
3年生の理科で,「生殖」についての授業がありました。その授業のレポートを見せていただきました。
科学としての「生殖」を人間としてのあり方,性の考え方にまで発展させたすばらしいレポートの数々でした。
3年生ともなると,ここまで考えられるのか!と,ただただ感激。生徒もすばらしいのですが,ともすると「受験」とか「成績」という観点でおこなわれがちな教科の授業で
「生き方」そのものにつなげて考えさせるとは・・・。さすがは前沼先生。
生徒のレポートのエッセンスを少しだけ紹介します。
レポート1
「有性生殖を有する交尾において,もしも苦痛が伴うとすれば,交尾を行う生物が減り,結果的に種が絶滅してしまう。しかし,ヒトにおいては快楽があだとなり,遊びとして交尾(性交)を行うものが出てきて良くないサイクル(負のサイクル)が生まれるのである。これが,ヒトの交尾(性交)の快楽の決定的な欠点である。これからのヒトは,自制心を持つことが大切であえい,そのために必要な知識が必要なのである。」
レポート2
「子どもが欲しくてもできないヒトがいる。好きでもない人との間に子どもができてしまう人もいる。まだ若いのに妊娠してしてしまう人もいる。ヒトは動物ではないのだから,したいときにする・・ではすまされないと思う。快楽が伴う理由はあるが,それを求めて後先考えないのはいけないと思う。それにしても,子どもとはすごい過程があってできるのだ!すごい!と思った。」
レポート3
「快楽のためだけに交尾(性交)をするのは絶対に許せない。女性はもっと自分のからだを大切にするべきだし,男性はもっと相手のことを考えるべきである。一瞬の快楽のために傷つくヒトが少なからずいるのはおかしい。
レポート4
「ヒトが交尾にともない快楽を感じるのは,自分と違った異性に興味をもち,それを知ることができる喜びとその好きな人の子どもができるという喜びから来るのだと思います。人は,有性生殖であるため,交尾をすると子どもができるので,興味本位にやってはいけないと思いました。無性生殖の生物は,思いやりもなしに生きていくことができます。だけど,有性生殖は,それぞれ自分と異なった性を持つヒトをおもいやって生きていく生き物です。だからこそ,責任をもつことが大切だと思います。私は,興味本位に交尾をしない大人になります。」
レポート5
「快楽があるから,性的な虐待が後を絶たないのだと思います。売春(買春)は法律で禁止されているのに防ぎきれていないと思います。それは快楽を求めて後を考えず,今だけを生きようとしているヒトのことだと思います。快楽の意義については,ぼくはあまり考えたことがありませんが,とても重要な意味が秘められていると思います。犬や猫のように交尾をしたら別々になってしまうようになってしまったら,子どもに関心がなくなってしまって,ヒトは高度な知識を持っていながら犬や猫と同じレベルになってしまいます。すべての苦痛が母親にいってしまうのはいけないと思います。子どもを思う気持ちがあって幸せな家庭が生まれるのだと思います。
レポート6
「僕には,どうして交尾に快楽が伴うのかは分かりません。快楽はヒトをおかしくする面もあります。アダルトビデオやアダルト本は,交尾にともなう快楽を利用したものだと思います。僕の考える交尾は,次に世代に子孫を残すためのものだと尾思っています。そのために起こる快楽は仕方ないと思います。しかし,この快楽を利用するのはひきょうだと思います。最近は,少年少女でも遊び半分で交尾(性交)をしています。その人たちは交尾を理解しているのかが問題です。理解もしないでやっているのは,だめだと思います。」
・・・・すごい!!大学生みたいだ。いや何も考えない大学生よりよっぽどすごい・・・!
こんな考えがもっともっと根を張ればいいなぁと思います。
私も,20年近くも性教育をしてきて,こんな方法があったのかとびっくりしています。
本校の健康教育は「全教科 全領域をとおして」実践するという方針なのですが,まさに,それを足元から実践されているのだと思います。
研究というとついつい花火をあげたようなものがおおいのですが,こうした地道な取り組みの積み重ねこそが,生徒を育てる打と考えています。