どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

なぜか甲子園東北勢

2013-08-19 16:41:02 | インポート
高校野球に興味がないと言っていたが、今年はちょっと違う目で見ている。花巻東が強いからだ。それだけではない。東北勢が妙に強いのだ。

まず、秋田・岩手・山形がシード校であったとしても、二回戦に全東北が揃ったのは快挙だった。そして三回戦に青森・岩手・山形が残り、準決勝に岩手・山形が残った。
10年前だとどうだろうか。東北勢で3回戦までに残るのは1校程度ではなかっただろうか。準決勝で二つ残ると言うのは、本当に凄い事だと思う。


スポーツにはある法則がある。1)経済が強い。2)競技人口が多い。3)歴史がある。この三つが揃うと大体強くなる。オリンピックなんか見ていれば、特にこれは強く感じる。例外が陸上競技のケニア勢だが、2)と3)を実は満たしており、各大会で優勝した選手が後輩を育成すべく賞金を投じていたり、高地トレーニングのメッカとしての観光収入もある。1)も実は確保している。


さて高校野球に関していえば、この3つがすべて西高東低と言われている。1)は言わずもがなで、東北でも宮城県が強かったのは自明な事だ。大企業も少なく、所得が低い。2)はもう圧倒的だ。岩手県の人口は100万人だが、この数字は福岡市の数字だ。いや広島と同じ?
ただ人口が多いからと言って、それで強くなるとはいえない所もある。人口密度が高くなれば自然に地価が上がり、スポーツ施設の維持管理費が増大する。しかしそういった都会では収入も大きい。利用者がそれで減る事はない。
大都会のメリットはまだある。様々なし好の人物が居る。それによって新しいスポーツの導入とかは、大都会中心に動く事が多い。つまり3)の歴史の集積が起きる。また情報も集めやすい。最新トレーニング法とかも専門家を集めやすい。この条件から周辺から競技者を集めやすい。また若者もかなり薄れたといっても、都会志向は健在だ。都会が有力な競技者を集めやすいのは、どの地方でも同じだろう。
例えば、盛大付属高校は岩手県各地から選手を集めているが、県庁所在地と言うのは大きい。他県でも県庁所在地の学校が強いと思う。

競技人口とその密度は、非常に大きい。ライバルが遠くに居るのと近くに居るのと、切迫感が変わると言う事だ。東北だと県庁所在地はともかくとして、半径10キロ以内にライバル高があるのは少ないだろう。例外は盛岡か。中央高校と盛大付属は隣同士だが、ダントツ強い訳ではない。逆に下手に強いので、慢心する所があると思う。

いや、岩手県内の野球のレベルが低い。ベスト8まで野球は見れないと思っても良い。ちょっとの努力で甲子園にいける可能性がある。これが大都会や九州とかでは、ちょっとでは済まされない。ほぼプロになるための努力が必要だ。



さてダラダラと書いて来たが、東北が強くなると言う条件は現時点でも薄い訳だ。だがなぜか強くなっている。

まずは選手だが、スポーツ少年団からリトル・シニアリーグの充実があるだろう。20年前と比べれば明らかに変わった。選手のピックアップの仕方が変わったと言うのはあるだろう。また昔からあるのだが、野球留学組の変化もあるのかもしれない。
九州や関西から、甲子園に出場出来る可能性が高くなるからと言う理由で、東北に野球留学する子がいる。ただこれも以前の青森山田高校事件~甲子園出場選手のうち青森出身が一人だった~が批判を受けて、潮目が変わったように感じている。あまり露骨な留学生受け入れをしにくくなっていると思う。
また留学生を排出する地域でも変化が起きているように感じる。もしかすると少子化により、選手を留学させる余裕が減っているように感じる。地域で選手の奪い合いが強くなっているのではないのだろうか。またサッカーや他の競技が野球人口を食っていると言う事実もある。

次が、屋内練習場の普及だろう。東北でも強い所は必ず持っている。東北は冬が厳しい。特に北東北3県と山形県は、冬期間の練習メニューが限られてしまう。それが屋内練習場でかなり解決出来る。
沖縄や九州は、冬期間の練習が充実出来る。特に沖縄は温暖なので練習環境は最高で、プロが合宿に来るレベルでもある。これが強い理由だ。
しかしこの説はイマイチな所がある。東北でもそれなら福島県沿岸部や岩手県沿岸南部は常に常勝でなければいけない。寒いが雪が少ないので、練習は充実出来る。だが決して強いとはいえない。
屋内練習場が決定的な因子ではない。

それでは東北の子が、何らかの原因で突然強くなったのか。フクイチの影響か?これはあるはずがない。確かに人口の流動はある。他県から移り住んだとかそう言ったのはあるが、それでもやっぱり地元の人口が多い。むしろ少子化は都会や人口の多い他県より、かなり厳しい。人口が減少している中で、突然変異が生まれる可能性は少ない。


それでは一番の可能性は何か。3)しかない。野球指導者が一気に代替わりをはじめたと考えれば、つじつまが合いそうだ。その代表が青森だろう。中高一貫校で、6年計画で甲子園まで辿り着いた。選手は青森県出身のみである。じっくり選手を育成する方針だ。従来あまりない考え方だ。

旧来の野球指導者になんらかの問題があった可能性が大きい。それが今まで強くなれなかった理由なのかもしれない。それが若い世代に指導者が移り変わり、それまでじっくりと暖めて来たメソッドを使うようになった。
更に人口が少ないというのがポジティブに動いている可能性がある。強い選手を集めるだけではなく、どう育ててゆくのかという当たり前をやらないと強くなれない状態になっている。

花巻東高校が強い。確かに岩手県内から集めているし留学組も居るようだ。だが選手の育成でも有名な監督だ。それでも菊池雄星ほどの天才は出ないといわれて来たが、大谷選手も輩出し、今ベスト4だ。

本当は何が起きているのか私には解らない。だが考えられる事があまりにも無さ過ぎる。
最後に一つ、実は地元の高齢化が進みすぎて、イチャモンを付ける高齢者が減って来たと言う事があるかもしれない。監督がやりやすくなっているのかもしれない。


追記

くじ運説がある。これは確かにそうだろう。今年のくじ運は悪くない。だが3回戦まで来ればどうなのだろうか。
そして野球は、スポーツと言うよりゲームと言う特性がある。実力より勝負強さが求められるという特性がある。このため番狂わせが起きやすい。実力差を出しにくいスポーツでありそこが面白い所だ。

そう考えてゆくと、別の全く違う考えが出てくる。東北はある意味遅れているから、旧来の指導が可能でありそれで強くなっている、とも考えられる。地域で暴力が容認されている可能性もある。
確かにそうかもしれない。そうすると先進的な地域では、それで弱くなっている可能性があるとなる。
あまり考えたくない事だが、考えられない事ではない。

だがね、東北人は鉄拳制裁だけで従うほど従順ではない。ライバルが近くに居れば鉄拳制裁は有効だが、居なければ逆効果になる。人口密度はそう言った具合にはたらく。

両方がいろいろ重なって、今回なのかとも思う。