花の四日市スワマエ商店街

四日市の水谷仏具店です 譚

江戸のお正月

2009年12月29日 | わたくしごと、つまり個人的なこと
江戸の正月は、とても静かです。
初日の出を拝んだあとは、自宅でゆったり。
好きなときにお節(せち)をつまんで、酒を呑み
家でごろごろ寝正月。
何もしないことが極上の初春です。
          
杉浦日向子「お江戸風流さんぽ道」小学館文庫より

大晦日まで大変な賑わいだった江戸のまちも、一転して元旦は静まり返ります。
時折、子供たちがつく「カツーン、カツーン」という羽子板の音と笑い声が遠くに聞こえるだけ。寝転んでお節をつまんでは、ちびちびとお酒を楽しみます。
まず、江戸の人は、朝早く起きて初日の出を拝みます。全身に太陽の日を浴びて、天から降り注ぐ一年分の吉運を受け止めるのです。
後は、家に帰ってごろごろするだけ。お風呂も入りませんし掃除もしません。せっかく受けた吉運を、洗い流したり掃きだしたりしないためです。
初詣は十五日の松の内までに済ませればいいので三が日は寝正月、年に一度のお休みなのです。
江戸の門松は、伸び放題の笹を束ねて長屋の角々に立てられました。歳神様が高くあげられた笹の上に止まるといわれていたのです。
家の二階でうとうとしていると、時折風で揺れる笹が、障子をなでてサラサラという音をたてます。そんな時「あ~ お正月なんだなぁ」としみじみ感じたそうです。
忙しいのは上役への年始挨拶に走りまわるお武家さんだけ。静かなお正月です。
遠くに子供たちの楽しそうな声が聞こえます。
幸せの第一歩それは、まず自分が「しあわせだなぁ」と思うこと なんでしょうねぇ  江戸の人が教えてくれます