自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

道の隅に,ツマグロヒョウモンの卵が

2014-08-22 | ツマグロヒョウモン

今月にあったトピックです。

ある日の昼間のこと。勤務先でしごとをしていると,子どもがやって来て「向こうに,赤い色をした虫がいる。来て」といいます。行ってみると,犬走りのコンクリート上をツマグロヒョウモンの幼虫が歩いていました。子らは,怖がってちっとも触ろうとしませんでした。

夕方になって。ツマグロヒョウモンの卵を見つけたいなと思って,道端に生えたスミレを数株見ていくと,なんと卵が見つかりました。同じところで,ちょうど一年前にも見つけたことが懐かしく思い出されました。

うまくいけば,孵化が観察できるでしょう。期待どおりにいけばいいのですが。

暗くなりかけていたので,翌朝,改めて観察して撮影しました。そのとき,びっくり仰天。一つの葉に,3個もの卵が付いているなんて! そのうち1個は葉柄の根元に! 葉柄の長さはたったの3.5cmです。


それぞれを拡大撮影したのが下写真です。卵の直径は0.67mm。


もう一枚の葉には卵が一粒。

 


さらに,もう一枚の葉の柄には卵殻が残されていました。

 


「注意深く観察せよ!」。観察の心得を踏まえていたら,思いのほか収穫があるものです。

 


ジャコウアゲハ観察記(その328)

2014-08-21 | ジャコウアゲハ

この程,ジャコウアゲハの天敵に関する,別の場面に出くわしました。

我が家の『アゲハの庭園』でのこと。過日クサキリを見かけた場所にあった前蛹が,なんと無残にも何ものかに襲われ,茎から宙ぶらりんになっていたのです。帯糸が引きちぎられて,からだが尾端を固定したままぶら下がった格好です。

 


その“何もの”かはまったく不明です。見つけたとき,周辺を見ていったのですが,天敵らしきものは見つかりませんでした。

被害に遭ったのは,前日,「蛹になるなあ」と確認しておいた個体です。残念。

さらに,さらに。この前と同じように,蛹が被害に遭っている事例に出くわしました。茎で蛹化していた個体です。尾端部も残っています。

 


次々にこんな被害例が出てくるとは驚きです。

これまでに目撃してきた例から,産付された卵のほんの1,2%が生存するに過ぎないというのはよく理解できます。卵,幼虫,前蛹,蛹,それぞれの段階で,それぞれに危険に遭遇します。これはどの生きものにとっても共通の,当たり前の摂理です。にもかかわらず,こうした場面を見ると,改めていのち一つが生きつづける大変さを感じてしまいます。

 


このことばはどうも

2014-08-20 | 随想

普通に使われていることばでも,どうも自分が使うとなるとためらってしまうことばがあります。そして,そのためらいを捨てちゃダメだなと自分に言い聞かせているようなところがわたしには時折あります。それが価値観というものかと思います。

たとえば,『議会だより』(本市)の次の一文です。議会での一議員の一般質問と,それに対する理事者側の答弁です。みだしは『まちの活性化を目指すひとづくりを (答)著名人の活用には研究が必要』というもの。以下その部分の抜粋。

(問)交流人口の促進からも市出身の有名人・スポーツ選手等の功績を讃え,常設展示を行い,観光とまちづくり,人(ママ)づくりの取組ができないか。

(答)著名人の方々を地域資源として活用し,その展示館という新しいご提案として受け止める。

提案は各議員の重要な政治活動の一つですから問題はないとしても,その答弁にものの感じ方の貧困さをわたしは思ってしまったのです。これは先に書いた,わたしの価値観です。字句どおりの答弁だったとしたら,たぶん,日頃から培われてきたお役人的な発想がついつい出てしまったのでしょう。

人を“資源”と割り切って,それを“活用”するとはどんなセンスの持ち主なのかなあと,ふと立ち止まって考えてしまいました。たしかに,“人的資源”ということばがあって,辞典にも明記されています。しかし,“資源”と見られる人の立場から改めてこれらのことばを見つめると,果たしてふさわしいものか,印象のよいものかどうか,気になります。


そもそも資源とはもともと「産業の原料や材料になる物質」(『新明解国語辞典』)という字義をもったことば。たいていの人なら,立ち止まってよくよく考えてみればそのとおりの印象をもたれるのではないでしょうか。わたしは平凡な人間ですが,固有名詞と人間的尊厳をもって存在している以上,原料・材料のようにモノ扱いはしてほしくないと思います。それはまるで,構造物を構成する単なる一部(ブロック)ではないでしょうか。

扱い方だってそうです。自分の何かが役立つならば役立てていただくのは光栄と思う方は多いにちがいありませんが,一方向からの都合で“活用”するだなんて,じつにいい加減なことば遣いに思えてきます。名が売れた人,そうでない人,そんな違いはまったく関係ありません。

質問者側の議員のなかに,わたしと似た印象を抱かれた方があったのでしょうか。すこし気になりました。

ことばの使い方には,使い手の生き方哲学・センスが包み込まれています。ことばはこころの窓です。行政に携わる方々には,感じるこころを磨いていただくよう期待します。 

(付記)写真は本文とは関係がありません。

 


タマムシ!

