自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その327)

2014-08-12 | ジャコウアゲハ

先に『ジャコウアゲハ観察記(その325)』で,天敵について書きました。そのことで,すこしわかりかけたような気がしてきました。それはある場面を見たからなのです。

無惨にも殻だけになった蛹を見た翌日のこと。とんでもない事態が発生しました。すぐ近くにあった蛹2つが姿かたちもなく消え失せてしまったことです。どこにあったのか,まったくわからない状態でいなくなったのです。

「おかしいな,おかしいな。ほんとうに鳥が来て食べたのかな」と思いつつ,蛹があったところをよくよく確かめていてびっくり!  なんと,クサキリ(メス)の成虫がいたのです。


その翌日もやっぱりそこにいました。 


それで,食べられた蛹,いつの間にかなくなった蛹とこのクサキリの関係がつながり出したのです。「ひょっとしたら,クサキリが襲ったのかな」と。

ネット検索で調べると,『ウィキペディアフリー百科事典』(「ヤブキリ」の項)に,次の記述がありました(赤字)。

食性はきわめて幅広く、様々な昆虫・小動物から種々の葉・果実、蕾や新芽などを喰う。 メスや終齢幼虫は特に貪欲で、自分と同じかあるいはそれ以上の体長の相手にも飛びかかって食べてしまうことがある。 飼育下でもありとあらゆる物を食べ、本種の食に対する適性の広さがうかがえる。

これは重要な情報です。わたしが見たものは単に状況証拠にすぎませんが,かなりそうらしいと思えてきます。ハンターは鳥ではなく,ヤブキリだった(かもしれない)とは! そうなら,「納得!」です。 

 


キリギリスの季節

2014-08-12 | 昆虫

勤務施設には,前年まで野菜栽培をしていた農園があります。今年からそれを中止にしたため,今,そこは雑草に覆われています。人の手入れが行き届かないとなると,草がはびこるのはもう見事なばかり。

そこは虫の宝庫になっています。しかし,放置しておくわけにはいかず,この程草を刈りました。

作業の最中,たくさんの虫に出会いました。そのつもりで,ポケットにはコンデジをしのばせておきました。

大きなキリギリスがいたのにはびっくり。「これはしめた!」とばかりに,カメラを手にそっとそっと近寄っていきました。キリギリスはちっとも動きません。気づいたか,気づいていないか,わかりません。これまでの経験では,キリギリスはいたって臆病な感じがしていました。なのに,この日のものはすてきな被写体になってくれたのです。 


威風堂々とした姿勢。枯れ草,土,草を模した色合い。立派な産卵管。跳躍力を備えた後脚。ぎゅっと姿勢を保つ,脚の突起。環世界を認識する複眼と触覚。それぞれに大したつくりになっています。

撮影が終わって,指をそっと触れると,向きを変えてのそのそと移動していきました。これもふしぎな光景でした。

じつは,このキリギリスを遠景も入れて虫の目レンズで写したいという願いを抱いています。今夏,できたらいいのですが。

 


ジャコウアゲハ観察記(その326)

2014-08-11 | ジャコウアゲハ

『ジャコウアゲハ観察記(その324)』で,花を食する幼虫について取り上げました。今回は,それと似た例で,ウマノスズクサの子房を食べる例をご紹介しましょう。

子房が膨らんで結実するのをたのしみにしているところへ,ごく小さな幼虫がやって来て,それを食しているのを目撃。


地上部なら食草のどこでも食べ尽くす幼虫のことですから,当たり前なのですが,この小さなからだにして大した食欲です。

 

 
熟する子房の中に,種の子どもが詰まっているのが見えます。たまたま見た光景ですが,生態を見るうえで貴重な材料になります。

 

 


一枚の葉に卵が2つ

2014-08-11 | ヤマトシジミ

ヤマトシジミの孵化が観察したくて,植木鉢に自然に生えたカタバミをそのままにしておいて,庭に置いています。庭には,ヤマトシジミの成虫が蜜を吸いに訪れたり,産卵に訪れたり。これなら葉に卵を産み付けるにちがいないと期待していたら,やっぱりそのとおりになりました。もしずっとその場にいて観察を続けていたら,産卵シーンを撮影できるはず。

鉢を数日そのままにしておいて,また卵を確認したら,一枚の葉に2個も卵が産み付けられている例が出てきました。

2つが寄り添って付いている例もあります。これは,果たして同じ成虫が同時に産んだものなのでしょうか。あるいは,別の成虫が産み付けたもので,まったく偶然隣り合わせになったのでしょうか。ふしぎな事例です。


先に挙げた例では,その後,1個の卵が孵化。もう一つの卵は数日後に孵化。したがって,別個体が産卵したとまずは考えてよさそうです。

しかし,すぐ隣り合わせのこの例では孵化の時間的なズレはどうなのか,気になります。

 


ヤマトシジミ,羽化!

