どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

巨大なブロッコリー

2016-06-26 03:53:11 | 日記

 

よ市に行ったら、巨大なブロッコリーがいっぱいあった。あまりにも巨大だ。どの程度巨大かといえば、一個でだいたい普通のブロッコリー2個分はあった。それは茹で上げたからよく分かる。2個も買ってしまったから大変なことになってしまった。

生産農家が出していたから聞いた。「これは品種でこうなるの?」「確かに大玉品種だが、株をしっかり成長させれば大玉はいくらでもできる」「だが玉の暴れとかが大きい。それは季節的なもの?」「季節はある」「なんでここまで大きいのはないの?」「出荷規格があるからだ。そこを超えたものは規格外になって人の目に触れることはない。」

この会話をアオゲラ農園に話したら、「それは産直でのどう目立つかという話だと思う。」そう答えられた。確かにそうだった。あれは目立った。だが少しだけ収穫期には早い。巨大にするならもう少し後のほうがいい。味でいってももう少し後なのだ。

ここがよ市出品者の、苦しいところなのだろう。翌週では、確実に遅すぎるのだから。

農産物の流通は、実際かなり難しい。


まだ20世紀なのだろうか

2016-06-26 00:54:25 | 日記

 

朝起きると、予想通りの展開になっていた。ポンドとユーロが売られドルも下がり、円が高くなった。世界同時株安になり、各国の国債へ資金が移動した。その中でイギリス国債はトリプルAから脱落する可能性が出てきた。不思議なのは予想以上に大きく振れたことだった。これは直前の世論調査で、僅差でユーロ存続が決まると誰もが思っていたからだ。そしてほとんどの評論家も記者もアナリストも、そう考えていた。ただ、50%で均衡している予想だ。その意味ではヘッジをかけていなかったというのは考えにくい。このような極端に難しい条件では、人は見たいものしか見ない。なって欲しい方にしか賭けない。そういった心理が働いていたのかもしれない。

とはいえブックメーカまでもが残留と考えていたのだ。いかに誰も考えられなかったかというのがわかるだろう。

現実的にはイギリスの首相が脱退を宣言してから、最短で2年の交渉を経てから正式に脱退になる。宣言をしてからすぐに撤回することはできない。その意味ではキャメロン首相の辞任宣言は、10月までは脱退を宣言しないということなのかもと考えている。次期首相に宣言させるのがふさわしいからだ。キャメロンには交渉する意欲はないし、この投票が事実上の不信任表でもあるからだ。

問題はEUから出るというその交渉作業だ。現在のヨーロッパ内部での極右の成長が著しい。そして極右たちはほとんどがEU独立を言っているのだ。オランダの極右政党、自由党のヘルト・ウィルダース党首はオランダのEU離脱の是非を問う国民投票の実施を呼び掛けた。(私見だが、今後イギリスのシティの能力はアムステルダムやブリュッセルに移る。そこがEUだからだ。そこから独立する意味は全くない。)そう、イギリスと同じことになりかねない国が出てくる。スペインのカタルニャーのように独立のための住民投票を言い出しているところもある。こういった動きを牽制するために、特にフランスが懲罰的な交渉をしてくることがすでに予想されている。ドイツとしても今までのイギリスとの妥協を考えれば、優しく振舞えないだろう。ましてや極右が問題になっている国は全て厳しく当たることになるだろう。そしてスペインのように独立運動を抱えている国もそうだ。



