姫先生のおめめ

25年間の養護教諭の経験と脳科学、波動理論から引き出すレジリエンス向上について書いています。

養護教諭のおかれている現状

2007年12月08日 | Weblog

   ※この記事は、2007年12月8日の記事です。


 今日は、養護教諭部会で、今、養護教諭がおかれている現状についての勉強会と意見交換をしました。


 養護教諭のおかれている現状については、社会的にほとんど知られていません。

 文部科学省も、保健室での養護教諭の現状について、把握ていないというのが本当のところでしょう。

 学校保健委員会の感想UPは、ちょっと小休止して、今回はこの話題について語ろうと思います。



 養護教諭とは保健室の先生。 (よく養護学校の先生と間違われます。)

 養護教諭は、看護師ではなく、カウンセラーでもなく、教諭です。


 私は、養護教諭とは、「保健室」という場において、「生き方」そのものを一緒に考え、子どもたちの可能性を引き出す職であるととらえています。

 現在、養護教諭の多くは、「ひとり」です。
 現在の基準では、小学校800人以上、中学校850人以上の児童生徒数にならないと、複数配置(養護教諭二人制)になりません。
 
 転出などがあって、800人いた生徒が799人になった時点で、複数配置はきられてしまいます。
 40人学級が39人になったとは、意味が違います。

 なのに、きられるのです。

 養護教諭の執務は、この10年間で仕事量、仕事の範囲、その深さが格段に大きく、また個別に対応すべ内容も増えています。
 
 一人職の限界が、どうしても理解されない。
 多くの人がもっている「保健室の先生」のイメージと現実のギャップがあまりにも大きい。
 
 一日のうちに、何度も「体はひとつしかないのに、同時にふたつのこと、どうやってこなそうか」という場面にぶちあたります。

 そのことは、養護教諭が「大変だから」ではなく、「子どもたち」に教育という点で、本当にこまるのです。深刻な場面では、「生命」にかかわることすらあります。

 修学旅行、自然教室がある時、養護教諭はその引率に行きます。では、養護教諭不在の際に、残された子どもたちの健康管理は?けが人の処置は?保健室登校がいる場合のその子どもたちの対応は?

 また、けが人が出て、医療機関に移送しなければならないとき、養護教諭が基本的には、連れて行くのですが、そのときに、体調不良で保健室で休養している生徒がいる。その子を一人にしていくわけにいかないので、だれかにお願いしなきゃならないのです。でも、職員室にだれもいないときがあるんです。小規模の学校では特に、職員数が足らないので、出張する人が多かったりすると、現実、学校が回ていかない。

 本校のように、保健室と職員室の場所が離れているところだと、特に大変です。

 健康診断をしていても、授業にいっていても、体調不良者やけが人は、やってきます。本当に、安心して保健室をあけることができないこの現状。

 あぁ、養護教諭が二人いたら・・・!と、一日のうちに何度思うことか。

 そんな時、「子どもたちの生命にかかわることがないがしろにされている」現状を感じます。これは、教育をかんがえている国や自治体に何とかしていただくしかないのです。自治体によっては、町費や市費で、非常勤の養護教諭によって複数にしているところもあります。それは、いかに保健室という場が、学校にとって大切な場であるか 養護教諭がいかに大切なポストにあるかを理解されている自治体であると思います。

 なぜ、養護教諭の複数配置は、これほどまでに実現していかないのか?
 
 財政的な理由もありますが、大きなものとして、こうしたことをかんがえていただく(制度として) かたがたが、養護教諭の執務について、昔の「赤チン先生」程度のイメージしかないということが大きいと思います。

 実際に、いろいろな交渉をされてる立場の方にお話を聴くとそういう答えが返ってくるとおっしゃっていました。

 私の大好きだった養護教諭の先輩は、たくさんの仕事を抱え、後輩の養護教諭の相談役もされ、さらにたくさんの勉強もし、養護教諭という仕事に誇りを持っていらっしゃいました。

 その先輩は、4月に倒れ、わずか2週間でなくなられました。

 私の前任の養護教諭は、新任で6年がんばって、退職しました。たくさんのつらい思いをしました。

 全国の養護教諭よ! 声を出して、立ち上がれ。

 私たちの「子どもたちへの思い」が、制度として、確立されるために、
 
 もっともっと、声を上げよ。

 どんな小さな学校にも、養護教諭を複数にせよと。
 
 そのことで、どれだけの子どもたちが、救われるかを。


 どれだけの子どもたちが、「生きるための学び」ができるかを!


