自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ラッキョウの花と昆虫たち(続々)

2017-11-13 | 昆虫と花

ラッキョウの花を訪れる昆虫に当たり前ながら入るのがツマグロキンバエ。どの花でも見かけるほど見慣れた昆虫です。からだに付着した花粉がその活動ぶりを雄弁に物語っています。


ツマグロキンバエが一匹じっとしていたので,シャッターチャンスだとばかりに,接写で何枚も撮りました。眼の付き方からオスとわかります。

 

独特の縞模様がこの種を特徴づけています。

 

個眼がいったいいくつ並んでいるのかとついつい思ってしまいます。しかし,数える気にはなかなかなれそうもありません。

 

反対側から写しました。 

 

正面から撮りました。生きていくうえで眼がどんなに重要な役割を果たしているか,そのことがじゅうぶん伝わってきます。 

 

ミクロな世界は常識的な日常の目ではとらえきれません。注視しなくては見えないし,凝視しても見え切れません。 

 


ヒメアカタテハの産卵(1)

2017-11-13 | 昆虫

11月。公園で作業をしていると,目の前の草に舞い降りたのがヒメアカタテハ。「これはめずらしい!」と思って,さっそく撮影開始。

 

すると,歩いて数10cm移動。おかしいなと思いながら見ていると,なんとなく産卵行動らしいことがわかってきました。と思った瞬間,葉の表面に産卵! 草はチチゴグサです。

 

確めたら,卵があったー!

 

アカタテハのそれとそっくりのかたち。色はまるで翡翠!

 

調べてみると,幼虫の食草はキク科植物だとか。例えば,ヨモギありゴボウあり,ハハコグサあり,という感じです。これで納得。一回り大きいアカタテハとは食草がまったく異なっています。棲み分けっておもしろいものです。

それに,越冬態は幼虫あるいは成虫で,寒さに弱いために温暖なところでしか生き延びられないといいます。こうなると,この卵はこれからどうなるやら。

産卵時刻がはっきりしているので,当分観察を続けようと思います。うまくいけば幼虫越冬させることができるかもしれません。食草ならいくらでもありますから。というわけで,この日が一日目です。

 


モンキアゲハ,産卵から(5)

2017-11-12 | モンキアゲハ

10月29日(日)。十日目。台風22号の接近で朝から雨模様。気温の低下が変化を遅らせているのは明らかです。孵化がすっかり伸びてしまいました。いつになるやら。

 

雨の中で撮影しました。頭部の形成は遅々としています。

 

夕方。激しい雨がやっと上がりました。台風が去ったようです。卵を確認。アップで撮影。卵の直径は1mmです。明日になれば変化が現れるのでは,と期待しているのですが……。

 

11月1日(水)。十三日目。全体に薄い斑紋が現れ始めたようです。

 

 

側面から見るとよくわかります。それにしてもゆっくりしたものです。

 

 

11月2日(木)。十四日目。産卵から13日が経過した昼の様子です。 きれいに澄み渡った青空に緑の葉がよく似合います。

 

 

確かにからだが形成されつつあります。線状のものはからだを覆う毛なのでしょうか。

 

 

 


ラッキョウの花と昆虫たち(続)

2017-11-11 | 昆虫と花

しばらくいて,いちばん目にとまったのがシマハナアブです。数匹だけで羽音が響きます。複眼の表面に毛がどっさり。こうして見ると,もの,例えば花の一部が接触しても眼が保護されやすそう。その理屈はわかる気がします。

 

警戒心は感じられません。からだは花粉まみれ。よき送粉者です。

 

セイヨウミツバチもそれに負けない送粉者。貢献度は高そう。

 

この写真を撮ったときは,陽が山の向こうに沈んだ瞬間でした。こっちに。

 

あっちに。

 

 

時間をかけて観察すれば,まだまだ発見がありそうです。 

 


ラッキョウの花と昆虫たち

2017-11-10 | 昆虫と花

今,畑ではラッキョウが花盛りです。小さくって,ちりちりっとした花なのに,赤紫の鮮やかな花弁ゆえにひと際目立ちます。

 

一年前はそこを訪れる昆虫を見かけませんでした。今年はちがいます。たくさん目撃できました。昨年は結局天候がよくなく,わたしが畑に行ったときに巡り合えなかったのでしょう。今年は,ぱぁーっと晴れ渡った暖かな日に行ったからだと思います。陽気に浮かれ,昆虫たちがすっかり勢いづいたからにちがいありません。この点,昆虫も人もよく似ています。

翅の裏側の波模様からすると,ウラナミシジミのようです。

 

吻を曲げて渦巻にした瞬間です。

 

シジミチョウは花を変えて吸蜜に勤しんでいました。

 

畑から去ろうとはしませんでした。ラッキョウがお気に入りのようで。複眼に生えた毛が見えます。眼にとって相当の意味があるのでしょう。一説には花粉で眼が汚れないようにというのがありますが,さてどうなんでしょうか。 

 

イチモンジセセリはどこにでもいます。ここにも。幼虫の食草はイネ。辺りには稲田が広がっています。

 

 

ヒラタアブのなかまはいくつかいました。警戒心が強かったので,このときはクロヒラタアブを撮影できただけ。口吻が柱頭を舐めています。このクロヒラタアブの複眼も毛がいっぱい。

 

 

蕊につかまり,吻でペタペタ舐めています。おいしそう! 

