訃報のときに駄文を書いておいた。なぜか防衛反応が働いたのだ。
きっとみんなベタほめにするのだろう。誰も悪口を書かないだろう。案の定神格化した記事が目立つ。だから先回りして悪口を書いた。
しかし古くからのマックユーザーはどうだろうか。確かにジョブスは神であったが、よりそう神でもあった。
父がAppleⅡを買ったので、我が家は何となくリンゴ文化であった。10キロベーシックでプログラムを書いていたりしていた。なぜか色を変えると、形がガタガタになる理由が解らなくて苦しんだ記憶がある。
その後なぜかLC475が転がってきたり、マックばかり使って5代目ぐらいだろうか。なのでひどく苦労した記憶ばっかりある。特に文字化けを読めるようになったのは自分でもすごいと思った。
問題なのは、あの肩身の狭さだ。マックを使っているといえば、「あの爆弾出るコンピューターでしょ?」といわれるし、「ああ、あの絶滅危惧種ね」、「時代遅れだね」と平気でいわれる。ウィンが勝手にファイルを保存するのが嫌だ、デスクトップなり自分の好きな所に格納出来るのが整理には便利だというと、「それってバカ?」といわれる。古いマックを修理出来る電気屋があるのだが、その存在をあげつらわれる。
古いマックと新しいマックと2台あるといえば、あきれられる。いや古いソフトも使いたいからといえば、人からは「?」という反応。マックによくありがちな一代限りで開発が終わったソフトがあるからといえば更に「?」。
古いG3にカード差し替えでG4にしているといえば、また「?」。なんで新品にしないのという人はまだ優しい。「やっぱりマックユーザーって変態なんですね」これが一般的。
迫害ですね。
ソフトが無いのもよくバカにされた。個人的にクラリスワークスのあの機能のなさっぷりが好きだったのだが、多機能のオフィス使いからバカにされていた。ディファクトスタンダードでなきゃどうするの?
ゲームは絶望的に少なかった。これはゲーマーから嫌われていた。BIOSを全くいじれないのも嫌われていた。なのでこの辺りのユーザーからは相当いじめられた。特にビル・ゲイツが資金援助した頃には、アホなウインユーザーから思いっきり蔑まれたものだった。
なので逆に業務用にマックはいかが?ゲームはないし、ウイルスを作ってくれる奇特なハッカーもいません。業務用には最適です、と自虐の日々が続いていた。
それでもマックだったのは、マックとは生活になっていたからだ。使う側も使われる側もわがままで、爆弾を投げつけ合って仲良くしていたのだ。出来過ぎ君のウインやリナックスは敷居が高すぎたのだ。
しかしオープン・ドックも失敗し、OSコープランドもいつの間にか消え、ラプソディは何だったのかと思うが、当時その発表の度に、もしかしたらこの自虐の毎日から抜けだせれるんじゃネ、と一喜一憂していたものである。
しかし出来上がったOSはUNIXベースになった。おかげでマックはなんかコンピューターっぽくなってしまった。今使っているのはインテルiMacだが、インテルのせいかわくわく感のないパソコンになっている。でも今のマウスは素敵だと思う。毎日なでて暮らしている。この直感的な操作は、元に戻れないものを感じている。
iMacでジョブスは復活した。ただその後はマックユーザーから距離を置き始めたように思う。それでもたまにiPod nanoのパッケージデザインが、あのマックキューブを思い出させてくれたりする。
その後の快進撃はご存知の通り、経営の神様みたいにもなっている。
旧来のマックユーザーとしては、ジョブスにほろ苦い思い出もある。たまに現れて福音を述べるが、何にもしてくれなかった所がある。それでも離れられなかった私はやっぱりバカ?今回ももっと悪口を書こうと思ったのだが、全くうまく行かない。せいぜいマックユーザーを増やしてくれた事ぐらいしか感謝出来ないのだが。あのウインユーザーを黙らせたのだから。でも恨み言はいっぱいある。
だからあまりスティーブ・ジョブスをたたえないで欲しい。もう本当に帰ってこないのだから、これ以上遠くに送らないで欲しい。
PS.ウォズニアックとの件を追い出したという記事をよく見かける。私の記憶では、ウォズは交通事故で業務に耐えられなくなったからというものだった。多分両方なのだろう。ジョブスはあまりギークが好きでない印象があるからだ。