まだ夫は、私の心を100パーセント占領しています。
五反田、新宿御苑前、大久保、代々木上原…。
病院や代替治療院のあった場所です。
本当にいろいろ通いました。
温熱療法は最後のころは少し辛そうでしたが、とにかく、良いと言われるものは出来るだけやりました。
帰りに寄ったレストランやカフェ。
「なんだか病院に来ているんじゃないみたい…」と、楽しそうな夫の顔。
夫は、最後までしっかりいのちの火を燃やしつくしてくれました。
これは、私を思う愛そのものだったと思います。
夫に、もし思い残すことがあったとすれば、私と同様、もう2人が会えなくなること。そして、見かけより脆い私を心配するが故だと思います。
緊急搬送されて入院した時のこと。はじめての長期入院で、ストレスを溜め、はやく帰りたい…と言ったこと。
入院から自宅に帰って、車椅子で散歩した時の2人の穏やかな会話。
最期を看取っていただいた豊島病院での2人。「帰りたい?」と聞いたら「別に…」と答えました。私がずっと一緒だったから安堵感があったのでしょう。
そして仕事や大学の合間にお見舞いに来てくれた親しい身内との会話。
まるで昨日のことのように思い出されます。
百か日が、過ぎたというのにどうしたことでしょう。
私が本当に癒えるまでもう少し聞いていただけますか?
悲嘆には正常なものと病的なものがあるそうです。
死別に伴う感情を感じないか、あるいは感じても表現しようとしない場合は、病的な悲嘆だそうです。病的な悲嘆は死別から大分後に、時期ハズレの反応としてあらわれるとか…。
ということは、私はまだ正常なのだと思います。
ですからもう少し見守ってください。
エリザベス•キューブラー•ロスは、悲嘆の段階を5つに分けました。
否認、怒り、取引、抑うつ、受容。
精神科医のある先生は、パニック、苦悶、抑うつ、無気力、現実直視、見直し、自立の7段階に分けました。
またある先生は、精神的打撃、否認、パニック、怒りと不安、恨み、罪意識、幻想、抑うつ、精神的混乱、あきらめ、新しい希望、立ち直りの12段階に分けました。
日にち薬は、まだ私には効きません。体験者の本を読むと、「時が解決してくれる」と言ってくれる人に反発すら感じていた…とありました。
でも死別から4年、5年経ってみると、たしかに時が心に変化をもたらしてくれたそうです。
ただ「解決」までとはいかないようです。
でも「時」だけを漫然と待っているだけでは何も起こりません。ですから私は今、闘っています。
立ち直る私を俯瞰していてください。
もし皆さんの中のどなたかが、今後、死別の体験をなさったとき、少しでもお役に立てればと思い発信し続けます。