       

      (つづく) 

 


モンキアゲハ,産卵から(4)

2017-11-09 | モンキアゲハ

10月26日(木)。七日目。すこしずつすこしずつ孵化に向かっています。涼しい気候になってきたので,その変化はじつに緩やかです。

 

 

10月27日(金)。昼。八日目。ちょうど7日が経過しました。中央付近を帯状に斑紋が広がっています。一昨日,「27日あたりには孵化しそう」と予測したのが外れました。やはり,低温のせいで変化が先送りになったようです。

 

 

夕方。真上から見ると,頭部が形成されているのがわかります。

 

 

10月28日(土)。雨の朝。九日目。じつに遅々とした変化です。 

 

こうなると孵化までしっかり見届けたいと思います。

 


むずかしいことをおもしろく

2017-11-08 | 随想

永六輔さんのことばに,「むずかしいことをやさしく,やさしいことを深く,深いことを面白く」というものがあります。過日,国の施設を見学したとき,久しぶりにこのことばが浮かんできました。

光を使って,原子レベルの構造や変化を分析しているという,このタイプとしては世界最高水準の性能を誇る施設。ここを,平均年齢75歳という高齢者がバスツアーで訪れるのに同行したのでした。事前にあったガイドさんの話では,とにかくむずかしいところ,以前は格調(?)高く一般の人は見学できなかったが,近頃は「どうぞ,どうぞ」と開放的な感じ,巨額を投じて運用していることに理解を求める方向に変わったらしい,そんな内容でした。

はじめに案内スタッフによるガイダンス。かつてテレビ番組で放映された同施設についての番を視聴しました。番組中の案内人は早口の著名人。案内人はなんとかおもしろく読み解こうとしていました。しかし,年配者が一度見ただけでは理解しにく内容だとみました。番組自体が一般視聴者に一方向から情報を提供するという体裁の報道特集だからです。

スタッフの話で妙な説明もありました。光を使う研究施設なので,光の説明がなされるとき,「太陽の光を受けて植物は,うーん,タンパク質を作っていますね」ということばが出て来て,そのまま修正されずに終わりました。スタッフは複数だったのに,誰一人として対応されませんでした。

ガイダンス後,引率者がわたしに「科学館にお勤めですから,すいすいわかるでしょう。わたしには皆目わかりません」とおっしゃったので,「よく似たものですよ」とお答えするほかありませんでした。わたしは半理解にも至りませんでしたから。質問コーナーはまったくなし。案内スタッフの立場を批評すれば,すでに「むずかしいことをやさしく」でつまずいているのです。おまけに,「〇〇だからね」「こんな研究施設なので,わかりづらいのが当たり前」の姿勢。これでは理解が進まないでしょう。そこには引き付ける工夫が見当たりません。ですから使命感もありません。

これまでにもここを訪ねた人から第一印象を聞いたことがあります。やはり,素人には難しかったという話でした。それと重なって,この段階でもう「これではな」という印象です。

番組視聴のあとは同施設の見学。通り一遍の,ただ見るだけというコースです。目の前にあるのは施設の,大掛かりな装置。口から出るのは「へー!」「ほーっ!」,そんな印象ばかり。

 

わたしたちは科学の素人。解説に必要な,素人の目線に応じた具体的な仕掛けがまったくなし。どんな解説をすべきか,どんなガイドを配置するか,どんな展示をするか,それらがかたちとしてまったく見えてこないのです。感度のよいガイド,簡易な模擬装置,親しめる展示内容がほしい! 分子や原子を馴染みの深いものにたとえたらどんな小ささなのか,一回の実験で使う光エネルギーは一般家庭が消費する電力量の何倍程度のなのか,そんな“わかりやすさ”がまったくないのです。 

 

どんな人が訪ねて来るかわかりません。勉強したいと積極的に臨んだわけでもない人を相手にするのがほとんどではないでしょうか。むずかしいことがむずかしいまま。「どうせわからないだろうから」という思い込みがあるわけではないでしょうが,それならなんとか伝えたいという工夫があってほしいなと感じました。

