元ラーメン屋店主のツイート集

ラーメン屋を10年経営し、今は閉店し、介護士をしています。

ラーメンの麺は進化する

2006年03月07日 | ラーメン総合研究所
先ほども書きましたが、佐賀県は低加水の細麺、
ストレートが主流です。

でもラーメン界では、既存のスタイルを打ち破る
斬新な麺が次々と登場しています。

90年代から増えてきたのが、練りこみ麺です。
ホーレン草、海草、魚介素材、唐辛子、調味料
などを製麺時にブレンドした麺です。

味つけは、タレとスープでする時代から、麺から
も味を出す製法へと変化をしつつあります。

しかし、まだ佐賀県の製麺会社で練りこみ麺を
やっている所は無いので、練りこみ麺をするには
自家製しかありません。

2000年以降にちらほら出てきた新麺は、不揃い
なランダム麺です。麺に不規則なウェーブをかけたり、
麺の太さを不揃いにしたり、違う種類の麺を混ぜたり
します。この手法により、一杯のラーメン内で、
様々な食感や喉ごしを堪能できます。

以前まで国産小麦は、品質がばらつきコシが出にく
く、コストもかかるから中華麺に適さないと言われて
いたが、企業努力もあり近年は国産小麦の麺を使用した店
が増えました。

九州の人は細麺⇒トンコツラーメンと思いがちですが、
今は1.25mm未満の細麺が主流です。醤油ラーメン
や塩ラーメンにも細麺が使われています。細麺でも
多加水だと延びにくくなります。博多麺みたいなザックリ
感は無く、細麺でもプルンとしたモチモチ麺です。

細麺と太麺では、細麺の方がスープにからみます。
本来はあっさりしたスープにこそ細麺が最適です。
だから繊細な味わいの塩ラーメンには細麺が多い
です。塩ラーメンに太麺だと、麺が主張しすぎます。

また、ちぢれ麺はストレート麺よりもスープを持ち上げます。
口当たりもよく、スープがからむからちぢれ麺は今も
ラーメン界の王道にあります。しかし、日本以外では
ちぢれ麺を使用している国はほとんど無いです。

また、加水率が高いとスープをあまり吸わず、麺が
主張します。味噌ラーメンみたいに主張が強いスープには
主張が強い多加水麺を使用すると麺が負けません。
逆に低加水麺は麺にミクロの穴が無数にあるので、スープ
をガンガン吸います。スープが主張する店だと、低加水では
麺が負けてしまいます。

でも面白い物で、本来はトンコツスープに合わないはずの
低加水細麺がトンコツラーメンの主流になっています。
スープにからむ細麺で、スープを吸いやすい
低加水麺だから麺自体の味よりも、スープ味になった麺
を食べている事になります。もしかしたら、麺が主張する
ように、ハリガネ、生、粉落としとかの超硬麺が人気ある
のかもしれません。

横浜家系は久留米ラーメンルーツですが、超濃厚スープに、
太麺(スープが浸透しにくい。麺が主張)ちぢれ麺(スープ
が麺の表面にからむ)多加水麺(スープが浸透しにくい。
麺が主張)だから、麺もスープもインパクトがあります。

福岡や佐賀のトンコツラーメン屋でスープについて色々
語る人は多いですが、あそこの麺が美味いとかの感想は
少数派なのは麺が脇役になっているからだと思います。

だから当店は、麺とスープが共に主役であるラーメンを
目指しています。






色んな中華麺

2006年03月07日 | ラーメン総合研究所
ラーメンの味が各店各様なように、麺にも豊富な
種類があります。福岡県や佐賀県は長浜系、
博多系のトンコツラーメンが多いので、細麺、極細
麺ストレートを使用している店が多いです。

「元祖長浜屋」が、時間が無い魚市場勤務の客
の為に短時間で茹で上げるように考案しました。
でも、今の福岡では「元祖長浜屋」の麺は中太麺
に分類されています。「元祖長浜屋」よりも細い麺
が主流になってきました。

また、茹で時間を短縮でき、粉のザックリ感を味わえる
低加水麺が福岡、佐賀では主流です。

低加水麺は茹で時間を短縮でき、スープが麺に浸透
しやすいという利点がありますが、延びやすいという
欠点があります。

そこで福岡の多くの店は麺の量を減らしました。
他県の量だと食べ終わる頃には延びきってしまうか
らです。
130グラムから180グラムが他県の主流なのに
比べ、福岡では90グラムから120グラムが主流に
なりました。

量が少ない事もあり、替玉のシステムは益々普及しま
した。また、福岡の人が「博多のラーメンはスナック
感覚」というように、小腹を満たしたい軽食感覚に
なったのも麺が少ないからです。でも最近は低加水
麺の欠点を知らないのか、大盛り、麺3玉入り、
なんてのもあります。

僕も時々大盛りを注文しますが、麺はバリカタ(ハリガネ)
(生)(粉落とし)で注文します。食べながら、バリカタ
⇒固麺⇒普通⇒やわめん⇒ずんだれ、との変化を楽しむ
為です。

福岡では固めんが主流ですが、佐賀県の多くの店では
細麺低加水を、博多でいう「ずんだれ」(麺に完全に火を
通し柔らかくした状態)にしています。中国麺、台湾麺は
完全に火を通した柔らかい麺が一般的ですが、博多の
表面だけしか火が通っていない(30秒弱しか茹でていない)
麺に慣れている人にはやや抵抗を感じてしまいます。

麺は1本芯を残した茹で加減が一番理想的です。麺そのもの
のコシと、少し固めの茹で加減により、スープの存在に
負けない麺になります。
中国の麺料理や、台湾の大衆向け
麺料理ではスープ、麺が主役ではありません。
醤油や塩で味を付けただけの清湯スープに、濃い味の具を
のせ完成します。肉味噌、かに玉、マーボー、あんかけみたい
に濃い味の具が主役の麺料理と同じ茹で加減の麺だと、味が
ぼやけ、歯ごたえを楽しめません。

でも刀削麺、手延べ麺、猫耳麺のように、固めんにはなら
ない麺もあります。

ストレート細麺低加水に次ぎ福岡でメジャーなのが、
ストレート中太麺低加水です。久留米ラーメンに代表され
る麺です。極細、細めんの喉越し爽快麺に比べ、中太麺は
食べ応えがあります。久留米ラーメンの影響とも言われて
いる熊本ラーメンも中太ストレート麺が多いです。

福岡では今や少数派ですが、細麺が主流になる前は、平打ち
麺でした。今も、福岡の鳥尾製麺所が平打ち麺を作っています。
「赤のれん&とん太」「うま馬」などで食べれます。

他にも、佐野ラーメンみたいな竹打ち麺や、多加水麺
(北海道の西山製麺が考案)、太麺、極太麺、ちぢれ麺、
無かんすい麺、揚げ麺(インスタントと同じような麺。
千葉県の一部で使用)蒸し麺(沖縄のソーキソバでは殆ど
が、蒸し麺です。他チャンポンなどには蒸し麺を使用して
いる店が多いです。)乾麺(棒ラーメン、パスタ、素麺
みたいな乾燥麺)などがあります。

ちなみに当店は生パスタからヒントを得て、オーストラリア
産プライムハードと、中国福建省の上質小麦をブレンドした
20番切り歯、低かんすい、くちなし入りの、4圧延、
冷却熟成させた、加水率60%強の多加水、太麺、
ちぢれ麺です。