2014-08-19 | 昆虫

事業の実施で,車で1時間かかる施設を訪ねました。参加したのは5家族12人。

施設近くの公園で活動しているとき,偶然わたしの目に入ったのが2つの昆虫。ともに,わたしたちの頭上にある木の周りを飛び,ときには降り立ちました。1つはマダラチョウ。その素早い動きには驚きました。もう1つはタマムシです。タマムシは,意外と早い動作で飛びました。降りた辺りを見ると,葉にいました。そのタマムシについてすこしばかり報告をしておきしょう。 

 
まだ若木ではありますが,タマムシがいるところを探すのはたいへん。ときどき舞い上がって,別の場所に移っていきました。チョウなどと比べると頼りない飛び方に見えましたが,結構動きが早いなあと感じました。わたしは,このように飛んでいるタマムシを自然界で見るのは初めてです。


上写真をトリミングしました。中央付近に,なんと3匹いることがわかります。 

 
オスはメスを,メスはオスを探していた最中なのかもしれません。

ふしぎなことに,タマムシは梢に近いところにしか止まりませんでした。けっして低いところには降りて来なかったのです。帰って調べると,エノキとタマムシの組み合わせは,これ以上のものはない程の関係だそうです。

街中の公園でも,こんな自然が残っているのです。偶然の,貴重な出会いでした。

 


ツマグロヒョウモンの交尾

2014-08-18 | ツマグロヒョウモン

久し振りにお気に入りの草原を訪ねました。そこに棲息しているはずのツマグロヒョウモンを見たくって。

そこで,スミレの葉にある産付卵を探しているときのことです。ひらひらっと目の前に現れたのが交尾中のツマグロヒョウモン。ほんとうに驚きました。ラッキーという他ありません。さらにびっくりしたことに,ツマグロヒョウモンはわたしの足元の草にとまったのです。

翅をせわしく動かすので,タイミングよく瞬間を写し撮るのに苦労しました。


わたしの気配を感じたようで,迷惑気味に場所を移動。飛ぶときは,メスが上側で翅をパタパタ。オスは下でぶら下がったままです。

降り立ったところは直立茎植物の先端辺り。周りより高い位置で,願ってもないところ。写真の構図としてはなかなかのものです。 

 
とまっていても,メスが上に位置していました。


再び,移動しました。こんどは草の間に降りました。 今度は横並びです。


写真はすべてコンデジで撮影しました。こんなチャンスに恵まれることはめったにありません。気分は最高でした。 

 


アゲハ,2齢幼虫の脱皮

2014-08-17 | アゲハ(ナミアゲハ)

スダチの木を見ながらアゲハの幼虫を確認していると,3齢幼虫の脇に黒っぽくて長いものがあるのが目にとまりました。

「ははーん,これは脱皮したばかりなんだな」と直感。詳しくはメガネをかけないとわからないので,枝を手折って家の中に持ち込みました。ルーペで見ると,やはり脱皮したばかりです。体長5mm。黒っぽいものは皮です。からだの横に,頭部を覆っていた殻がありました。黒くて,丸くて,はっきりそれとわかりました。このとき,幼虫の頭はまだ褐色を帯びていました。

急いで写真に収めました。


飼育時は別にして,自然のなかで幼虫の脱皮を見る機会はそう訪れるものではありません。しかも,ごく小さな幼虫の脱皮となると,一層見かけないでしょう。小さいだけでも目に入りにくいし,ふつう幼虫に目を向けるなんてことはありません。

それだけに,今回の脱皮風景は貴重な画像になりました。このあと幼虫が皮を平らげたのはいうまでもありません。


こうしてわたしたちの気づかない世界で,いのちが生まれて,かたちが変化し続けます。

 


子らと町内巡り

2014-08-16 | 生物

つい先日,職場でコミュニティバス利用を目玉にした企画を実施。20人の小学生が参加しました。柱になった内容は,ホタルおじさんの話,小学校2校の訪問でした。この中から,生きものについてのトピックに触れておきます。

