今日もいい天気だった。とはいえ写真は昨日のものだ。今日は少し霞がかかったような空で、夕方からは薄曇りになった。気温はTシャツだと日陰に入ると少しだけ寒く感じる程だった。
消費税の値上げが凍結されてから、議論は2分されている。凍結は正しい、もし景気対策というなら5%に戻すべきだ、そういった方と、将来に禍根を残した先送りの最悪な政治決断、とに分かれる。私は前者だし、そもそもヨーロッパで失敗している軽減税率を導入するというのは噴飯ものだ。私も出版と関係しているので、紙やら印刷やら経費にかかった分は消費税10%で、販売は8%というのが腑に落ちない。大量出版ならその2%増額も飲めるのだろうが、少量出版だと2%は飲めないだろう。かといって値上げもできないわけで、出版でも業態によってはかなり明暗を分けることになるだろう。
ニューズウイークにいい内容の記事があった。岩本沙弓「現場主義の経済学」だ。
記事の前に、所得税だがアバウトに2種類ある。自己申告制とアバウト制だ。アバウト制としか言いようがないのは、誰かが決めるのだ。お前これぐらい稼いでいるからこれだけ払えと。で、歴史的にこのアバウトが長く続いている。王が商人に向かって、お前稼ぎすぎだからこれだけ払えと命令していた時代が長いからだ。農民の年貢もそうだな。でも現代では当然法に基づいてその辺は厳密だが、国が国民の所得を完璧に捕捉することができるのかどうなのか、という考えだ。少しだけ隙間がある。なおサラリーマンは日本でも世界でもほとんどアバウトだ。いや所得捕捉が厳密にできているからというのはある。だがアルバイトで稼いだ部分とかは捕捉しづらいわけだ。そういった意味でアバウトだ。
これに対して自己申告制は、一番厳密なのはアメリカだろう。サラリーマンも自己申告制だ。一応アルバイトも申告しなければいけない。
法人に関してはアバウトというのはない。決算がある限りそれが根拠になるからだ。
さて長くなったが、ヨーロッパはだいたいアバウトだという。所得を捕捉できないと考えているようだ。そこで考えられたのが付加価値税だ。所得ではなく消費に課税すれば捕捉できると考えた。物流の流れごとに課税して行けば、完璧に捕捉できると考えた。さらにインボイスの発行で、流通の途中でズルするやつを排除できる、そういった考えだ。フランスが考えた。
なおエマニュエル・ドット氏は「フランス最悪の輸出品」と付加価値税を評価している。
それでは記事から摘んで行こう。
「実のところ、現行のEU付加価値税制度はEUの単一市場構築のため1993年からスタートしたものに修正・補足を重ねた「暫定的制度」に過ぎません。かねてからEC(欧州委員会)自身が現行の付加価値税制度における「中立性」や「簡素性」の欠如を問題視してきました。彼らが中心となって欧州議会、欧州経済社会評議会および加盟国財務省の代表で構成される税務政策グループを巻き込んで、付加価値税の徴税漏れ(=制度欠陥)を防ぐための不正取り締まりの強化や実務の透明性と簡素化を図るための本格的な調査・分析を実施してきた経緯があります。」
ということで、まあ現在のEUの制度議論と、日本の消費税議論との格差を見ていただければ。
「国境間の取引での不公平・不正を防ぎ税収増を図る、と同時に特に中小零細企業にとって多大な負担となっている事務処理を簡素化する、デジタル社会に沿った制度改革を実行することを主眼に掲げていますが、その「恒久的制度」に向けての改革の目玉は大きく2つ。1つ目は競争原理を阻害する軽減税率は撤廃。前編記述の独ペッフェコーヴェン教授の主張が反映された内容です。なおその他の軽減税率、非課税対象品目についても見直しがされます。」
この国境間での取引の問題は、0%税率で輸入して付加価値税をつけて消費者に売り、多分なのだが消費者はその業者から買ったから付加価値税を払ったと思っていて、実は消費者が直接輸入した形になっていれば、まあこの業者は付加価値税を申告する必要がなくなりますな。で、これは詐欺です。逆もあって、輸出する場合に、相手は0%の付加価値税になるわけでそうすると、厳密には流通で積もった付加価値税は全部請求できないことになります。これはインボイス制で起きることなので現状の日本では起きません。ただ取引によっては、最悪なことになっているということでしょう。
で、この輸出の場合は付加価値税を還付することになっています。でもこれを悪用する例もあって、還付制度を廃止するという話のようです。
さて私の言う還付制度はこれとは違います。所得に応じた最終消費者が受ける還付です。流通で起きる問題ではなく、消費税の逆進性の問題の緩和という話ですから、混同なさられぬように。
軽減税率というのはその業界への補助金と、税から見るとそうなるわけだ。税は公平であるべきだから、特例というのは補助金と同じことになるのだ。メディアが補助金を受けて成立するというのは、あってはならないことだ。その意味を新聞はわかっているのだろうか。
イスラムの断食月が始まった。ラマダンだな。
日中水すら飲んではいけないという月だが、夜はそうでもない。ただ宗教的熱狂に陥りやすい月とも言われている。
真面目に思うが、よくできた中世に暮らしているような気がする。