へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

農協の木村さん

2006-06-17 19:45:09 | ひるまのもめごと
キムラタクヤは、SMAPだけじゃないぜ。
そういや、姿見ないと思ったら巨人にトレードされたか。木村、おまえもか…、とサッカーだから野球は二の次なけんちゃんですっ。
俺は、トルシエでもいい。

さて、俺たちは、片山教授の呆れた告白内容に、まぢ疲れている。 なのに、このオッサンはこっちの気持ちなどどこ吹く風で、
「全く、若いっていいなあ」
と、ほざいている。
いつもなら、ここで一発ぶちかましの、最近匿名希望をつけ忘れた東山先生は、ぼぉっと頬杖をついて窓の外を見るとはなしに見ているだけだ。もともと役には立たない白いやつも、
「俺にはできねー」
と、どこをどう引っ掻き回したらそんなセリフが出るんだ、という言葉を発していた。 「あ~、衣笠米穀店に行くのが気が重い」
俺は、あそこの奥さんとえっち以前に、キスができることじたいが信じがたく思った。ドドメ色(ってどんな色だよ)のようなパフィオなんとかという蘭に、奥さんの面影を見いだし、片山教授言うところのワニ皮のバックみたいな顔との間に子供を作っちゃうなんて…。
しかも、不倫だぞ。
大学教授のすることかい。。。
生まれた娘は、親がワニ皮ならさしずめ穴に入り込んで出てこれなくなった、大サンショウウオだ。それをあのハンサムなのぶちゃんを、見合い相手に選んだんだと? 何にも知らないのぶちゃんが、かわいそうだ。
いや、知ってるからこその失踪なのか?
「毎度どーも」
と、タコ壺保健室の窓を開けて、新しい客が入ってきた。
「こ~いっちゃんがこっちにいるって聞いたもんで…。おや、けんちゃんでねえのけ?」
「おまえな…
このナマリ男は、この町の農協に勤める、俺やのぶちゃんの同級生だ。ここの大学の農学部を卒業して、地元の果樹園に婿に入ったやつだ。
今は木村姓だが、俺やのぶちゃんは相変わらず旧姓の依田と呼んでいる。
「何、のぶちゃん、いなくなっちまったんだと?役場で宇野が騒いでた」
宇野も同級生だ。役場で戸籍係をやっている。
「全くよ、いつかはやらかすんじゃねえかな、と思ってたからまあ驚きはしねえけどよ」
と、ポケットから納品書を出して、
「ほれ、こ~いっちゃん、学食の米の納品書に、はんこ押してくれっけ?」
と、白いやつに差し出した。
「事務室に誰もいなかったの?」
白いやつは、胸ポケットから印鑑つきのペンを出して、納品書にぽんっとはんを押した。
「いたのは、藤川先生だけ。電話番をあの人に押しつけるなんて、勇気あんね」
何やってんだ、あの男は…
「で、けんちゃんさ、のぶちゃんの居所、まだわかってねえのけ?」
のんきな野郎だな。
「一緒に探してやってもいいぞ。車、出してやっからよ」
持つべきものは、友達だなあ、とホロリとした。
「失踪の原因ってやっぱりあれけ?衣笠米穀店のなまはげ娘」
形容詞がだんだんひどくなるなあ。
これ以上、抗議がこないうちに、

つづくっ

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