2014-08-10 | ヤマトシジミ

8月9日(土)。朝のこと。

起床して蛹を見ると,羽化が近づいてきた様子です。昨夕見た感じから,たぶん半日と少しで羽化するだろう,夜に羽化することはまずない,と思い切って予想。それで早朝に観察したら,やっぱりまだ羽化していませんでした。やれやれです。

こうなると目を離せなくなって,傍でずっと羽化の瞬間を待ち続けました。

 


午前8時43分。 いつ羽化が始まってもよい状態です。

 


午前8時51分。ファインダーを覗いていると,殻に亀裂が入りました。 

 


午前8時52分。ゆっくりと頭部が出始めました。眼と触覚が確認できます。 

 


午前8時52分。からだが出てきました。前脚も見えます。 

 


午前8時52分。上に向かって,ぐっとからだを伸ばしました。そして,あとはスルスルッと素早く出終わりました。できるだけ早く翅を広げる姿勢を保ちたいのでしょう。 

 

 
午前8時53分。蛹の殻の付いた葉で,脚場を確保しようとしていました。


午前8時54分。 葉と殻に脚をおいた姿勢になりました。翅がゆっくり広がっていきます。


午前9時03分。10分も経つと,もう翅がしっかり広がっていました。しかし,まだ軟らかいので飛ぶことはできません。 

 
こうして,無事に羽化が終わりました。それを見届けることができて,ホッとしています。大変化を目の当たりにできるのは,やはり観察の醍醐味でしょう。いのちの誕生という感じがひしひしと伝わってきます。

もう1個体の羽化が見られたらスゴイだろうな,と密かに思っていたところ,同じ日の午後羽化し終えていました。わたしがいない間の出来事です。観察結果からいえるのは,成長には個体差がかなりあることということです。羽化を見届けられず,なんだか残念。

 


ジャコウアゲハ観察記(その325)

2014-08-10 | ジャコウアゲハ

体内に有毒成分を蓄えたジャコウアゲハの幼虫や成虫にも,天敵は確かに存在します。蛹にも存在します。硬い蛹の殻にすっぽり穴が空いている例がたまに見受けられます。体内で孵化した天敵が出てきた痕です。

この程アゲハの庭園で確認したのが,蛹のからだが無惨にも食いちぎられた例です。わたしが羽化をたのしみにしていた個体です。すぐ脇に,同時期に蛹化した個体がやっぱり個体のままなので,何者かに襲われたにちがいありません。


撮影日の前日夕方には,腹部の殻がまだ付いていました。もちろん,中は空洞になっていましたが。翌朝になると,それがなくなっていました。帯糸が引きちぎられたのでしょう。強引な食し方です。

こんなに大胆に襲った天敵とは何者なのでしょうか。カマキリやクモのしわざとはとても思えません。考えられるのは鳥です。葉の裏に付いた蛹を見つけて食べる鳥って,どんな鳥なのでしょう。謎が深まります。

 


ヤマトシジミ,羽化間近

2014-08-09 | ヤマトシジミ

『ヤマトシジミ,蛹に』(8月5日付け記事)で取り上げた蛹のその後についてです。

8月8日(金)。緑色をしていた蛹から,濃い緑が薄れ,どんどん羽化に近づいています。一つの個体では,翅の色が黒っぽくなってきました。あと一日で羽化するのではないでしょうか。


もう一つの方は,産卵時期がずれていたのでしょう,変化が遅れて進行しています。羽化は二日後でしょうか。


過去の観察経験から,変化のおおよそは見通せます。羽化をたのしみにしながら待っている蛹なので,見届けることができたら最高の気分が味わえるのですが……。 

 


アオメアブの交尾

2014-08-09 | 昆虫

畑で農作業を始めた途端,アブが交尾したまま目の前を横切り,近くの支柱にとまりました。びっくりして,大急ぎでポケットからカメラを取り出し,写しました。

アオメアブです。上がメス,下がオス。からだの大きさがはっきりちがっています。 

 
脚先の鉤は相当に強力だとみえて,つるつるしたタケの表面も平気。この姿を何枚か撮りました。これは,気づかれないように慎重に動いたお蔭です。

畑仕事をしているとなにが見られるかというたのしみがあります。夏の作業は苦労続きですが,こんなこともあるのでなんとか続いています。

 


ヤマトシジミの恋

2014-08-08 | ヤマトシジミ

アゲハの庭園に,メランポジウムの花がわんさか咲いています。そこに,ヤマトシジミがたくさん訪れます。庭には,幼虫の食草カタバミが適当に生えているので,好都合なのです。

見ていると,オスの求愛行動が観察できます。 

 
メスを見つけたオスが,ゆっくり近づいていきます。大抵の例で,同様の行動が見られます。近づくと,翅を震わせて求愛をします。中には,メスの前で翅を動かす積極的なオスもいます。

 
翅がずいぶんダメージを被っていても,繁殖行動は種の維持にとって欠かせないのです。

 
ずっとそこにいて観察していれば,交尾に至る例も目撃できるでしょう。しかし,そこまでの時間的余力はなく,まだ確認できていません。いずれ,その機会に恵まれるときが訪れるかもしれません。 

 


偶然のゴマダラチョウ

2014-08-07 | 昆虫

先日,畑で草払機を使って草刈作業をしているときのこと。

前方の草むらにチョウがいるのが目に入りました。機械を停めて,近づくと黒地に白い斑点がたくさんあるチョウです。ゴマダラチョウのようです。この辺りではまず目撃例はありません。


帰って調べると,食樹はエノキだとか。エノキはあるにはありますが,ごく稀です。

このとき,ゴマダラチョウはまったく逃げる気配はありませんでした。しばらくして,チョウはパタパタと頼りなく舞い上がって,近くに移動。刈り終わった草の上に降りました。そして,そこで翅を広げました。


翅を閉じたとき,横から見ると,口吻がチラッと見えました。複眼の色と似た褐色です。このチョウの特徴なのでしょう。


珍しいチョウを見たので,「いったいどこからやって来て,どこに行くのかなあ」とふしぎが湧いてきました。

草の匂いを嗅ぎながら作業をしていてこんな出会いがあるって,これも自然からのプレゼントだろうなと感じています。