徒然なる日々からの歳時記

徒然なるままに日々の歳時・興味を綴っております。

斑入りに魅せられて「草木錦葉集」

2012年12月15日 | 朝顔・金魚・花・園芸・ アクアリウム
朝顔,花火,和の色,金魚・・こだわりの要素に深く掘り下げていくと必ず「江戸」というキーワードが出てくる。約三百年間平和な時代が続いたから・・だけでは説明の付かない面白い話が沢山あり,興味は尽きない。

例えば・・

「斑入り」という言葉はご存じでしょうか?本来単色(緑色)である植物の葉の一部が白や黄色になったもの(多くはクロロフィルの欠如によるもの)のことをいい,園芸品種などにおいては貴重なものとしてもてはやされます。

江戸が世界でも類を見ない園芸都市であったことは有名で,今ではちょっと想像が付かないレベルのディープな園芸文化が存在していました。特筆されるのは,美しいものを愛でるだけではなく,変わったもの,奇異なものをとにかく追求するという方向性が存在していたこと,このblogでも何度か紹介している「変化朝顔」はこのベクトルの最たるもの。

美しさを兼ね備える奇異な植物の特徴である「斑入り」がその対象にならなかったはずはなく・・。

江戸の園芸文化が多くの植物に魅せられた愛好家によって支えられていたことも有名なのですが,「斑入り」にも魅せられてしまった愛好家がいました。

江戸後期を生きた幕臣,水野忠暁がその人,「斑入り」に魅せられて,「草木錦葉集」という世界で初めての斑入り植物の図鑑まで作ってしまったそうなのですが,驚くべくは彼が生涯で集めた斑入り植物の数,約3,000種,この数は情報網や流通が発達した現在においても驚異的な数だとか・・。

何がそこまで・・とは思いますが,個人的には好きなベクトルです。

ちなみに「草木錦葉集」は,以下の国立国会図書館のデジタル化資料で見ることが出来ます。精緻で美しい図画もさることながら,整理された膨大な情報に驚かされます。

→ 国立国会図書館デジタル化資料「草木錦葉集 緒巻1巻前編3巻後編3巻」

参考文献:小笠原左衛門尉亮軒『江戸の花競べ-園芸文化の到来-』青幻舎

ブログランキング・にほんブログ村へ
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする