今朝、読売テレビ「あさパラ!」を観ていて、目を疑った。
「過半数超え」。
「過半数超え」。
言わずもがな重複表現であり、完全な誤用である。
テロップばかりか、MCのハイヒールリンゴが「過半数を超えて」と連呼している。
まともな放送局ならスタッフが「それは間違った日本語です」と訂正を入れるはずだが、誰も気付かないのか。
この番組は、日本語の間違いに気付かないスタッフだけで運営されているのか。
それとも、吉本興業が怖くてリンゴにダメ出し出来なかったのか。
同じような例はいくつもある。
昨日の朝ドラ「エール」では、仲里依紗のセリフで「水を得た魚」を「さかな」と呼んでいた。
明らかに「うお」であり、天下のNHK、しかもあれだけ多くのスタッフを抱える朝ドラですらも誰も気付かないのか。
民放はさらにひどく、料理系番組でもしばしば
「お召し上がり下さい」
などと言っている。
召し上がるという最上級敬語に「お」を付けて、恥ずかしくないのか。
TBS「サンデーモーニング」の水野真裕美アナは、梅雨の晴れ間を「ばいうのはれま」と読んでいた。
入社試験からやり直した方がよい(笑)…
幹事 衆院選の序盤情勢を報じた12日朝刊各紙の1面を読んで、気になる文章表現があった。「過半数」という言葉の使い方だ。「自民党単独で衆院過半数(233議席)を大きく上回る可能性がある」(毎日)、「自民党は単独過半数(233議席)を大きく上回りそう」(朝日)、「(自民党は)単独で過半数(233)を大きく上回る勢いだ」(読売)、「首相は『与党で過半数の233議席』を勝敗ラインに掲げた」(日経)、「過半数(233議席)を超える235人を擁立した小池百合子代表(東京都知事)率いる希望の党」(産経)。過半数とは半数を超える数のこと(50%超~100%)であり、「過半数を上回る」「過半数を超える」といった表現は重複表現でおかしいのではないかと思った。毎日新聞用語集を見ると、「誤りやすい表現・慣用語句」の項に「過半数を超える」が載っており、「半数を超える」「過半数に達する」に言い換えるよう求めていた。この基準に照らすと、少なくとも毎日、朝日、読売、産経の表現は間違いになる。
ただ、本紙の過去記事を社内データベースで検索しても「過半数を上回る」「過半数を超える」という表現はしばしば登場していた。過半数を幅のある数字ではなく「過半数のうち最小の数字」と解釈して使っているケースが多いようだ。今回、多くの他紙も使ったということは、この解釈がそれなりに広がっているとも言えそうだ。原則に立ち返るべきか、少し逸脱した表現も認めていいのか。衆院選の投開票に向けて「過半数」を使う場面は多くなるだけに、確認しておいた方がいい。
司会 政治部。
政治部長 本紙も含めて「過半数」という言葉は、過半数ラインという意味で使っている。過半数を幅のある数字として使っているわけではなく、その最小のラインという意味だ。毎日新聞用語集にある「半数を超える」とか「過半数に達する」と言い替えるのは不可能に近い。一方で、過半数を上回るというのが日本語的に誤用であるというのも事実だ。どう統一したらいいのか、校閲の判断を仰ぎたい。
司会 校閲。
情報編成総センター編集部長(校閲担当) この記事は共同通信の原稿のままだと思うが、用語上は誤りだ。指摘のように、毎日新聞用語集には「誤りやすい表現・慣用語句」のページで「過半数を超える→半数を超える、過半数に達する」になっていて、「上回る」も「超える」と同じ意味で不適切だ。233議席以上の数字は全て過半数なので、「過」を「上回る」ことはできないという理屈だ。ではなぜこのような表現が紙面に出てくるかというと、選挙の場合は「過半数」というのは必須のキーワードであり「半数を大きく上回る」とはできない。ではどうすればいいかというルールが確立されていない。校閲の立場からは「直しにくい」ということだ。ただし、たとえばこのようにすればという代案を三つ考えてみた。
代案その1。自民党単独で衆院過半数の233議席を大きく上回る可能性がある。これは最小限の直しで、()を外すことによって「過半数=233」という誤解を少なくするとともに、過半数のうちの最低数である233を上回ることを明示できる。
代案その2。自民党単独で衆院過半数ライン(233議席)を大きく上回る可能性がある。「ライン」を入れることで、233が過半数の最低数ということがより明確になる。
代案その3。これはかなり手を入れる直しになるが。自民党単独で衆院過半数となる233議席に達し、300議席に迫る可能性がある。いったん「達し」と文章を切ることで用語上の問題を解消し、別の情報を盛り込むことで「上回る」意味を持たせる。現実問題として、共同原稿にここまで手を入れるのは難しいが、自社原稿ならある程度できるのではないか。何らかの合意に達することができるなら、投開票まで時間もないので、社内連絡すべきではないかと思うが、どうだろうか。
司会 代案11元の過半数(233議席)と同じことではないか。
編集部長(校閲担当) 「の」を「イコール」ととればそうなるが、「の」は日本語としていろいろな解釈ができる。()だとまるで「イコール」になるが。
司会 政治部長はどうか。
政治部長 直した方が良ければ直すが、その場合でも代案3は無理だ。代案1と2を両方使えるようにしてもらえればありがたい。さらに、代案2の()を取ったものも使えるようにしてもらえればいい。233議席と入れない場合もある。代案1、2と2の()を外した3案を使用できるようにしてもらえればやりやすい。
幹事 ラインを入れれば正しいのでは。
政治部長 そうだ。ただ、ラインを入れずに今使っているが、意味としてはラインを入れている。日本語の乱れということではあるが、意味が全く伝わらないということではない。それを我が社としてどうするか。
司会 ここで決める話でもなさそうだ。なるべく「ライン」を入れようぐらいの感じでどうだろうか。見出しにラインは入れられない。
情報編成総センター編集部長 了解した。見出しには無理だ。
幹事 会議終了後に対応してもらうということで。
司会 とりあえずは「ライン」をいれようということで。