「おれのひいじいさんのじいさんが手を出した女は、やがてじいさんの子を生んだ」
「ご落胤か」
「隠し子か」
「隠してねえよ」
「続きを早く言え」
「じいさんの子は、女の子だった。京都で生まれたから…」
「京子なんて言うなよ」
「ばあか、ありきたりに京子だ」
「ちぇっ」
「続き続き」
「で、その京子の母親は祇園の芸妓だ」
「おおっ」
「いいねいいね」
「その芸妓はじいさんと別れたあと…」
「なんだ、捨てたのか」
「違う、京を離れていたあとに誰ぞが手を出したんだ」
「誰なんだ?」
「不届き者だな」
「それはなあ~っ」
と、藤川先生が言った時だった。
3月なのに4月みたいな陽気の今日、ヒヤッとした空気が部屋に流れこんできた。こ、この気配は…。
「すまんのぉ、拙者じゃ」
「ひぇぇぇ」
と、鳥羽伏見のおじさんだ~っ。
「いや、めんどうみろと殿に命じられていたのではあったが…」
ぼやけていたおじさんの姿が、だんだん現れてきた。
「私寂しいの、なんて言われるとなあ」
と、頭をかく。
「そういうわけでな、拙者の子の一人は一応藤川家とは間接的には縁続きだ」
「ひぇぇぇ」
とんだ親戚だよ~。
へちま細太郎でした。
しかし、よく成敗されなかったな。
「ご落胤か」
「隠し子か」
「隠してねえよ」
「続きを早く言え」
「じいさんの子は、女の子だった。京都で生まれたから…」
「京子なんて言うなよ」
「ばあか、ありきたりに京子だ」
「ちぇっ」
「続き続き」
「で、その京子の母親は祇園の芸妓だ」
「おおっ」
「いいねいいね」
「その芸妓はじいさんと別れたあと…」
「なんだ、捨てたのか」
「違う、京を離れていたあとに誰ぞが手を出したんだ」
「誰なんだ?」
「不届き者だな」
「それはなあ~っ」
と、藤川先生が言った時だった。
3月なのに4月みたいな陽気の今日、ヒヤッとした空気が部屋に流れこんできた。こ、この気配は…。
「すまんのぉ、拙者じゃ」
「ひぇぇぇ」
と、鳥羽伏見のおじさんだ~っ。
「いや、めんどうみろと殿に命じられていたのではあったが…」
ぼやけていたおじさんの姿が、だんだん現れてきた。
「私寂しいの、なんて言われるとなあ」
と、頭をかく。
「そういうわけでな、拙者の子の一人は一応藤川家とは間接的には縁続きだ」
「ひぇぇぇ」
とんだ親戚だよ~。
へちま細太郎でした。
しかし、よく成敗されなかったな。