プロ野球日本シリーズは、オリックスバファローズがヤクルトを破って日本一の座に輝いた。阪急ブレーブスの時代から通算5回目で26年ぶり、そして2004年に近鉄と合併したためバファローズの名が日本一になるのは初めてである。
選手やファン、関係者の皆さんには心からおめでとうございますと申し上げたい。
私も長らく「近鉄難民」だったが、去年のヤクルトとオリックスの戦いに心底感動し、ヤクルト・村上やオリックス・山本由伸や吉田正尚の活躍もあって今年は密かに注目していた。その私の心をつかんだ両チームが今年も頂点をかけて戦い、オリックスが雪辱を果たせた事が本当に嬉しく思う。
去年、オリックスの応援席を見た時に現在のオリックスバファローズのユニフォーム、昔の阪急時代のユニフォーム、ブルーウェーブ時代のユニフォーム、近鉄バファローズのユニフォームを着た人達が心をひとつにして応援しているのを見て、思うところがあった。
我々近鉄ファンは球団を失ったが、オリックスもまたブレーブス、ブルーウェーブを失っているのだ。
オリックスは関西代表のパ・リーグ球団として、バファローズの名を背負うというとてつもなく大変な事をやっているのであり、あの混在する応援席の光景を見てやっと私も応援する気になったのである。
面白いもので、応援球団が出来ると当然他球団も見るようになり、昔よく野球を観ていた頃と同じ気持ちになれる。
その日本シリーズ。
前半はヤクルトの2勝1引き分け、流れはどう見てもヤクルト、という中で迎えた第4戦。
ここで負けたらヤクルトが王手、絶対に負けるわけにはいかないオリックスの先発は山岡。
好投していたのだが、たった1本の三塁打で中嶋監督は迷う事なく若い宇田川にマウンドを託した。山岡に勝ち投手の権利が付く直前だったが、短期決戦に勝ち投手の権利は関係ない。
その宇田川、なんとヤクルトの主軸である山田哲人、村上を連続三振に斬って取ったのは皆さんよくご存知の通り。
宇田川投手は育成上がりで年俸わずか270万円ながら、160km近いストレートと150kmのフォークで勝負し、またそのフォークが適度に荒れるため打者としては全く絞れない。
何より宇田川投手の
「絶対に3塁走者は返さない!ほしいのは三振だけ!」
という鬼気迫る投球に、私は往年の「ハマの大魔神」こと佐々木主浩を思い出した。
その宇田川の好投が見事にこのシリーズのターニングポイントとなり、第4戦は1-0で辛勝。
第5戦は吉田正尚の劇的サヨナラ2ラン、第6戦はラオウ杉本の決勝タイムリー、最終・第7戦はやはり杉本の満塁一層タイムリー。
確かに勝利を決めるタイムリーという点を評価すれば杉本がMVPには違いないが、杉本は特に前半に情けない三振も多く喫している。
第2・6戦先発で先発し好投した山﨑福也も素晴らしいが、流れを替えて以降の試合も投げ続けヤクルトを抑え続けた宇田川が、私の中では断然MVPだ。
オリックス球団さん、宇田川投手の来季の年俸をはずんであげて、もっと軽い背番号にしてあげて下さい(笑)…