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あまり酷評すると、熱心なファンの方から
「そんなに言うなら、観なきゃいい」
と言われるのは百も承知である。何だかんだ言って、面白いと思いながらついつい毎朝付き合っているのである(苦笑)。
私の中で「歴代最悪ダメダメな朝ドラ」と言えば、「純と愛」で揺ぎ無かった。アレはとにかくオーサキプラザホテルは外資に買われ、「里や」は火事になり、「ホテルサザンアイランド」は台風にやられ、父は溺死、母はアルツハイマー、夫の愛(いとし)は再起不能ととにかく半年付き合わされて全く救われなかった。それだけに、次の「あまちゃん」が面白くて仕方なかった。
ところが、その「純と愛」を上回る勢いで「まれ」の展開がひどくなっているのだ。
「まれ」のひどさは、とにかく取っちらけ過ぎでご都合主義なストーリーに尽きる。堅実な人生を歩むと言っていた主人公・希(まれ)が輪島市役所に就職したかと思いきやいきなり登場した祖母・ロベール幸枝(草笛光子)に触発され突如「パティシエになる」と言い出して輪島の家を出て、何のツテもないのに横浜に単身で向かう。
普通なら、そこで何の身寄りもない横浜になど行かず、そのまま祖母に師事するはずである。
当初修行したかったケーキ屋にはたどり着けなかったが、偶然入った中華料理店「天中殺」でデザートに出されたケーキに心を奪われ、それが「マシェリ・シュシュ」のものだと分かりそのシェフの大悟(小日向文世)に頼み込んで修行させてもらう。
それだけならいいのだが、その「天中殺」は大悟の妻・輪子(りょう)の店であり住み込みでまかないまで付いている。普通、何の身寄りもないまま単身で大都市に出て来たらまず家と食事の心配をせねばならないのだが、何というご都合主義か。
当然、希は大悟にシゴかれるわけだが希は輪島時代に幸枝から菓子作りの入り口を習っている。そしてまたご都合主義的に、後になって幸枝と大悟はフランス時代の師弟関係だった事になるのだが、となれば同じ師匠から習った希の菓子作りに大悟がダメ出ししまくるのは、ちゃんちゃらおかしい。
ご都合主義の破綻である。
希は故郷・輪島に残した圭太と結婚を約束するが、圭太は輪島塗の修行中のため
「年季明けになるまで、あと2年半結婚を待ってほしい」
と言う。普通ならそこに一子のより戻し攻撃などがあってしかるべきなのだが、なんとドラマでは次の瞬間
「…そして2年半後!」
とワープ。希も修行中だったのに、スーシェフになってしまう。こんないい加減な展開は、他に考えられない。
さらに、おかしさは先週からエスカレートする。
大悟にフランス武者修行を命じられた希だが、なんと圭太がテンパッているのを知り渡仏を諦め圭太の元へ帰る事に。
頼み込んで修行させてもらいながら、いざ渡仏の機会を与えられたら辞めて旦那の元へ行きますとは、どういう神経か。
大悟は希のはなむけにナイフを贈るのだが、本心はあのナイフで希を刺したかったのではなかろうか?
さらに今週。
今まで全く出て来なかった、圭太の母・直美(藤吉久美子)が突如表れ、希をイビリまくるのだ。
おそらく「ごちそうさん」の和枝姐さんのように
「嫁イビリのない、朝ドラなんて」
という声に呼応したかのような、これ以上ない取って付けた登場の仕方である。
「希さん、今まで別居婚なんかしてて、どう思ってたん?これからは、塗師の嫁としてキッチリ仕込むで!」
と凄んでいるが、今までアナタは何をしていたのか。存在するならするで、圭太がちゃんと挨拶の機会を設けるべきではなかったのか。
しかも紺谷弥太郎を圭太が襲名すると反発が大きかったので、「漆にかぶれる」という理由で今まで輪島塗には一切首を突っ込まなかった圭太の父・博之(板尾創路)が弥太郎を襲名すると言い出した。市役所部長である博之は、市長の座を狙って腰掛け的に名を継ごうとしているのだが、職人として全くスキルのない博之に名が継げるのか?そんな出世欲ミエミエの世襲を、職人衆が許すのか?
本当に名を継ぐのであれば、圭太のさらに下として弟子入りし、雑巾がけから始めるべきではないのか?
…とにかく、先週から今週にかけて支離滅裂ぶりが加速している「まれ」なのだが、毎朝楽しんで観ているのである(苦笑)…