こんにちは、へちま細太郎です。
いつものように?温室にいると、たかひろが顔を出した。
「やっぱりここだ」
「あ」
ぼくは立ち上がっていきなりの登場に驚いた。
「なんだよ、ジャージじゃん」
後から入ってきたのは、同じクラスでぼくの隣の席の松坂だった。
「へえ、ここが有名ななんとか教授の温室かあ」
またも同じクラスの鈴木が入ってきた。
「なんとか教授とはなんだあ」
と、奥の不気味な色をした原種の蘭の群れから、中島教授がヌッと立ち上がった。
「げえ」
「ひええ」
「おっさん、ひさしぶり」
「ばかもん、おっさんじゃない」
たかひろが悪びれずに奥へとすすんで、
「相変わらず気持ち悪いなあ。毎日眺めてて気分悪くなんないの?」
「美的センスの違いだな、もう少し女を見る目を養え、ばかもの」
教授ったら、中学生に何をムキになっているんだよ。
「で、おまえらもここでわしの手伝いにきたか。だったら、そんな恰好では汚れてしまうぞ」
「手伝いって…、細太郎を迎えにきたんだよ」
「何?迎え?」
ここで中島教授は、ぼくをみた。で、右手の親指を左右に動かして、
「だめだだめだ、貴重な労働力を連れ去られてはかなわん。却下だ」
と、拒否。
「労働力って、こいつ、授業に出てないんだぞ」
「なんだ、そんなくだらない理由か。誰だ、担任は…」
「赤松先生だけど…」
「だめだだめだ、あいつはいかん、前田のミニチュア版で融通がきかん。校長に話を通してやるから、おまえらもここにいろ」
「ああ?」
「ええ?」
「げえ」
ほんと、しょうがないなあ、中島教授に誰が逆らえるんだよ。
「赤松はここにいることを知っているのか?」
「知らないと思うよ。だって、誰がおっさんのところに来たがるんだよ、細太郎か、高校のサッカー部の先輩たちだけじゃないですか」
たかひろはすでにサッカー部に入部している。合同練習もしていて、けんちゃん先生にしごかれ、先輩たちにパシリにされていた。
「気になるな、その言葉づかいは。何でサッカー部のバカどもの話をするときだけ、敬語になるんだ。腹が立ったぞ、おまえは肥料のかかりにしてやるからありがたく思え」
「なんでだよっ」
やぶへびのたかのりと、興味津津と親切心でついてきた松坂と鈴木は、ついに中島教授につかわれる羽目になり、教室に戻ることはなかった。
し~らないっと
最新の画像[もっと見る]
-
ぼくはユウメイくんでちゅ 5年前
-
神宮だよ 9年前
-
これで・・・ 9年前
-
くやしいっ 9年前
-
優勝!! 9年前
-
ばんざーいばんざーいばんざーい 9年前
-
仙台狂想曲2 9年前
-
体育座り 9年前
-
惨劇の巨人 9年前
-
神宮にきた 10年前
外に蹴り出してくれる!……ズリズリズリ…