 

(追記)

 

(以下 平成28年10月6日 加筆)

養護教諭の先生自身のアプローチ力だけでなく、複数配置問題、人間関係、コミュニケーション力、保健室経営力をアップするのが

ハートマッスルレジリエンスメソッド その中心にあるのが 保健室コーチングです.

保健室コーチングを受講され、仕事のへの自信、複数配置の悩みの克服・軽減をされた方々の生の声はこちら

     ↓

http://heart-muscle.com/omeme/yougokyouyu-nayamikaiketu/  (複数配置の悩みが解消、軽減した方の声)

http://heart-muscle.com/omeme/20161006yougohennkajisin/  (養護教諭としての自信、仕事への自信へとつながった方の声)

http://heart-muscle.com/omeme/20161010henkaningennkankei/  (苦手な人との関係の変化)

http://heart-muscle.com/omeme/20161018hennka/  (保健室での関わり方の変化)

 

(以下 平成26年 4月22日 加筆)

 現在、桑原は、養護教諭を退職し、株式会社ハートマッスルトレーニングジムを設立し、養護教諭さんたちのエンパワーメントにかかわる仕事をしています。

 株式会社ハートマッスルトレーニングジムHP    http://heart-muscle.com/

 全国保健室コーチング連絡協議会HP          http://hoken-coa-joint.net/  

 生きるチカラ.com  HP                                  http://www.hm-ikiru.com/
 



 

 

  


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
賛成 (ふんふん丸)
2007-12-08 13:37:02
 姫先生。

仰るとおりです。私の勤務校でも現状は同じようなものです。
 きっと何か起こってから(それも大きな)しか行政は動かないし、学校の管理職も差し迫った問題とは考えていないような感は否めないですね。
 心の問題(職員・生徒両方)は本来最優先で取り組まねばならない問題にも関わらず、実際は、保護者が強く出てくるか、問題が表面化するまでは取り上げてくれません。
 それを扱う立場でないとイメージできないような乏しい想像力で理解し、共感することが必修の職業が全うできるのかと思ってしまいます。
 私も頑張ります。
 先生、頑張って下さい。
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小規模校の苦悩 (まゆのママ)
2007-12-09 10:31:23
姫先生へ。
よく「授業に出るとき保健室はどうしていますか?」
という質問を受けます。
私の勤務校は160名の単学級。担任数+少人数教諭+専科教諭しかいません。専科授業にもほぼ担任がT.Tでつかないと成り立たないような遅れのある子や障害のある子が各クラスにいます。よって空き時間はなし。職員室はいつも空です。
なので私も教科の補欠に入ります。教室を無人にできないからです。
4年国語をやって、2年生活科を2時間やって給食にそのまま入り下校指導までナンテ日も最近ありました。
保健学習3年から6年まで全単元も持っています。
保健室を空けられない・・・贅沢な悩みにも聞こえます。保健室は二の次で教室へ行かざるを得ないのが現状です。
教頭先生は2クラス掛け持ちで補欠をこなします。
半日電話に出る人が誰もいなくて学校に通じなかったと言われた日もあります。

テストの点数がどうの、諸外国と比較してどうの、という前に、教育にもっとお金をかけて人を配置してほしいです。
少人数の上に複数の担任がみているフィンランドと比較したって仕方ないです。
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コメントありがとう (姫先生)
2007-12-24 23:48:42
ふんふんまるさん、まゆのママさん。コメントをいただきありがとうございます。

ほんとうにいろいろな現状があります。
まゆのママさんのおっしゃるように、私も新任のとき、全校80名の学校に勤務しました。養護教諭以外の仕事をたくさんしました。
給食のこと、アルバム係。学級の補欠。

小規模校こそ、大変です。
本校も、事件が複数同時に起きて対応する人がいないということが何度かあります。(本校も280名です)

ふんふん丸さんも、子供たちの心に寄り添う中で、たくさんの疑問を持っていらっしゃいますよね。

本当に大切なことは、何かということが、お上と現場に地図のギャップがあるのですね。
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