ホタルの保護に情熱を注いでいらっしゃる“ホタルおじさん” ことYさんから,話を聞きました。そのあと,現地に出向いて実際に水生昆虫を採集しました。

そのとき,Sさんが川岸の石をひっくり返してホタルの幼虫を発見。Yさんの話では,こんな例は稀だということでした。


同じSさんが,甲羅の軟らかいサワガニを発見。これが脱皮して間もないカニとわかって,興奮していました。初めての経験なのです。


こんなわけで,自然がまだまだ残されていること,その自然を保護しようと努力している方がいることを感じたひとときでした。

このあと訪れた小学校は,共に平成27年度で閉校になるところ。子らの記憶にとどめておきたいと願って訪ねたのでした。それぞれの学校で学校長から大歓迎を受け,学校の歴史の話をお聞きし,校舎を案内していただいたのでした。

校舎巡りをしているとき,ガラス窓にとまっていたのがシオヤアブ。アブは自分の体長と同じぐらいのハチを捕獲していました。 

 
学校職員のIさんから見せてもらったのが,ゴホンダイコクコガネのオス。糞虫の1つです。学校の玄関にいたそうです。夜間外灯に飛来して,そのまま朝までいたのでしょう。指を触れると,死んだようにじっとして身を守ろうとしました。

 
田舎ならではの匂いが,あちこちにあります。子どもたちには,おまけの贈り物になりました。 

 


ヤマトシジミ,孵化!

2014-08-15 | ヤマトシジミ

ヤマトシジミの孵化場面を目撃しました。とうとうというか,ついにというか。貴重な画像が得られましたので,何回かご紹介しましょう。

早朝のことでまったく偶然の話。ルーペを使って数個の卵を見ていると,黒っぽいものが見える卵が一つ。「あれっ!? ひょっとすると孵化かな」と予感。カメラをセットして撮ると,まちがいなく卵の中に幼虫がいました。そして中から卵の殻上部(蓋に当たる部分)をすでに食べ終わり,いつ出てきてもいい状態であることがわかりました。


いつ出てもよい状態になっていて,頭の位置が大きく動いています。 


「これはスゴイ! しっかり見届けなくちゃ」。そう思って見ていると,するするっと出てきて,殻の上に載りました。

 

 
どうするのかなと思いながら観察していると,殻を食べ始めました。黒っぽい頭部が時折見えて,その動きから食べていることが窺えました。そういえば,これまでに,殻がほとんどなくなった例をたくさん見てきました。それらは,この例と同じように,生まれ出た幼虫が食べたのでしょう。

 
かなりの時間そこにとどまっていました。きちんと食べ尽くすという程でもなく,程々で殻から立ち去っていきました。


とにかく,幸運な観察例になりました。こういう日は,一日気持ちがいい! 

 


ヤマトシジミの幼虫とアリ(後)

2014-08-14 | ヤマトシジミ

ヤマトシジミとアリの関係は相当に強いらしく,幼虫が小さくてもアリがいますし,アリだって一種類に限った話ではなさそうです。

その証拠に,小さな幼虫(3齢?)に小さなアリが来ているのを目撃しました。はじめは一匹いました。


しばらくして,もう一匹増えました。よほどの結び付きだなあと感じ入りました。


葉の裏で幼虫を探すなら,このアリを意識しておくとよさそうです。

 


誕生後間もない幼虫

2014-08-13 | ヤマトシジミ

ベニシジミの孵化を観察したときを思い起こすと,複数の卵を対象にしてやっとその瞬間に行き当たり,たった1事例ゆえに相当に緊張して撮影したことが印象深く残っています。

それと同じように,ヤマトシジミでも運よく孵化場面を激写できればと思うのですが,これもまたかなり苦労の伴なう観察になるでしょう。しかも苦労しても成功するかどうか,まったくわからないのです。

そんななか,孵化後間もない幼虫(A)を見つけました。卵の近くに,からだの大きさと比べると毛の長い幼虫がいました。色は薄黄色で,いかにも誕生して時間が経っていない様子。

 


その幼虫を撮っていて,さらに孵化後ほとんど時間が経過していないと思われる幼虫(B)が,ファインダー視野に入ってきたのには驚きました。一枚目の写真を確認すると,それが写っていたので,さらに驚きました。


からだの大きさは,さらに小さい感じです。卵の殻が近くにありました。

「これはいいや」と思いながら,2個体を一枚の写真に収めました。タイミングというのは運にも左右されます。出てきた幼虫の卵を,もうすこし早く観察できていれば誕生の瞬間を撮れたのですが,そうはいきませんでした。卵をじっと見ているわけにもいきません。

「そのうちに,そのうちに」と念じるほかありません。