同じ位置関係に静止するようにできています。その上に自分が乗っていると想定すれば,日本各地の方位が一目でわかります。

じっと見ているうちに,オーストラリアの逆さ地図が浮かんできました。いつも見る世界地図の南北が入れ替わった,あの有名な地図です。鈴木さんの日本列島磁針がそれと重なってきて,何だか,「あなたの頭をもっと軟らかくしなさいよ」と語りかけてくる気がしたのです。そのうちに,後ろからわたしにこう話しかける声がしました。

「この磁石,おもしろいでしょう。お客様がとても関心を持って見ていらっしゃるので,ついつい声を掛けさせていただきました。お目にかかれて幸せです」 

振り返ると,ショップ販売担当の若い女性Tさんでした。これがきっかけになって話が弾み,鈴木さんのことについてたくさんのことを教えていただくことになりました。とりわけ,大小のジッパーボートのこと,地球儀の表面を切り開いてそこにファスナーを取り付けて巨大ボートが進んでいく様をイメージした作品は圧巻でした。想像力と創造力を併せ持つ鈴木さんは,Tさんからは,あそび心に富んだずいぶん子どもっぽい方にみえるそうです。納得!

Tさんが声を掛けてくださらなかったら,このスゴイ事実との出合いはなかったでしょう。もちろん,Tさんは清楚ですてきな金沢の女性とみました。そのひとときに感謝。

家に帰って,鈴木さんのことをネット検索で調べてまたびっくり。大した方です。これからのご活躍に注目しておこうと思っています。