最も問題なのは、グレート・ブリテンだ。今回の投票の詳細はまだ分析されていないが、やはり老人が投票し、若者は投票しなかったと考えられる。そして地域差がある。イングランドで突出して離脱派が多いのはわかっている。だが前回独立の住民投票したスコットランドでは、存続派が多かった。結果またスコットランドはEUに残るための存続運動として、独立運動を起こすという。まだ動きは伝わっていないが英領ジブラルタル、ジブラルタル海峡に面したスペイン半島にある、そこがEU離脱を嫌って独立するかスペインに帰属するのかになる可能性があるという。英領ジブラルタルは金融の町として発達したのだ。人口3万2千人の小さなところだ。めぼしい産業があるわけではない。そこにEU離脱となれば金融はEUにアクセスできなくなり一気に潰れると考えられる。変なところでは、フォークランド諸島が独立する可能性も出てきた。なぜならフォークランド諸島の産品はEUに6割輸出しているからだ。その上イギリス領だからアルゼンチンと交易できないということもある。独立してEUに加盟ということになってもおかしくない。アルゼンチンとも関係改善できる可能性もある。

北アイルランド問題もある。アイルランドとイギリスが和解することで北アイルランドにはEUから産業振興の補助金が出ている。これがなくなる可能性があれば、また北アイルランド独立運動が再燃する可能性がある。



なぜキャメロン首相はEU離脱への国民投票を約束したのか。これに関しては、今ほとんどの評論家が、いやもう公約にした当初から酷評していた。その流れは2013年1月に15年の総選挙で政権維持できれば17年までにEU残留の是非を問う国民投票を行うといったところから始まる。これはイギリス独立党の躍進に保守党員が流れそうなのを阻止するためだった。だが実際には14年に欧州議会選でイギリス独立党がトップになり24議席を獲得する。そして15年の総選挙では保守党が単独過半数になる。ここでこの国民投票が法的な裏付けがないにもかかわらず約束されたのに、実施しなければいけない状態に陥ったわけだ。

キャメロン首相はエスタブリッシュだから、国民の声が聞こえなかったというのはあるかもしれない。確かにイギリス保守党は労働党のサッチャー元首相より大胆に新自由主義を実現しようとした。結果福祉予算を削減したりしたのだが、例えば障害者アスリートへの補助金を増やしたが、スポーツをやらない(できない)障害者の補助金は削減したりと、歪みが目立っていたようだ。そこが国民の不満になり、現政権よりはEUへの不満につながっていた。だが、残念ながら保守党の政策よりEUのほうが労働者や弱者保護を考えていた。そこがイギリスとEUの対立点でもあった。決して予算配分だけのものではない。そういった口うるさいEUに対して、イングランド人のプライドが傷つけられてきたというのはある。

だが最も大きいのは、EUからの移民問題だと言われている。拡大したEUの東欧からの移民がいっぱい来て仕事を奪っているというのだ。ここで大きな矛盾が出てくる。イギリスは田舎に行けばどうかはわからないが、イギリスの失業率は5%程度だ。2%という数字もある。イギリス人の仕事を移民が奪っているという状況ではない。それでも奪われていると感じるのは、低層の仕事なのだろうか。移民は仕事熱心でもある。そこがカンに触るだけなのかもしれない。

ただ。ここで中東からの移民受け入れ問題が出てくる。アラブの春から始まった大騒動と大量の移民、そして繰り広げられるイスラム過激派との戦争、ISに同調するイギリス人、そういった諸々がイギリス的ではないと反発した、というのがこの移民問題なのだろう。イギリスも島国だ。どこか大陸とは違うということを自負している。この今後起きる移民騒動を回避したい、そうイングランド人が考えたというのは確かだ。

世界史を見れば、この中東の問題を招いたのはイギリスだ。そのイギリスが他人顔をするのは如何ともしがたい。だが、多分なのだがEUがこの問題に対応すればするほど、イギリスの問題が浮き彫りになるわけで、ここが虎の尾だった可能性はある。

 

 

実はこの国民投票にはナゾがある。労働党がなぜか積極的ではなかったと思われることだ。多分EUに近い概念を持っていたからだと思われる。だが自分たちが一番近い階級の人たちの意見をなぜ取りこぼしたのか、もしくは説得できなかったのかというのは不思議だ。

エリートの怠慢とも言える。

だがもっと不思議なのは、マイケル・ゴーブ司法相とボリス・ジョンソン前ロンドン市長(現・下院議員)の離脱支持宣言だった。一般市民、特に老人がどういった影響があるのかわからずにプライドだけで投票する行動はわかる。だが特ボリス・ジョンソン前ロンドン市長には、純然たるエリート、イギリスの誇るエスタブリッシュメントなのだ。それがあのデマゴークに乗ったというのが信じられない。だが乗ったのだ。

あの風貌は、確かにアメリカのトランプ氏より強烈だ。だが中身は全く違う。

まさかだと思うのだが、実はキャメロン首相とオックスフォード大学同期で、カレッジが違った。キャメロンはブレーズノーズで、ボリスはベリオールだ。どうも格が違うらしい。そして共に首席で卒業ということだ。だがキャメロンは首相になりボリスはロンドン市長になった。その上ボリスはオスマン・トルコの内務大臣のアリ・ケマルの子孫であり、庶子の血統とはいえジョージ2世の血統に連なっている。キャメロンとは確実に一線を画しているのだ。

このライバル心がこの騒動を引き起こしたのか。その可能性は高い。



ポストモダン理論の最大の欠点は、解決策が絶対ないというところにある。島宇宙化した社会の中では、どんなに世界が広がっても島宇宙は島宇宙でしかなくなる。そこが拡大するためにはなんらかの動機が必要になる。この辺りを宇野常寛の「ゼロ年代の想像力」に書かれている。もちろんこの本に書かれていることはほとんど正しくない。だが一つだけ、怒りというのがあるのを提示した。そしてこの一点に向けて書かれた本だから、今でも存在感がある。

ただ、コジェーヴの中回帰説をわかりやすく説明した東浩紀の「動物化するポストモダン」より応用が全く効かないという欠点がある。東への批判として書かれた分だけ、瑣末なところに力点が移ってしまったのだと思う。怒りというのは、だいたいのところはいい結果を生まない。

解決策のない社会に対して、怒りで解決法を探そうとした動きだとすれば、今回の結果は、実際のところもっと大きなムーブメントになる可能性がある。いやムーブメントなんて生易しいものではない。そこは今の世界だ。

引退したはずのソロス氏が動き出したという話が出ている。高齢なのだが大丈夫なのかはわからない。だが、この噂には信憑性がある。巨大な資金を動かせる投資家にとっては最大のチャンスが到来したのだ。

そう、国家の信用とか国家とはとか、そういったものを飲み込むほどの巨大な資金が奔流のように世界を駆け巡っている。彼らを助けるように資本主義が整備され、流通が整備され、関税が撤廃され、金融自由化になった。だがこの奔流の中ではイギリスであろうと(イギリスはこの奔流に逆らって痛い目にあった)アメリカであろうと、日本であろうと少し間違っただけで溺れ死ぬくらいの流れになってしまった。70年代のオイルマネーが懐かしい。今現在の世界中での金融緩和時代では、奔流なんて生易しい。濁流だ、滝だ。

だからこその反逆としての右であって、全く50年前の左のような目標がある。革命だ。多分そういった意識がないと、いやないと思う。

自分が書いたことをすっかり忘れていた。これはイングランド対ドイツのサッカーなのだ。だからスコットランドはもう逃げようとした。アイルランドはもしかすると統合できるかもしれない。グレート・ブリテンから独立するということでね。

縮小されて猥雑化されるからこそ、大きな物語を喪失した時代だからこそのカオスが今始まった。共産主義の実験も、EUの実験も、イギリスの多民族主義も大きな物語になってしまった。怒りという感情が、物語の主人公になる時代が到来した。

理性が負けたのだ。そして怒りで分断された国家は、元に戻ることは難しい。それは今のスコットランドで証明されている。

誰がパンドラの匣を開けたのかは、今後の調査で明らかになるだろう。ただわかっているのは、オックスフォード出身者のトップエリートがいたのは間違いがない。