はい、お久しぶり、おばあちゃんよ。
孫の細太郎が、めでたく大学生になってくれて、ホッとしたのも束の間、美都からつくばった町まで通学するのがめんどくさい、と言いだし、反対しようが言ってきかせようがテコでも動かないので、結局、おバカな父親が折れてしまった。
以前なら「離れるのがいやだ」などとぬかしていたくせに、
「あいつがいない生活に慣れた、一人立ちけっこうけっこう」
と、こっちがおまえに言いたいわ、というセリフをかましてくれた。
まあ、確かに、つくばった町は交通の便が悪く、都会向けの電車は開通したんだけど、田舎向けの交通機関は、バスときている。そのバスだって、路線バスにいたっては利用者が極端に少ないので、1時間半に1本あればいい方よ。ましてや美都からは、JRからバスに乗り継いで、とめんどくさいったらありゃしない。孟宗へはスクールバスが通っていたからいいけど、国立大学はそんなものは出ていない。車で通学させるよりは、と腹をくくったら、バカ殿んちのいとこの孝太郎君が株だかでもうかったお金で資産運用のアパートを建てたそうで、ここへ住むことになった。
「条件は、きれいに住むこと、女連れ込むな」
という厳命をあの二人がきくかどうか。。。
たまには顔を出すね、と言ったら、
「おとうさん以外ならOK」
という返事が返ってきた。
やっぱり、ひなまつりの女装とリカちゃん人形が、まだ尾をひいているのねえ。
「なんなら、俺も隣に住んでやるぞ」
と、バカ殿が言い出し、強引に借りてしまい、息子が悲鳴を上げたのには、笑った。
で、気がつけば、何で副住職まで住んでいるのよ、という事態にまで発展し、細太郎の前途多難な大学生活に、おばあちゃんはため息をつくのでした。
ところで、副住職よ、何で一人暮らししているんだ、悪いことしたら、昔みたいに捕まえてやるからねっ!!
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