姫先生のおめめ

25年間の養護教諭の経験と脳科学、波動理論から引き出すレジリエンス向上について書いています。

【実践事例】行事前の不安から体調不良を訴える児童へのアプローチ

2022年12月13日 | 保健室コーチング

(一社)ハートマッスルトレーニングジム代表
主体的人生を構築する人材育成トレーナー
桑原朱美です。


今日のテーマは
「【実践事例】行事前の不安から体調不良を訴える児童へのアプローチ」です。

 

2学期は、行事への不安から体調不良を起こす子どもたちの
保健室にやってくる子どもたちが増えますね。

先月、弊社コース修了生のZ先生からいただいた実践事例では、
運動会前に体調不良を起こし来室した子どもへのかかわりについて
書かれていました。

養護教諭が、不安な子どもの心を少しずつほぐていくうちに
本音をぽろり。そこからの丁寧なアプローチで
最後は「自分で決めるで行動できた」という事例です。

この事例のすごいところの1つは
子どもの心の動きに丁寧に伴走していること!

「丁寧」というのは、感情にべったり・・ということではなく
感情を受け止めながら
その子のその時、その時の内面の状態を深く観察し
必要なアプロー千を的確に判断し
じっくりとかかわっていらっしゃるということ

子どもとのアプローチでは、つい教材やツールを使うことが目的になりがちですが
Z先生は、その時その時に必要なことを、プロの視点で判断されています。

以下、いただいた実践の詳細です。

運動会前になると、競技に自信がない児童たちが
体調不良を訴えて保健室にきます。

こうした来室者に「き・せ・かお」「ぼやきすごろく」
「スモールステップコーチング」を実践しました。

【主訴】

気持ち悪い、食べたくない、食べると唾が込み上げてきてしまう。
病院で薬は処方されてますが、効かない時もあるそうです。
運動会や修学旅行のことが心配で、食べられなくなり、体重が7キロ減った。


【ぼやきすごろく】

心配なことが言語化できるのでは?と、ぼやきすごろくにさそう。
すると、5、6年合同の出し物、フラッグがネックだったことを話し出した。

すごろくを進めると、一つずつ、自分で決めることができたが、
最後はゴールに上がることができず
何度サイコロを振っても、同じところで止まり、同じ質問に答えていた。


【き・せ・かお】

そこで、競技をやりとげた時の顔と、競技をやれなかった時の顔を、
「き・せ・かお」でしてもらうことにした。
どちらがいいか選んでもらうと、本人は、「自分が満足して終わること」を選んだ。


【スモールステップコーチング】

運動会が終わったあと、この表情になるために
スモールステップコーチングで考えてもらった。

「ゴールを10点満点とすると、今、どのくらいまでできているか」
を質問した。
点数を話してくれた後、子どもは、ゴールまでになにをするかを考え始めた。

ワークを進めるうちに
「振付は覚えた、でも、不安で欠席しているから、当日の移動場所 がわからない」
ということに自分で気づいた。

そこで、
「どうすればこのピンチをチャンスに変えることができるかな」
と質問した。

再び、自分で考え始めた。

この児童が出した答えは、
「移動場所は、隣の子を見る」ということだった。

その結論に辿り着いた時、とても良い表情になった。
その後、給食を少し食べることができた。

しかし、運動会前日、演技のためのフラッグに穴が開いていて、
いい音が出ないことが不安になり、給食が食べられなくなり、再度保健室へ来る。


【再度 スモールステップコーチング】

もう一度、スモールステップコーチングを行った。
そして、「昨日からどのくらいできていて、何ができていないか」
を話し合った。

そこへ、担任がこの児童の給食をもって来室した。

担任に「フラッグに穴が開いているのが、気になるらしいよ」と話すと
「みんな開いてる、大丈夫」と言ってくださった。

担任の一言で
「ステップが10点に到達した!」といい、
少し給食を食べることができた。

最後は、自分で決めた時間まで保健室にいて
パンダばぁばさんが紹介してくれた『かばくんの絵本』と
長新太さんの名作ナンセンス絵本『キャベツくん』を読み、
教室へ戻ることができた。
この子へのかかわりを通して、

「ぼやきすごろく」は自分の気持ちに気づき、行動を自分で決める手伝いができる教材だと実感した。

「き・せ・かお」では、自分が演技をしっかりやり終え、
満足している自分を想像させたのは、すごくよかったなと思う。


これからも活用していこうと思う
 

 

Z先生。ありがとうございます。

「寄り添う」とか「細やかな対応」という言葉は、
相談活動の中で、よく言われます。

抽象的で何となくわかったような、わからないような言葉です。

話を聴くだけ、感情を小さくしようとする
アプローチを否定はしませんが、

相談活動とはこういうものという自分の中の前提が強すぎると
時折、相談者の問題の本質からそれた対応となります。


前提は、時代とともに変わるもの。
大切なのは、本質を見失わないことだと考えます。
 

それでは、今日も
素敵な1日を!

 

 

p.s.
10月は2つの地区で校内の教員研修や学校保健会や地区養護教諭部会で、
オンラインでの講演(研修)をさせていただきました。

皆さんの感想からプロ意識、自分自身にも、子どもにも
真摯に向かいたいというお気持ちがあふれていて、感動しました。

 

 

 

 

 

 



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