夜中にパソコンに向かう私に、「まだやるの?どうしてもやらなくてはならないの?」と心配そうに「じゃぁ、先に寝るね」と言ったものの、朝方布団に入り、なかなか寝付けない私の背中をさすってくれましたね。
意気込みはわかるけど5分で、その手は止まっていました。(笑)
でも優しい人だなぁ!と幸せに包まれました。
ある時、夜中にふと目が覚めました。
そうしたら夫が私の寝顔をジッと見ていたではありませんか。
「どうしたの?眠れないの?」
と聞いたら
「いやそんなことない」と言って目を閉じました。
ある時は、夜中に夫が私の手をしっかり握っていたではありませんか。
すべては今思えば…の話になりますが、今年に入ってから夫は何かを感じていました。
鹿児島で、ある方に聞かれました。
「ご主人と出会った頃に戻りたいですか?」と。
即答で「戻りたくないわ」
と答えました。
何故なら、私たちは出会ってから結婚後も、私の父に苦しめられましたから…。
もちろん楽しいこともありましたが、苦難も多かったです。
私はノイローゼになったのです。そんな私を庇いつつ自分の辛さも耐えていた夫は、きっとあの頃からガンになっていたのかもしれません。
因みに私はノイローゼ解消のためにヨーガをはじめたのです。
初めてお会いした田原豊道先生は慈父のようでした。
やっと心安らげる時がきたと思ったらガン発症。神さまは、発症しても2年間2人を楽しませてくれました。そして半年前にまたまた試練を与えてくださいました。
まさに飴と鞭。
これをまた繰り返すのはしんどい。だから出会ったころに戻りたいとは思いません。
過去に戻るのではなく、先を見ていたい。つまり今よりもっと良い生まれ変わり。
病室で「ごめんね」と言う私に戸惑いを見せ「何で君が謝るんだよ」と言った彼。
美化するつもりはありません。
私は夫からたくさんの愛を受け取りました。彼は救世主だったのです。
どこまでもデキタ人でした。
彼は、現世での修行が終わり安息の場所に戻りました。
でも私はまだまだ修行が残っているのですね。
エリザベス・キューブラー•ロスという精神科の女医さんがいました。死にゆく患者と正面から向き合った偉大な医師です。
彼女は、脳卒中で倒れ、長い晩年を送りました。死の専門家が長い晩年に苦しめられたのです。
死にたくても死ねない苦しさ。
「神に、あなたはヒトラーと言ったら、神はただ笑っていたわ。それでますます頭にきたのよ。
40年も神に仕えてきて半身付随。
しかし、私はまだ生きている…不幸にも。私にできるのは早く死ねるように祈るだけ」
その発言でマスコミから大ひんしゅくをかったキューブラー・ロス。
しかし、彼女はこれが自分に課せられた学ぶべき最後のレッスンであると気づきます。
世話をされる自分を受け入れること。キューブラー•ロスは、人生には2つ大事なことがある…と言いました。
与える愛と受け入れる愛。
キューブラー•ロスは、愛を受け取ること、自分を愛することが苦手だったそうです。
だからそれを学ぶのが最後のレッスン。
さて、私が今一番学ぶべきは何なんでしょう。
模索中です。
ところで病室で、私は夫に「こんないい人見たことない!」と言ったら、夫が
「♬とか、何とかおっしゃって♬」と歌っていました。
そんな歌があったんですね。
私、昨日はじめて一人で映画を観ました。
下重暁子さんによると、一人で映画も観れない、食事もできない、旅にも行けない人は極上の孤独からほど遠い人だそうです。