
既に多くの人が指摘しているし、私も以前から話題にしていた事ではあるが、東京2020をめぐる政治とマスコミのダブルスタンダード化がとにかくひどい。
おしなべてどのワイドショーも
「このcovid-19の中で五輪開催は、いかがなものか?」
という論調だったのに、いざ開幕し日本勢のメダルラッシュになればお約束の手のひら返し。
特に親会社である朝日新聞が社説で五輪中止を呼びかけていたテレビ朝日は、この土日の朝から晩まで中継づくし。
世間では最も左翼的と評されるTBS「サンデーモーニング」も、かなり前から五輪開催に懐疑的だったにもかかわらず、張本のスポーツコーナーでは大々的に取り上げる。
もう、一体何なのか?と言いたい。
もっとひどいのは政府で、誘致当初は「東日本大震災からの復興五輪」を掲げ、当時の安倍首相は
「(福島第一原発の)汚染水は、完全にブロックされている」
とのたもうて東京開催を勝ち取ったはいいのだが、その後はご存知の通り
「人類がcovid-19に打ち勝った証として」
になり、菅首相はcovid-19収束の見通しが立たないとなれば
「安心・安全の五輪」
と、見事にすり替えた。
どう言葉を取り繕っても、五輪を政治利用しただけなのである。
なぜ政治もマスコミも、ダブスタ化するのか。
以前にも申し上げたが、選手が主語になっていないからに尽きる。
言わずもがな、この日のために厳しい練習に耐え、己の限界に挑んできたアスリートがいる。
そしてそれを最大限に引き出すため、血の出る思いで努力してきた関係者がいる。
なぜ、その人達を主語にして語れないのか。
政府は、このcovid-19の中で五輪を中止しないのか?というマスコミの執拗な攻撃に耐えてきた。
なぜそこで菅首相は
「選手を思えば、絶対にやらせてあげたい。そのために死力を尽くす。あなた片側マスコミは、五輪開催に反対なんですね?という事は、開幕したら無視するんですね?」
と言わなかったのか。
TVや新聞も、どうせ開催されればクライアントの手前報道せずにはいられないのだから、報道するつもりなら開催反対ではなく
「こんな政府のcovid-19対策では、選手が可哀想だ。直ちに改善を求める」
という論調、すなわちあくまで開催を前提としていて、開催のあかつきには報道出来るスタンスにしておかないと、辻褄が合わない。
結局今回の東京2020を通して見えたものは、政府は五輪を政治利用したかっただけ。
そしてマスコミは、単なるコンテンツと収入源としてしか五輪を見ていなかっただけ。
そこにあるのは、「選手不在」という哀しく残念な事実だけなのである…