このところ、名の知れた雑誌の廃刊、休刊が相次いでいますが、広告収入を当てにしている雑誌を筆頭に、出版市場の縮小化の傾向はさらに加速するばかりです。
この流れのなかで、一般読者は気づかないうちに徐々に馴染みの本が手に入りにくくなっていく。
たしかに、書店の数が減ってもネットで購入できるかもしれませんが、販売ルートの減少とともに、製作側の採算も加速的に難しくなっていきます。
ネット情報への依存が増し、書店に頼らない人も確実に増えていくでしょうが、日常的に本を読む人たちをめぐる環境が、気づかぬうちに大きく変わろうとしています。
それで、この本が好きな「普通の」ひとびとの環境とは、どのようなものなのか、
勝間和代さんがわかりやすい数字を引用していたので、それを紹介してみたい。
雑誌の市場:1.3兆円
書籍の市場:9000億円
(これは書籍・雑誌への一人平均の支出額は、月に1,000円に満たない)
この規模は携帯電話の5,000~6,000円に比べて圧倒的に小さいことがわかる。
それでも新書はよく売れていますが、新書のちょっとしたヒット書籍で5~10万部、
大ヒットで本のファンならほぼ題名を知っているというレベルで30~50万部です。
一方、『女性の品格』のように100万部以上売れる本というのは年に数冊、あるかないかです。
これはなぜかというと、どの年代も90%くらいの人が書籍を読む習慣があるとしていますが、実際に購入頻度を尋ねると、月に1回以下の購入頻度しかない割合が50%以上を占め、毎週本を購入するようなヘビーユーザーはわずか10%しかいないためです。
そうすると、成人人口は約1億人ですから、1億人に書籍を読む人が90%、
そのうち、ヘビーユーザーを10%とすると、
1億人 × 90% × 10% = 900万人
という潜在市場が出てきます。
さらに、このなかで漫画、小説以外のジャンルを買う人は10~20%しかいませんので、
大目に見て20%を掛けても、900万人×20%=180万人がおおまかな、本のヘビーユーザーの潜在市場規模になります。
10万部のヒットというのはヘビーユーザーの5%以上の市場シェアを目指すということなので、実はかなりハードルが高いのです。
勝間和代『勝間流「利益の方程式」』東洋経済新報社より
この数字から見えてくるのは、
誰もが好きで買っているように見える本の市場の実態というのは、多くの人が想像しているよりは、かなり狭く小さいものであるということです。
私が何度となく書いていることで、これから10年で出版市場の規模は
ピーク時の半分以下にまでなるというその実態は、
縮小する大半部分は、現状の市場の3分の2以上を占める雑誌、コミック、実用書の分野で加速的に規模が縮小するということだと思います。
それに対して、純粋書籍ともいえるような領域は、ネット情報にも頼りながらも
はじめらか本ならではの高付加価値の情報も必要とするヘビーユーザーの比率が高いので
減少の幅は、他のジャンルに比べたら低いものであると思われます。
わたしたち零細書店は、ここにわずかな商機をみています。
平均的な書店は、売り上げの半分程度を雑誌とコミックに依存しています。
ところが、うちのようなタイプの零細書店の雑誌コミックの構成比は3割程度です。
書籍の構成比が、雑誌・コミックと比べて高くなるのは、
うちのようなタイプの零細書店と200~300坪以上の大型店です。
しかし、厳しいかな大型店ほど、市場規模がこれからピーク時の半分程度まで縮小していく時代には、相当な効率化して採算点を下げる努力をしないと経営を維持することはとても困難な時代になります。
なので、
残るは、うちのような雑誌・コミックよりも書籍の比率の高い零細書店。
もちろん、同じく市場規模の縮小する時代での生き残りですから、経営体力も一定度ないと持ちこたえられないでしょうが、それでも、大型店よりははるかに有利な立場にあるといえます。
この間経験しているころですが、周りの目上の競合店のほうが先に落っこちてくるのです。
そのおこぼれだけでも、零細書店にはかなりの恵みになるのです。
もちろん、それを受け入れる器を用意してあればのことですが。
出版市場そのものは、大幅に縮小していきますが、
全体に比べてこのコアの紙の本の部分は、減ることは間違いないのですが
他のジャンルに比べたら、それほど劇的な縮小はおきないのではないかと思うのです。
でもこのコアの市場のお客さんを相手にするのは、
これまでの取次ぎから送られてくる在庫をおくだけの書店は、退場してもらわなければなりません。
これからの書店はここをターゲットにした採算の取り方を考えるべきだと思うのです。
「そういう特殊な本は、大型店やネット注文にしてください」
ではなく、
「そういう本こそ、うちにおまかせください」
とならなければならないのです。
自分が市場の平均的な消費者だと思っている日常的に本を読む人たちの半分以上は、紙の本に頼らなくても他の媒体の情報で事足りるようになると思います。
しかし他方では、かなりのお客さんが、10年たっても
かといって近くにいい大型店がない、
ネットの注文、決済、宅配はいやだ、と言いながら
紙の本を求めて来るのではないでしょうか。
10年後には、
いまどき本屋なんて絶対に儲からないよといわれる時代になって
ありがたや、ありがたやと
この紙の本のコアのお客さんを相手にビジネスをしていたいものです。
そして20年後には
書籍に限らず、地域のひとたちの求めるあらゆる情報が得られる拠点として
新しい姿で生き残っていたいものです。