帰途,ガイドさんいわく「三度目の見学でしたが,やっぱりわかりませんでした。皆さんはいかがでしたか」。高齢者ならなおのことでしょう。 

終始,失礼ながら「これではな」といった感じでした。案内学の入口でつまずいているといった印象を受けたのです。これ,自分勝手な“ガッカリ”辛口批評です。企業が運営する同様,同等の施設なら,こんなことはないでしょう。企業努力と比べてサービス体質のちがいが際立ちます。やっぱり親方日の丸式なのかな。体質改善って,たいへんたいへん。

というわけで,冒頭の永さんのことばがぐぐっと輝いて迫ってきました。改善って思うほど簡単でなく,いうほど容易でない! 

 


クモ,狩りに失敗

2017-11-07 | 生物

公園で咲いているタンポポで,食物連鎖の生の様子を目撃。 

偶然,一つの花にカニグモとハナバチがいるのを見かけました。「これはおもしろい!」と直感。すぐにカメラを近づけて観察を開始しました。  

 

 

てっきり,カニグモが積極的に捕獲行動に移るのかなとばかり思っていました。ところがそうではありませんでした。待ち伏せながら,すこしばかり前に進み出るという感じなのです。それとも知らぬハナグモは食餌に懸命で,周りの様子が視界に入ろうはずがありません。結果,ちょっとずつクモに近づいていきました。

 

と,そのときのこと。「あっ,捕まるな」と思った瞬間でした。クモはさっと動きました。こんな長い脚に捕らえられたらまず逃げようがありません。

 

 

そう思った瞬間,捕まりました。この画像だけがピンボケです。惜しい!

 

 

捕まったと思ったら,なんとパッとすり抜けて去りました。一瞬の出来事でした。クモは「あー,残念!」と悔しがっているにちがいありません。

 

 

待ち伏せて狩りをするクモの行動が観察できました。これも観察のおもしろさです。 

 


キンケハラナガツチバチの摂食行動

2017-11-06 | 昆虫

セイタカアワダチソウの花が咲き誇っています。そこに来ていたのがキンケハラナガツチバチ。漢字を当てはめれば“金毛腹長土蜂”。からだを覆う金色の毛並みのすごさ,とくべつに長い腹部,それらは一度見るだけで名と共に脳裏に刻まれます。

 

大顎もりっぱなものです。触覚だって,ずばっとしていて力強い!

 

接写を試みました。餌を求めて吻が伸びます。

 

吻を突き刺すようにして栄養を補給します。 

 

じっとしている間がありません。しきりに動き回ります。 こんなわけで花粉がからだのあちこちに付いています。

 

 

吻は単純な構造ではなさそう。先に,左右に飛び出した細長い器官があります。どんな役目を果たしているのでしょうか。餌を探知するのに使われているのでしょうか。

 

 

ほんとうに毛だらけ。手強そうですが,ふしぎにも手に乗るほどおとなしいのです。

 

 

セイタカアワダチソウには様々な昆虫が訪れます。これによって結実率が高まります。そういえば,セイタカアワダチソウの実生実験については本ブログで記事にしました。キンケハラナガツチバチはこの花にとってたいせつな訪花昆虫なのです。

 


レモンの季節

2017-11-05 | 植物

実りの秋はレモンの木にもやって来ました。年によっては稀に生りがよくないと感じるときがありますが,ほぼ毎年ありがたいほどに生ってくれます。今年もそんな年になりました。

これまでに毎年のようにこれに関する記事をアップしてきました。それだけ,実りをたのしみにしているわけで,今秋もそうしようと思います。アゲハの孵化の撮影をたのしんだのも,この木です。飽きることのないたのしみをプレゼントしてもらえるって,もったいないぐらいなのです。

実は葉や,巻き付いたつる植物に埋もれてまだ目立ちません。

 

しかし,近寄ると,かなり目に付きます。

 

手入れは寒肥を与えるだけ。農薬はもちろんまったく不使用。虫が来てくれることを大歓迎しているのですから。ということは,これらの実は健康食品といい切れます。ほとんどを人へのプレゼントとして使います。健康食品であることを強調してお渡ししています。今年もそうなるでしょう。

過日,道の駅で国産のレモンを販売しているのを見かけました。なんと1個170円!  熟していないのに,サイズはごくふつうなのにこの値段。健康志向ブームによるものでしょうか。ただ,このレモンが無農薬栽培だという保証はどこにもありませんが。撮っちゃいけないとは思ったものの,あまりにも印象的だったのでついつい撮ってしまいました。

 

これから色づいていきます。きっと実りのゆたかさが満喫できるはず。自然の匂いはこれだから極上です。まるでわたしのたのしみ方を察知しているかのようです。