今年の桜は大変なことになっている。早咲きのジュウガツザクラの花がまだ残っていて、エドヒガンが満開でソメイヨシノが五分咲きで、ベニシダレが3分咲き、それでいてオオヤマザクラが三分咲き、もう散っていなければいけない品種なのだが。そしてオオシマザクラが咲きそうだ。ということは来週には八重桜が咲きそうだ。もう一気に来ている。
そう、早咲きが遅く咲いて遅咲きが早く咲いているのだ。なんでこうなるのかはわからないが、多分寒さが足りなかったのだろう。桜の開花には寒さも必要なのだが、早咲きの品種ほど寒さが必要なのかもしれない。一定の寒さが溜まるまで蕾が育たなかったのかもしれない。
ただよくわからないのは、今年の花の色がいいことだ。暖冬の年は色が悪いというのが相場だが、いいということは何か別な要素があるのではないのかと思っている。多分なのだが、冬季の日光量と花の色との間に関係があると思う。冬に剪定した桜の枝を、花瓶にさして部屋に置くと花は咲くが色が白くなる。根がないからそうなるのだと考えていたが、もしかすると枝に当たった光がなんらかの反応を起こしているのではないのかと考えると、もしかするとだ。部屋ではアントシアニンを形成できるほど光が強くない。だから白くなるとは考えられないだろうか。
寒い年は放射冷却現象が起きやすい年だったとも言える。特に盛岡はそうだ。ただその条件は晴れていることが重要だ。晴れて寒い年は花の色が良くなり、大雪で曇りの日が多い年は花の色が悪くなると考えられないだろうか。
今年の冬は特に日射量が多かったということはある。
桜のシーズンで、一番めんどくさいのは写真を撮る人が増えるということだ。農学部前の桜の通り抜けを撮影しようと思ったら、このサラリーマン風の二人以外にも二人いて、撮影が終わるのを待つのもめんどくさいので今日はこのポジションは諦めた。まあおまけに動画まで撮っていたから、いつ終わるかわからないというのもある。
カメラマンという職業について、一番変なのは、他人が撮った写真がどういったものなのか良くわかるということだ。これはあまり外れない。なんでそうなるのかはわからないが、大体わかる。特に撮影疲れている時ほど良くわかるのだ。
撮影しまくっている時というのは、どうも左脳が変になっている。言語感覚も少しおかしいし抑制が効かない。右脳がメインで作動している感覚がある。で、その状態というのは空間認識が変に広がっている状態なのか、何か心が飛んだような感覚になっている。もう少し具体的に言えば3Dマッピングが瞬時に形成されて、あの座標に行けばこうなるというのがわかるようになる。あとは多少の座標修正になるだけで、それだけで写真を撮っていることがある。あそこに行かなきゃと思えば、もう無理してでもその座標に向かうのが、カメラマンである。疲れれば疲れるほどクリアになって行くのがまた変なところだ。
なのでその座標から見たものが大体予測できて、そこからのベストの画角も計算できてしまう。そこからワイドに振ってこうなるだろうとかが瞬時にわかる。もうおかしい。パソコンで言えばGPUだけで作動しているようなもんだ。
ただ、最近スマホで写真を撮ってる人が多いが、実は後ろから見えている。そうすると予測不可能なアングルで写真を撮っている人がいる。
世界は広いのだ。
今年は疲れてはいるが、桜を楽しんで撮影している。ちょっと乱暴でも、アイディアがどんどん出てきているのは面白い。
多分左脳が麻痺しているんだと思う。