もちろん、いづれにしても険しい道のりであることに間違いないのですが・・・・
この流れのなかで、一般読者は気づかないうちに徐々に馴染みの本が手に入りにくくなっていく。
たしかに、書店の数が減ってもネットで購入できるかもしれませんが、販売ルートの減少とともに、製作側の採算も加速的に難しくなっていきます。
ネット情報への依存が増し、書店に頼らない人も確実に増えていくでしょうが、日常的に本を読む人たちをめぐる環境が、気づかぬうちに大きく変わろうとしています。
それで、この本が好きな「普通の」ひとびとの環境とは、どのようなものなのか、
勝間和代さんがわかりやすい数字を引用していたので、それを紹介してみたい。
雑誌の市場:1.3兆円
書籍の市場:9000億円
(これは書籍・雑誌への一人平均の支出額は、月に1,000円に満たない)
この規模は携帯電話の5,000~6,000円に比べて圧倒的に小さいことがわかる。
それでも新書はよく売れていますが、新書のちょっとしたヒット書籍で5~10万部、
大ヒットで本のファンならほぼ題名を知っているというレベルで30~50万部です。
一方、『女性の品格』のように100万部以上売れる本というのは年に数冊、あるかないかです。
これはなぜかというと、どの年代も90%くらいの人が書籍を読む習慣があるとしていますが、実際に購入頻度を尋ねると、月に1回以下の購入頻度しかない割合が50%以上を占め、毎週本を購入するようなヘビーユーザーはわずか10%しかいないためです。
そうすると、成人人口は約1億人ですから、1億人に書籍を読む人が90%、
そのうち、ヘビーユーザーを10%とすると、
1億人 × 90% × 10% = 900万人
という潜在市場が出てきます。
さらに、このなかで漫画、小説以外のジャンルを買う人は10~20%しかいませんので、
大目に見て20%を掛けても、900万人×20%=180万人がおおまかな、本のヘビーユーザーの潜在市場規模になります。
10万部のヒットというのはヘビーユーザーの5%以上の市場シェアを目指すということなので、実はかなりハードルが高いのです。
勝間和代『勝間流「利益の方程式」』東洋経済新報社より
この数字から見えてくるのは、
誰もが好きで買っているように見える本の市場の実態というのは、多くの人が想像しているよりは、かなり狭く小さいものであるということです。
私が何度となく書いていることで、これから10年で出版市場の規模は
ピーク時の半分以下にまでなるというその実態は、
縮小する大半部分は、現状の市場の3分の2以上を占める雑誌、コミック、実用書の分野で加速的に規模が縮小するということだと思います。
それに対して、純粋書籍ともいえるような領域は、ネット情報にも頼りながらも
はじめらか本ならではの高付加価値の情報も必要とするヘビーユーザーの比率が高いので
減少の幅は、他のジャンルに比べたら低いものであると思われます。
わたしたち零細書店は、ここにわずかな商機をみています。
平均的な書店は、売り上げの半分程度を雑誌とコミックに依存しています。
ところが、うちのようなタイプの零細書店の雑誌コミックの構成比は3割程度です。
書籍の構成比が、雑誌・コミックと比べて高くなるのは、
うちのようなタイプの零細書店と200~300坪以上の大型店です。
しかし、厳しいかな大型店ほど、市場規模がこれからピーク時の半分程度まで縮小していく時代には、相当な効率化して採算点を下げる努力をしないと経営を維持することはとても困難な時代になります。
なので、
残るは、うちのような雑誌・コミックよりも書籍の比率の高い零細書店。
もちろん、同じく市場規模の縮小する時代での生き残りですから、経営体力も一定度ないと持ちこたえられないでしょうが、それでも、大型店よりははるかに有利な立場にあるといえます。
この間経験しているころですが、周りの目上の競合店のほうが先に落っこちてくるのです。
そのおこぼれだけでも、零細書店にはかなりの恵みになるのです。
もちろん、それを受け入れる器を用意してあればのことですが。
出版市場そのものは、大幅に縮小していきますが、
全体に比べてこのコアの紙の本の部分は、減ることは間違いないのですが
他のジャンルに比べたら、それほど劇的な縮小はおきないのではないかと思うのです。
でもこのコアの市場のお客さんを相手にするのは、
これまでの取次ぎから送られてくる在庫をおくだけの書店は、退場してもらわなければなりません。
これからの書店はここをターゲットにした採算の取り方を考えるべきだと思うのです。
「そういう特殊な本は、大型店やネット注文にしてください」
ではなく、
「そういう本こそ、うちにおまかせください」
とならなければならないのです。
自分が市場の平均的な消費者だと思っている日常的に本を読む人たちの半分以上は、紙の本に頼らなくても他の媒体の情報で事足りるようになると思います。
しかし他方では、かなりのお客さんが、10年たっても
かといって近くにいい大型店がない、
ネットの注文、決済、宅配はいやだ、と言いながら
紙の本を求めて来るのではないでしょうか。
10年後には、
いまどき本屋なんて絶対に儲からないよといわれる時代になって
ありがたや、ありがたやと
この紙の本のコアのお客さんを相手にビジネスをしていたいものです。
そして20年後には
書籍に限らず、地域のひとたちの求めるあらゆる情報が得られる拠点として
新しい姿で生き残っていたいものです。
もちろん、いづれにしても険しい道のりであることに間違いないのですが・・・・